同じように春の訪れを告げる梅の花も、木に咲く花としては可憐な出で立ちで大変気に入っています。
でも、桜の花は、遠い昔から日本人の魂を表現する言葉として登場するように、どこか我々日本人の気質に合う「生涯」を感じてしまうのです。
桜の木は、暖かい地方にもありますが、成長が緩やかで非常に固い材質であることから、木工財としては最高級品の材料です。
急成長せず、ゆっくりと年輪を刻みながら確実に成熟する堅実な成長振りは、数百年もの間、開花繁栄する歴史を担うにふさわしい成長でしょう。
毎年桜の咲く前には、必ず雨や雪、大風などの荒天に見舞われます。つぼみになった花がじっと耐え、そこまで来ている温かい春の陽を受けるまで、必死で枝にしがみついている様は、誰もが成功を夢見て苦しい時期を乗り越える、そんな状況に写ります。
そして、いよいよ待ちに待った陽光を受け、ここぞとばかり太陽に向かって開花する様は、一気に花開き、閑散とした枝やその周囲までも、花火が弾けるがごとく一瞬にして華やかな春の彩りに変えてしまうのです。
まさに「サクラサク」。成功、達成、繁栄、幸福、獲得、勝利、門出・・・
そんな躍動感溢れる言葉が似合う花となるのです。一つ一つの花は小さいけれど、勢ぞろいしたたくさんのエネルギーが大きな結果を開花させる。本当に日本文化をを表していると思います。
そして、桜は散り際が見事です。
決して長くは無い花の命。精一杯太陽の下で謳歌した後は、桜吹雪となって地に戻ります。これもまた、皆一同に先輩の花から散っていくのです。
まさに「サクラチル」。盛者必衰の理をあらわす・・・
この時期は、入学、就職など新生活を迎える人たちが一気に生まれる時。これまで努力し頑張った証が、今開花し、新たな門出となって少しの不安とともに進んでいくのです。
桜が散る様は、その新境地での不安や新たな苦労を表しているように見えます。
でも心配ない。桜は散った後も見事なのです。
そう、「葉桜」の到来です。
花が全て終わり、寂しい樹木に戻ると思いきや、新緑の青芽が湧き上がり、花の淡いピンクから、初夏の緑色へと衣替え。
来年の春も立派な花が咲き乱れるように、既に桜は準備に取り掛かっているのですね。
新緑は真夏の日を受け大きく成長し・・・
日陰を作り、人を休ませ、セミを育み・・・
秋の到来とともに紅葉し・・・そして落葉、冬を迎えます。
今年は寒気が入ったせいか、何だかいつもより永く桜の花を見ることができたような気がします。
皆さんにも多くの「春」が訪れていることでしょう。
そして、今年一年大いに成長し、来年はもっと多くの花を咲かせることができますように、皆さんも桜の花に誓ってみては如何でしょうか。
私は、明日からフィリピンに旅立ちます。
新事業に向けての門出となる旅立ちでもあります。
今年一年は、この国とともに大きな成長をしていくことになるでしょう。
今後のレポートをご期待下さいね。