T3研究所

貨物輸送(Transport)、旅客輸送(Travel)、観光(Tourism)の国内外の動向を、独自の視点で発信

通販業界、09年度は4.1%の成長

2010-08-27 09:08:28 | 日記
(社)日本通信販売協会では、このほど2009年度の売上高について調査を行い、
8月23日その概要を発表した。これによると、2009年度の通信販売業界全体の
売上高は、推計で4兆3,100億円となり、前年度に比べ1,700億円の増加であり
伸び率は4.1%で調査開始以来の最高額となっている。

一方、百貨店は2009年の売上高が6兆5800億円と、規模では下回っている
ものの、こちらは前年に比べ8,000億円の減少であり、この状態が続くと
2013年には通販と百貨店の売上高が逆転する勢いである。

この現象の背景には、アマゾンなどの進出により通販に対する垣根が低く
なったことや、女性の社会進出により総合職の女性が増え、平日の残業の
ために土日は家で買い物をする、といった社会現象があると思われる。

また、通販物流も大きく様変わりしている。物流費率を12%とすると、通販に
関連する物流費は約5,200億円になるが、その範囲は単に配達だけでなく、受注
代行・在庫代行・入金代行・返品代行・マーケティング代行など、いわゆる
フルフィルメント業務を、通販事業者に代わって実行することが求められている。

参入事業者も従来の運輸・物流事業者だけでなく、通販事業者の物流部門が
他社向けに物流サービスを提供するもの(例えばスクロール:旧ムトウ)から
自社のネットサイトでの購入に対して物流までサービスを提供するもの
(例えば楽天物流)まで出現している。

運輸・物流事業者が単に「運ぶ」「保管する」ことだけを実施してきた時代は
早晩終わりを迎えると考える。


海運3社、今期好調な滑り出し

2010-08-23 15:19:50 | 日記
海運大手3社のコンテナ船事業が計画よりも好調に推移している。
先週発表された第一四半期の決算発表でも、業績の回復が鮮明で
対前年同期比では、日本郵船が売上高・営業利益ともに300億円超、
商船三井が売上高は400億円超、営業利益は280億円超の増加と
今期は好調な滑り出しを見せている。

この背景には、リーマンショック以降の欧米での在庫調整が一段落し
新興国からの荷動き活性化を受けて、太平洋・欧州各航路で積高が
前年同四半期を大きく上回り運賃も前期からの顕著な市況回復という
量的・質的な改善がある。

このままの荷動きと運賃水準が維持されれば、通期業績の大幅な
上方修正もありそうだ。

思うに、海運業界は明治時代から日本のグローバル化の最先端に立って
海外同業者との厳しい戦いをくぐり抜けてきたつわものである。
昭和60年(1985年)のプラザ合意以降の円高による大不況を経験
当時の邦船6社が吸収合併により現在の3社に体制になっているが、
余剰船のスクラップによる船体規模の適正化と減速運航による燃料費の
圧縮など、グローバル経済の動きに合わせた適切な戦術が素晴らしい
効果をもたらしたといえる。


激安旅行を会員制ネット販売

2010-08-17 14:28:49 | 日記
クーコム株式会社はトクートラベルサイトで、ホテル・宿の
「空室」を、今までは市場に出回らなかった最大96%オフの
激安で、インターネットを使って販売している。

ホテル・宿は通常50%の部屋が埋まればペイするというが
残り50%の「空室」を利用し、手数料をとらずに会員に
販売することで、今までは市場に出回らなかった低価格で
提供することができる。

利用者は、月440円の会費を払って会員登録し、サイト上に
掲載された激安な宿泊施設を予約できる仕組みだ。
2010年8月現在、会員数は約95万人に達しており、月間4億円
の会費で運営できることも販売手数料を取らずに運営できる
要因となっている。
トクートラベル

「空室」をなんとか埋めたいサプライヤーと、安く「空室」を
利用したい旅行者を直接結びつけた見事なビジネスモデルである。

さらに、同社は最近フラッシュマーケティング手法を使った
「トクー!ポン」の販売も開始した。これは、『24時間以内に
100人集まったら、50%割引のクーポンを発行する』といった
条件を提示する代わりに、通常よりも割引率が高い有利な条件の
クーポンを販売し、消費者の購買を促進するもので、日本では
これから徐々に出現してくるだろうと思われる。


国内貨物、荷動きが回復

2010-08-16 08:57:42 | 日記
日通総合研究所の「企業物流短期動向調査」によると、4~6月期は
「荷動き指数」がプラス14と、直前四半期比8ポイント改善した。
指数が2ケタのプラスになるのは2007年1~3月期(プラス10)以来。
7~9月期の見通しもプラス13と前回見通しより13ポイント改善した。
発表記事

国内運輸及び物流各社の4-6月期四半期決算も売上高は伸びている。
しかし、荷量は戻っても単価が下落しており、営業利益が圧迫されて
経営的には苦しい状況が続いているようだ。

単なる「運ぶ」や「保管する」はコモデティ化によって価格競争力を
失いつつあり、生き残るためには運輸・物流にまつわる付加価値を
組合わせた商品メニューやサービスの開発が求めらる。

航空業界に薄日、第一四半期実績

2010-08-14 11:11:42 | 日記
JAL、ANA両社から発表された第一四半期の輸送実績が
航空旅客の回復を示している。

JALの発表によると、国際線では人数は前年同期の2.6%減少
だったが、不採算路線からの撤退や機材の小型化で輸送効率が
高まり、搭乗率は72.1%と10ポイント以上改善した。
国内線でも、人数は前年同期の0.4%減少したが、同様に
供給も見直しによって輸送効率が高まり、搭乗率は57.9%と
4ポイント近く改善した。

またANAの発表によると、国際線では積極的な路線展開により
人数は前年同期の24%増加、搭乗率も76.9%と10ポイント改善した。
国内線でも、人数は前年同期の4.6%増加、搭乗率は61.5%と
6ポイント改善した。

一部報道では、6月単月のJALの国内線旅客数が対前年割れから
JALの先行き不安を指摘するものもあったが、単月の動きに
一喜一憂するのは、いかがなものか?数値的にはANAより若干
劣るものの、JALの回復は素直に認めるべきであろう。

JALとANAが切磋琢磨し、外国航空会社との競争に打ち勝って
欲しいと願っている。