例年通り、ドラえもん映画を観てきた。
少し時間がかかってしまったが、今年も、自分なりに感想を書き綴ってみる。
一応、ネタバレ注意。
今回の映画を観て思ったことといえば、「テーマに沿った『ドラえもん』の映画作品としてはほぼ完璧」だとか、「非常に"綺麗に"まとまっている」といったところだろうか。
今回のテーマは、これまでありそうでなかった「音楽」。一体どんな内容になるかと思っていたが、いざ観てみれば、「ドラえもん」で「音楽」をテーマにした映画としてはかなり理想的な形になっていて、かつ内容としても映像としてもかなり「綺麗」だったなぁ、という風に感じた。
本当に徹頭徹尾、様々な切り口から「音楽」をテーマに展開されており、その構成や独自の世界観の展開、物語性、それを「ドラえもん」の世界や設定とのリンクが巧みで、かつ純粋にその魅せ方も圧巻で、ただただ観ていて、聴いていて楽しい作品だった。
通常僕は、映画ドラえもんは(正規シリーズに限って言えば)映画館では一度しか観ず、今この記事を書いている時点でもその通りなのだが、この作品は例外的に複数回観てもいいかもしれないと思っている。物語としての作り込みが十分なのはさることながら、映像として「映画館で観る価値」が例年以上にあるように思う。
また個人的な話になるが、僕はここしばらく別の趣味でアレやコレやがあって、クラシック中心に音楽に対する知識や関心がいい感じに増えつつある最中にあり、その点でもタイムリーさを感じた。実際、観ている中でも「これは‼︎」と感じる部分がかなりあった。ここは、一昔前の自分ならおそらく感じなかった感動だった。
そうでなくても、「音楽」というのが身近かつ普遍的なものであることが強く感じられる展開はやはり見応えのあるものだった。何万年規模にも及ぶ世界観の沿革や、日常に影響が及んでいく様子は説得力のあるものだった。
「ドラえもん」を「ドラえもん」たらしめている要素の一つが「ひみつ道具」であるわけだが、今回もひみつ道具が盛りだくさんだ。お馴染みの道具や新道具、「こんなところにこんな道具が出るなんて!」というものまで…。ムードもりあげ楽団なんかは今回ぴったりな有名道具だし、「客よせチャルメラ」なんて数年前のアニオリ道具がまさかの再登場というかなり意外な選出だ。マエストロハットとなりきり指揮棒はやはり魔界大冒険の魔法ぼうしのオマージュだろうか?
そしてキーとなる道具の一つでちょっと驚いたのが「あらかじめ日記」。好きな道具ではあるが、こういった全能系の道具は文字通りなんでもできるので結構扱いが難しいだろうに、無理なく溶け込んでいて見事だった。
ラスト、地球が風呂場に…という展開は若干無理がある気もしたが、伏線自体はあったし理には適っているので、まぁいいだろう。
ゲストキャラクター陣も個性的でバランスも良く、親しみを持てたと思う。僕としてはマエストロヴェントーら実在音楽家をモデルとしたロボットたちが特に見れば見るほどより好きになれそうなスルメ的キャラのようでお気に入りだ。ミーナは特別出演枠で単に現代の音楽のシンボル的に目立つだけのキャラかと思ったらストーリー的にも深く絡んできたのは読めなかった。
他にも、相変わらずのび太のクラスメートに原作の名物キャラが何人かいたり、おかしくなったドラえもんの目が「雲の王国」の時と同じだったり、さりげなく「夢をかなえてドラえもん」が出たりと、小ネタレベルでの見所も多く、全編にわたって楽しめた。
以上、ざっと感想を書いてみた。前述の通り、この映画は2回目を観に行く可能性が高い(Dolby Atmosもあるらしいし)。その時には、改めて思ったことを書き加えるかもしれない。
今回は「ドラえもんっぽさ」とか「わさドラっぽさ」よりも、「ドラえもんを題材でテーマに沿った物語を作る」という点が優秀な作品、というのが全体の印象となる。良い作品であった。
来年だが、夢幻三剣士のリメイクの可能性も高そうだが、個人的には「宝島」の時のようにミスリードの上でのオリジナル作品になるのでは、と思う。何にしても、期待している。