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日記、日々の想い 

木を植える父、花を植える娘



父は、妻の父だ
父は、さつきが好きで、
庭いじりが、大好きだった
父の娘の、妻も、
父の庭が、大好きだった
時は、流れた
娘は、結婚して、
息子たちを産んで、
遠い田舎に、引っ越して行った
父は、娘の家を、
遥かに、訪ねた
娘の建て売りの家には、
まあまあの広さの、
庭が、あったけど
なんだか、さびしい
さつきが好きで、
庭いじりの好きな、
そんな父は、
遠い田舎の、
遥かな娘の家に、
クルマを運転して、
何度も、何度も、
訪ねて行った
そのクルマは、
退職後の、
下請け仕事用に、
買ったバンだ
納品する部品を、
届けるのに、
ちょうど良いと言う
そのクルマで、
さつきや、つつじや、
他の木々も、
運んで行くのだ
娘の家に着くと、
バンに積まれた、
手頃に整えた木々を、
下ろし始める
娘の夫の自分は、
軽い挨拶だけで、
下ろすごとだけは、
手伝った
でも、娘の妻は、
ずっと、手伝う
木を植える父を、
娘が、手伝う
妻と自分の、
ふたりの息子たち、
孫たちも、
おじいちゃんに、
あれこれと、纏わりついて、
ちょっと、お手伝いもする
そんな風にして、
庭には、
さつきやつつじの数々
もっと、色々な木々も、
植えられていった
父が植えて、
娘が、手伝った
庭は、
あっと言う間に、
様々な木々や、草花の、
小宇宙に、
育っていった
色々な小鳥が、飛んで来て、
妻に言われて、
自分が取り付けた、
幹に架けられた巣箱に、
住んだりもした
やがて、
まっしろな、
おとこのこの、こいぬが、
家族になって、
庭に住んだ
甕を埋めた池には、
金魚や、めだかを、
育てたりもした
野良猫が、
狙ったりもしたけど、
庭の主になったいぬが、
追い払っていた
でも、身体の悪かった、
妻の母が、
もっと、身体を、
悪くしてしまった
その母の介護に疲れて、
父も、身体を、
悪くしてしまった
もう、あんまり、
娘の家には、
来れなくなってしまった
娘の息子が、
おんなのこのいぬを、
拾ってきた
そして、しろい、
お兄ちゃんのいぬの、
茶色い
いもうとの、いぬになった
二匹のいぬが、
父と娘の庭に、
暮らすようになった
娘は、
花を、植えた
どの季節にも、
絶え間なく、花は咲いた
つつじが咲き、さつきが咲く
娘の植えた花々も、
ともに、咲き誇る
木々も、生い茂る
そんな庭に、なっていた
ただ、父と娘の、
庭を、見ることもなく、
娘の母は、亡くなった
夫の自分は、
庭には、関心がなくて、
子どもたちは、
大きくなったから、
家の庭などでは、
もう、遊ばない
それでも巡っていく、
庭の四季には、
様々に咲く花々と木々
年とっていく娘と、
いぬたちだけが、
いつも、いた
でも、やがて、
お兄ちゃんのいぬは、
亡くなってしまった
そして、木を植えてくれた、
あの父も、
とうとう、
亡くなってしまった
父は,もう、
娘との庭に、来ることはない
でも、娘は、
花を植え続けて、
父の植えた、
つつじも、さつきも、
娘の植えた花々も、
ずっと、咲き続けた
娘は、花を植え続ける
ただ,娘の夫の自分は、
無関心なままで、
息子たちも
もう、手伝うことはない
それでも、花を植えている
娘の傍らには、
おんなのこの、
いぬだけが,残っていた
花を植える娘と、
見守っているいぬ
庭は,娘といぬの、
庭になっていた
でも、時は、
容赦がない
ただ、巡って行く
おんなのこのいぬも、
娘に見守られて、
亡くなってしまった
父と娘の庭で、
娘といぬたちの庭だった、
そんな庭が、
娘だけの,庭になっていた
娘の夫の自分は、
それでも,無関心で、
大人になった息子たちも、
足を踏み入れることはない
そんな庭にも、 
つつじが咲き、さつきが咲き、
娘の植えてきた花々も、
ともに、咲き続けている
そして、娘は、
すっかり年老いた今日も、
花を植える…





コメント一覧

takey813
コメント有難う御座います。でも、そう思いたい自分は、ともかく。手伝わない自分に苛立つ先方は、そう思うなら、たまには、手伝えっ💢と、言うことか、と。
guma34
父の娘の夫の目は優しい〜♡
ず〜と見守っているこんな関わり方もあるのですね。
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