キュッシュフロー表の収入欄の年収には「可処分所得」(実際に使えるお金)を使います。今回は、所得税のしくみと可処分所得の求め方を中心に、その他知っておくと得をする税金の知識について学びましょう。
所得税のしくみ(会社員の場合)
会社員の場合、通常、自分で税金を計算して確定申告するのではなく、会社が源泉徴収と年末調整を通じて税金を計算してくれるので、多くの方は税金に関心がないと思います。
しかし、少子高齢化社会において、納税者も減少していくので、個人1人当たりの税金増えていくことが予想されます。
そこで、税金に対する知識を身に付け、無駄な税金を払わないように上手に節税しましょう。
【計算の手順】
STEP1:収入-給与所得控除額=所得
STEP2:所得-所得控除=課税所得
STEP3:課税所得×税率=所得税
STEP4:所得税-税額控除=納める所得税
この式からわかるように「収入」と「所得」は同じではありません。
「収入」から税金(所得税・住民税)と社会保険料を差引いたものが「可処分所得」です。これらの区別は大切です。
給与所得控除は、会社員の必要経費です。
給与収入金額により定型化されていて、年収500万円の場合、154万円です。
所得控除には基礎控除、扶養控除、配偶者控除、医療費控除、生命保険料などがあります。
税額控除は税金そのものから直接引くことのできる金額で、住宅ローン控除などがあります。
たまに生命保険料の支払い額分税金が安くなると勘違いしている人がいますが生命保険料控除は税額控除ではないので、そのようなことにはなりません。
たとえば、税率が10%の場合、5万円が所得控除であれば、所得税は5千円しか安くなりません。税額控除であればストレートに5万円安くなります。
会社員の場合は、会社が発行する「源泉徴収票」を見れば、所得税・住民税や社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険)料がわかります。
会社の担当部署に聞いて計算根拠を確認してみると、いろいろ気づきがあると思います。
会社員が税金を取り戻す方法
会社員の所得税の計算期間は1月1日からその年の12月31日です。
毎月の給料から引かれる所得税(源泉徴収)は、給料と扶養家族数から予測された仮の金額で、年末で確定した実際の金額と同一とは限りません。
例えば、扶養家族の人数が増える場合がありますね。
そこで、この両者の金額の差を清算する手続きが必要で、「年末調整」といいます。
このように会社員の場合は「年末調整」がありますので、通常、確定申告をする必要はありませんが、次の場合には確定申告が必要です。
1.年収2000万円超の場合
2.原稿料や家賃などの副収入(収入-必要経費)が20万円を超える場合
3.医療費がたくさんかかった場合
雑損控除・寄付金控除を受けようとする場合
4.年の途中で退職して、年末まで就職しない場合
5.住宅ローン控除(適用1年目)
会社員が税金を取り戻せるのは、上記3~5の場合です。
税金を取り戻す方法(医療費)
医療費がたくさんかかった場合や雑損控除・寄付金控除を受けようとする場合は確定申告が必要です。ちなみに、納税する場合の申告期限は翌年2月16日から3月15日ですが、還付申告は、年が明ければいつでも可能です。現実には1月下旬以降からになります。
【医療費控除の求め方】
1年間に支払った医療費の金額-10万円(又は所得金額の5%)-民間保険会社・社会保険から受取った金額
【ポイント】
1.未払いは医療費控除にはなりません。
2.家族単位(生計を一にしている親族)なので、所得の高い人が還付申告をするとお得です。
3.医療費控除の対象になるかどうかは、「治療目的」かどうかです。治療のために薬局で購入した医薬品や通院のための交通費も対象になりますので、領収証は保管しておきましょう。
一方、予防目的や美容目的の場合は対象になりません。
4.民間の保険会社や社会保険から受取ったものでも、所得補償保険の給付金や健康保険から支給される傷病手当金、出産手当金は医療費から引く必要はありません。
これらは医療費の補填ではなく、給料の補填だからです。
【計算例】
1年間の医療費の合計が40万円。生命保険会社から入院給付金を15万円もらった。
医療費控除=40万円-10万円-15万円=15万円
戻ってくる所得税=15万円×10%=1.5万円 ※所得税率10%と仮定した場合。
税金を取り戻す方法(退職)
年の途中で退職して、年末まで就職しない場合は、一般的に退職をした翌年に確定申告をすれば、源泉徴収された税金が還付されます。
なぜなら、毎月の給料から引かれる所得税(源泉徴収)は、年末までに在職していると仮定して計算されているからです。
この計算には、生命保険料控除などは反映されませんし、年末調整も受けることができないので確定申告で清算することになります。
退職時に会社からもらう源泉徴収票はしっかり保管しておきましょう!
また、住民税は退職した年の所得に基づいて、退職した翌年に納めなければなりませんので、5月頃納付書が届いたときに慌てないように、納税資金を準備しておきましょう。
(参考)
退職所得は所得税の中でも最も優遇されているもののひとつです。
つまり、大きな退職所得控除額があり、2分の1課税で、分離課税です。
退職所得=(収入金額-退職所得控除額)×1/2
※退職所得控除額
勤続年数20年以下:40万円×勤続年数
勤続年数20年超 :70万円×(勤続年数-20年)+800万円
税金を取り戻す方法(住宅ローン)
住宅ローン控除は、税金そのものが少なくなる税額控除です。適用1年目は確定申告が必要ですので注意しましょう。翌年以降は年末調整で受けることができます。
一定の要件を満たした場合、10年間にわたり年末ローン残高の1%が税額控除されます。控除率と対象となる年末ローン残高の上限は、平成17年(居住年)以降段階的に縮小されます(平成21年以降廃止)。
居住年が平成17年の場合は最大控除額が360万円ですが、平成20年の場合は160万円です。
実際の税額控除は、納税者が源泉徴収で支払った金額が最高の還付額になりますので気をつけてください。
例えば、計算上、30万円の税額控除を受けることができたとしても、納税者の源泉徴収額が20万円であれば、20万円しか税金を取り戻すことができません。
その他の留意点としては、期間短縮型の繰上げ返済をした結果、トータルの返済期間が10年未満の場合は、住宅ローン控除の適用要件を満たさなくなりますので、繰上げ返済をするときは慎重に行ってください。
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お役立ち情報
◇税金のしくみについて
http://www.taxanswer.nta.go.jp/index2.htm
◇医療費控除について
http://www.taxanswer.nta.go.jp/shoto304.htm
◇退職所得について
http://www.taxanswer.nta.go.jp/shoto308.htm
◇住宅ローン控除について
http://www.taxanswer.nta.go.jp/shoto321.htm
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