未来への周遊券

2019-05-29 12:40:32 | Books
柳美里さんにセレクトしていただいた本の4冊目。最相葉月さんと瀬名秀明さんの対談集。
またまたうれしいことに最相葉月さんのサイン入り。
瀬名秀明さんは『パラサイトイブ』の作者で、柳さんも理系は大の苦手なのに『パラサイトイブ』にとても感銘を受けたことを書いておられたな。

『未来への周遊券』もすごく良いお話満載で、読んでよかった本でした♪
理系人間でなければ未来への希望は持てないというお話に思えるかもしれなけど、決してそんなことはないことが、サン=テグジュペリについて述べているところなどで示されています。
未来への希望がもてないとされる現代。逆説的ではあるが、自分の存在に関する謙虚さと、勇気が未来への切符をもたらしてくれる。
ニーチェのニヒリズムにも考えが及びます。それは一部の恵まれた人間だけが得られる切符ではない。

「違和感なくして創造なし」もその通りだと思う。人の違和感への対応は3通りだと思う。違和感を自分の中で受け入れて創造へと昇華させるか。違和感のあるものを見ないように、考えないようにするか。違和感をもたらすものを攻撃するか。

未来国家ブータン by 高野秀行氏

2019-05-26 13:21:49 | Books
実は高野秀行さんの著書では前に「未来国家ブータン」を読んでいて、「ソマリランド」を読んだ後、「ブータン」を読み返してみた。

ソマリランドと同様に、ブータンがほかの国とはまったく異なるやり方で国家建設を進めてきたことが、ブータン国民からの視線で描かれていたところはさすが。
しかし、日本を含む先進諸国が幸福大国になる上でブータンを参考とするのであれば、ブータンでの調査研究をもっともっと進めなければならないことも指摘している。
私が大学院の研究室で一緒に勉強していた方に、まさにブータンのGNH(Gross National Happiness)の研究に取り組んでいる方がいる。これからの研究成果に期待しています。

高野秀行著「謎の独立国家ソマリランド」

2019-05-24 19:46:45 | Books
「ヘミングウェイなんかにかぶれちゃってさ♪」ハマッ子なら誰の歌かわかりますよね~(#^^#)

私も大学時代、ヘミングウェイにかぶれてた時期あるけど、いつかアフリカ旅行したいなあなんて思うのはそのせいだと思う。
で、柳美里さんからセレクトいただいた本の三冊目として楽しく読んだのは、高野秀行さんのこの本なですけどね。
高野さんは「そこまでやるか!」と読者を仰天させることで知られるノンフィクション作家で、この本も御多分に漏れず。
取材のために海賊をプロデュースすることを構想するくだりでは、高野さんなら本当にやりかねないと思いました(-.-)
しかし、そこまでやるかと突っ込まれたら、ここまでやらないと本当のところは分からないのだというのが高野さんの答えだと思う。
ソマリランドにおいて、国連からのお仕着せの形ではなく、自分たちで独立国家をつくるためになにが行われてきたか。

ヘミングウェイが描いたアフリカも、一旅行者の視点からでしかない。

舞台の水 太田省吾氏

2019-05-21 00:58:28 | Books
柳美里さんにセレクトしていただいた本の2冊目
この言葉はメモしておこう。感動とは生きる私たちにとって実につつましい、ただ在ることを求めるという、ひっそりした希い。


どんな仕事に携わる人でも、一人一人が感動してもらえる仕事を目標とするなら、いい社会ができる、なんて考える。少なくとも自分の目標としたい。

空にみずうみ

2019-05-14 09:44:42 | Books
柳美里さんにセレクトいただいた本6冊の最初に読み始めた、佐伯一麦さん著「空にみずうみ」。
佐伯さんのサイン入り♬♪♬。佐伯さんの本はこれまで読んだことがなかった。
本の読み方も色々だけど、私の場合は読み始めのところで心に火がついて、夢中になって読み進めることが多い。
心に火がつかなければ、「つまんないや」と読むのをやめてしまう。
実は、今回はなかなか心に点火せず、困ってしまった。
もし柳美里さんにセレクトいただいたということがなければ途中でやめていただろう。
柳さんがこの本を私に薦めたということの意味が必ずあるはずだという考えながら読んでいた。
半分くらいまで読み進めたころに、読み方がようやく分かってきて、「鑑賞」することができるようになった。
この本に描かれている世界は、心に火をつけてというより、静逸な生き方。決して怠惰ではなく、むしろまめに生きているけど、心は静逸で美しい。
その美しさを鑑賞する読み方をこの本で学ぶことができた。
そして最後の締めくくりに大きな感動。
静逸な生活の奥底には、実はあの日のことがあることは、途中まではそれとなく匂わす程度の書き方だったけど、透明感のある文章が、最後の最後に美しい心の奥底にあるものを悟らせてくれる。
こういう本はこれまで読んだことが無かった。柳美里さんのセレクトのセンスにも感動です。
静逸な生き方・・・こういう生き方もいいかもね。