孫が手作りした虫除けシール

多摩爺の「時のつれづれ（水無月の２９）」
孫が手作りした虫除けシール

一昨日、孫二人を保育園にお迎えに行ったはいいが・・・　下の子に元気がない。
やんちゃざかりの悪魔の三歳児が静かで、晩ご飯も食べようとしない。
少し熱があるみたいなので、息子に連絡取ると、
保育園で胃腸炎が流行ってるみたいなんで「もらったかも・・・　？」とのことだった。

その数分後、いきなり吐いたもんだから・・・　驚くやら、慌てるやらで大変なことになった。
同じ保育園で、同じフロアにいる、上の五歳女児は元気ハツラツだから、
コロナではないと思うが・・・　ちょっと心配になってくる。

翌日は二人とも保育園を休ませて、嫁が務める総合病院に行き、家族でＰＣＲ検査したが、
一夜明けると、三歳男児の熱は下がっており、
「おなかすいた。のどかわいた。」と暴れまくっているらしく、
そこに持ってきて、家族も孫たちも陰性との連絡があり・・・　やっぱり、胃腸炎だったらしい。

その後、病院からの帰りに寄ってくれたときに・・・　ちょっと面白いことが起こる。
下の子が気にかかって、相手をしていると、上の子が私の部屋に入り、
窓を開けたはいいが、網戸まで全開状態にしたもんだから、虫が入ったらしく、
６５歳になった女房が・・・　突然「きゃー。」なんて、
どこかの若い娘のような声を出すもんだから・・・　これまた、大騒動である。

ホントにホントに、なにをしでかすやらだが、
これは私の注意不足であって、孫を責めるつもりはないものの、
女房の悲鳴にも似た驚きようには・・・　正直、ビックリさせられてしまった。

慌てて網戸を閉めたんだが・・・　窓を全開にした張本人が、私の部屋にやって来て、
「おじいちゃん、どうしたの？」と、悪びれることなく聞くもんだから、
「◯◯ちゃんが窓を開けたので、虫が入っちゃったんだよ。」と、本音がポロリと出てしまった。
すると「そうなんだ、だったら◯◯ちゃんが虫除けシールを作ってあげるよ。」というではないか。

「じゃぁ、お願いするかな。」といって、麦茶を買いにコンビニに出かけると、
玄関で私の帰りを待ち構えていた孫娘が「きてきて。」と言いながら、
私の手を強く引っ張ってきた。

玄関のとなりにある私の部屋に入って、椅子に座らされると、
その瞬間を待ち構えていたかのように、
「ジャジャァ・・・　ン。」と言って扉を閉めると、
扉の内側に、孫娘が手作りした「虫除けシール」が貼ってあるではないか。

「いいでしょ。」
「これで大丈夫だよ。」
「もう、虫はこないから・・・　。」と　
自信満々に鼻の穴を大きく膨らませて、私の顔をのぞき込んで来た。

いやぁぁ・・・　まいった。
ハートの形に紙を切って、きっと虫を意識したんだろう、
怪獣のスタンプを、ボールペンでなぞってから・・・　バッテンがつけられ、
なにやら分らなかったが、孫娘が言うには、
スーパーヒーローが、空から悪い虫を懲らしめてる場面を描いたらしい。

思わず・・・　孫娘を抱きしめてしまった。
「嬉しいねぇ、嬉しくて堪らない。」
知らない人が見たら、ただの落書きかもしれないけど、
私にとっては、とっても、とっても大切な宝物であり、極上のプレゼントである。

きっと、私があの世に行くまで、
このシールは、剥がされることなく、ここにずっと貼られたままになり、
二人だけの思い出が・・・　これからずっと続くと思うと、もう嬉しくて堪らない。

その夜の２２時過ぎだったと思う。
床に就いてから、なにげに天井をみたら、電灯の直ぐ近くに、小さな虫が１匹がいた。
孫娘が作ってくれた、自信満々の虫除けシールだったが、
残念ながら・・・　効き目はなかったようだ。

孫娘には内緒で・・・　「虫コナーズ」を買ってくるしかないだろう。
現実は厳しい。
孫娘も、いずれそのことを知る日がくるのだろうが、
もうしばらく・・・　なんとか、ならなかったものだろうか？


今月、５歳になったばかりの孫娘が作ってくれた・・・　私の宝物（虫除けのシール）
ハートの形が斜めだけど、孫娘が貼ってくれたままにしておこうと思う。
おそらく・・・　このままずっと、このままだと思う。