〇 そのカラクリと回避策を探る。
Excelの並べ替え機能はとても便利だ。しかし、振り仮名で並べ替えを実行する際には注意を要する。ちょっとした文字の修正をすると間違った振り仮名になってしまうからだ。まずはその実例を見てもらいたい。
「少しばかりの修正」が大問題に。
下図は、A列に「名前」、B列に「振り仮名」としたシンプルな表だ。B2には振り仮名を取り出すPHONETIC関数を用いて「=PHONETIC(A2)」とし、「名前」の振り仮名を取り出している。
=PHONETIC(参照)。
画2、振り仮名の文字列を取り出す。
参照 振り仮名の文字列を含むセルの参照を指定する。
取り出した振り仮名を見ると、B6を除いて正しい表示になっている。B6が漢字のままなのは、A6の「名前」が、例えばWebサイトからコピー&ペーストした場合のように、振り仮名情報を持たないデータだからだ。
次に「名前」に少しばかりの修正を入れてみる。実はこの「少しばかりの修正」が大きなトラブルの元になる。
A3の「遠藤泰久」さんを選択し、「数式」バーの「遠」と「藤」の間にカーソルを置く。次に[Backspace]キーを押して「遠」を削除して、「近い」と漢字変換し、[Enter]キーを押して漢字変換を決定する。まだ「数式」バーにカーソルが残っている状態で「い」を削除して[Enter]キーを押して入力を決定する。するとA3は「近藤泰久」さんとなり、B3の「振り仮名」もバッチリ「コンドウヤスヒサ」さんになっている。
ところがちょっと入力方法を変えるだけで間違った「振り仮名」になる。もう一度最初のシートに戻って、A3の「遠藤泰久」さんを選択し、「数式」バーの「遠」と「藤」の間にカーソルを置く。同じように「遠」を削除して、「近い」と変換したら[Enter]キーを押して漢字変換を決定する。再度[Enter]キーを押して入力を決定する。
その後A3を選び直して「数式」バーで「い」を削除して[Enter]キーを押す。A3は「近藤泰久」さんになったものの、B3の「振り仮名」は「チカフジヤスヒサ」さんになってしまった。
そんなこともつゆ知らず並べ替えを実行すると大変なことになる。下図はA1を選択して「ホーム」タブの「並べ替えとフィルター」ボタンから「昇順」を選んだところだ。これで五十音順に並べ替えられたと思ったら大間違いだ。
本来は「こ」で始まる「近藤泰久」さんが、「た」で始まる「谷川雄二」さんの後にきている。また、振り仮名情報を持たない「葛城孝史」さんは、本来冒頭に来るべきだが、末尾に回ってしまった。これらは小さなミスながら、場合によっては大問題に発展する。
「振り仮名」に間違いがないか確認する。
対策としては、今回のように「名前」の列とは別に「振り仮名」の列を設けて、PHONETIC関数で振り仮名を取り出すことだ。取り出した「振り仮名」と「名前」の読みが一致しているかを確認するのがトラブルを避ける基本になる。
また、「ホーム」タブの「ふりがなの表示/非表示」を用いると、「名前」を入力したセル内に振り仮名を表示できる。ただ文字が小さいことから、見逃しを避けるためにも、やはり今回のように別のセルに振り仮名を取り出すのがお勧めだ。
それから、並べ替えは、「名前」の列ではなく「振り仮名」の列を基準にする。その場合、「振り仮名」の列の振り仮名を正しい内容に修正する。今回の場合だと、B3、B7に正しい振り仮名を直接入力する。PHONETIC関数が消えても、読みが正しければ気にしない。
「振り仮名」がすべて正しい内容になったら、B1を選択して「ホーム」タブの「並べ替えとフィルター」ボタンから「昇順」を選ぶ。今度はバッチリ五十音順で「名前」の並びが変わった。このようにPHONETIC関数で取り出した振り仮名と直接入力した振り仮名が混じっていても、並べ替えに支障はない。
Excelの振り仮名問題はなかなか悩ましい。また名字が同じ「米原」でも「よねはら」と読むのか、「まいばら」と読むのか、分からない。そのため名前を取得する場合、漢字と一緒に「振り仮名(読み仮名)」も手に入れることが鉄則になる。