〇 サムスンの「DeX」が向く用途。
今回は、スマホをPCのように利用できる「Samsung DeX」(以下、DeX)というツールの使い方と、このツールが向いている用途を紹介する。DeXは韓国サムスン電子が提供するスマホ用のツールで、利用できるのは同社のスマホの上位モデル。SシリーズやFoldなどだ。ここではGalaxy S24 Ultraで利用している。
DeXを利用するには、DeXのアプリをインストールしたPC、または外付けモニターが必要になる。スマホ側はDeXに対応していればよく、アプリのインストールは不要だ。使い方は「PCにつないで使う」「PCを介さずモニターにつないで使う」の2通りである。
そもそもPCでDeXを使う意味は?
まずは、スマホをPCにつないで使う方法を見ていく。
DeXのPC用アプリは、サムスン電子のWebサイトから無料でダウンロードできる。アプリを起動するとスマホとの接続を求められるので、指示通りケーブルで接続すると、PCの画面上にDeXの画面が表示される。このDeXの画面には、スマホにインストール済みのアプリなどが表示される。
DeXのレスポンスはかなり良い。ただしレスポンスはスマホの性能によって変わるので、Galaxy S24 Ultraの場合だと捉えてほしい。参考までに、僕はDeXをだいぶ以前のモデルから使っているが、Webブラウジングやメモ書きのような用途であれば、古いモデルでも不満は感じないだろう。
DeXを起動すると、PCの画面上に違うOSの画面が表示されることになるが、使い勝手はWindowsに近いのでさほど困らないはずだ。アプリは、スマホにインストールしているものがそのまま利用できる仕組みになっている。
「そもそもPCが目の前にあるのに、わざわざDeXを使う意味はないのでは?」と思った人がいるかもしれない。多くの場合その通りだが、PCのタッチパッドとキーボードを使ってスマホを操作したいというニースがあると話は違ってくる。
僕にとって、PCとつないでDeXを使う最大のメリットは、PCと組み合わせてスマホを快適に操作できること。僕はスマホでの入力が遅く、入力ならPCで作業した方が圧倒的に効率が良いからである。実際にある例だと、このツールを使ってスマホから送るメールの本文をPCで書くことがある。
またPCのDeXアプリを使うと、スマホのアプリの画面がウィンドウ表示になるため、スマホ単体よりも併用しやすい。例えばLINEは、1台のPCと連携していると別のPCでは利用できない。そのため自宅のPCと連携させると、ほかのPCでは使えない。このようなケースでもDeXを使えば、ほかのPCでスマホのLINEアプリを利用できるし、スマホのLINEを見ながらGoogle Keepでメモを書くといった使い方も簡単にできるわけだ。なお、このツールに対応するスマホの一部は、PCとワイヤレスで接続しても利用できる。
PCなしでモニターへつないで使う場合のメリットは。
DeXは、外部モニターと組み合わせて使うことも可能だ。写真はモバイルモニターと組み合わせているが、大画面のモニターでもいい。HDMI入力が可能なテレビにつなぐこともできる。
使い方は、スマホとモニターをケーブルで接続し、スマホの画面をDeXに切り替える。今回はUSB Type-Cケーブル1本で接続しているが、モニターによっては電力不足で表示できなかったり、画面が暗くなったりするケースもあり、その場合は別途給電が必要になる。
モニターとの組み合わせて使うときは、スマホの画面をタッチパッドにしてマウス操作ができる。ただし個人的には、キーボードとマウスやタッチパッドがあったほうがいい。個人的には、タッチパッド付きの折りたたみキーボードを利用している。
こうすると、かなりPCライクな使い方ができる。PCを持っている必要もないのが大きなメリットだ。会社のモニターに急きょ接続して利用するような使い方も可能だ。
スマホの中には、DeXを介さず映像を外部出力できるものもある。だがそれだと、多くのアプリは細長い画面で映し出され見づらい。ここにもDeXを使うメリットがある。
画面サイズが大きいモニターにつなげば、「写真や文字が見やすくなる」「文字入力のミスが減る」といった効果を得られて、それにより仕事で使う文書の作成といった作業の効率がアップする人もいるだろう。
DeXのために対応するスマホを買うほどのツールではないが、購入したスマホが対応しているなら使うと便利。おまけであると考えれば十分だ。