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広く 普及するも 売り上げに 結びつかない。

◯ アマゾン「Alexa」の行く末はいかに。

 米Amazon. com(アマゾン・ドット・コム)は2024年7月から8月にかけ、スマートスピーカー「Echo」シリーズの新機種を相次いで日本に投入し、利用拡大に力を入れている。

 一方で、同社のハードウエアや音声アシスタント「Alexa」関連の事業で赤字が続いているとの報道が増えている。スマートスピーカーや音声アシスタントを売り上げに結びつけるのに苦戦しているようだ。解決策はあるのだろうか。

Echoの新機種を相次いで投入。

 AI(人工知能)技術を活用した音声アシスタントやそれを利用するためのスマートスピーカーが、いっとき大きな盛り上がりを見せた。ブームが沈静化して淘汰が進んだ今でもこの分野に力を入れ、トップを走っているのがアマゾン・ドット・コムである。

 同社は現在も積極的にEchoシリーズの新製品を発表している。2024年7月9日には天気などを表示するディスプレーが搭載された「Echo Spot」の2024年モデルを日本に投入。6年ぶりの新製品ということもあって話題になった。

アマゾン・ドット・コムが2024年7月に発売した「Echo Spot」の2024年モデル。6年ぶりの刷新。天気などを表示するシンプルなディスプレーを搭載する
画2、アマゾン・ドット・コムが2024年7月に発売した「Echo Spot」の2024年モデル。6年ぶりの刷新。天気などを表示するシンプルなディスプレーを搭載する。

 そしてもう1つ、同社が日本への投入を発表したのが、ディスプレーとカメラを搭載した「Echo Show」シリーズの新機種である。映像視聴やビデオ通話などにも利用できる。アマゾン・ドット・コムは日本法人であるアマゾンジャパンを通じ、「Echo Show 8」の第3世代モデルを日本で販売する。

 この第3世代モデルは8インチのディスプレーを搭載する、Echo Showシリーズの中では中型に位置するモデルである。2021年に発売された第2世代モデルから比べると、新たに空間オーディオに対応するなど音響面が強化されている。

 また、「Zigbee」「Matter」「Thread」といった規格に対応した別製品との連係が可能になるなど、スマートホーム関連機能の強化も図られている。

 さらに、従来は右側上部に設置されていたカメラを中央に設置し、ビデオ通話に活用しやすくなった。カメラで利用者との距離を判断し、距離に応じて見やすい大きさの表示に切り替える調節機能なども新たに搭載した。

2024年8月には「Echo Show 8」の第3世代モデルを日本で発売。米国では2023年10月に発売されたモデルで、空間オーディオへの対応やスマートホーム関連の強化などが図られている
画3、2024年8月には「Echo Show 8」の第3世代モデルを日本で発売。米国では2023年10月に発売されたモデルで、空間オーディオへの対応やスマートホーム関連の強化などが図られている。

ディスプレーとカメラで家庭での利用が拡大。

 アマゾンジャパンによると、Echo Show 8 第3世代モデルの国内投入には次の2つが大きく影響しているという。1つが、日本におけるEchoシリーズユーザーの増大。2018年の提供開始から、月間アクティブユーザー数が9.9倍に増加している。もう1つがEcho Showの人気。日本に限らず世界的にもEcho Showシリーズが高い割合で利用されている。

 Echo Show 8のような大画面のモデルは、主としてリビングなど家族が共有するスペースに設置されることが多いという。一方で小型の「Echo Show 5」やEcho Spotなどは、寝室や書斎などのパーソナルスペースにおいて利用されているという。

日本ではEcho Show 8などの大画面モデルは家族の共有スペースで、Echo Spotなどの小型モデルはパーソナルスペースで利用されているという
画4、日本ではEcho Show 8などの大画面モデルは家族の共有スペースで、Echo Spotなどの小型モデルはパーソナルスペースで利用されているという。

 またアマゾンジャパンが2020年と2024年に実施したアンケート結果を比較したところ、音楽やラジオを聴くといった従来のEchoシリーズの主要機能に加え、ビデオ通話や子ども及びペットの見守りに利用していると回答した人が大幅に増加したという。

 これらの機能はEcho Showシリーズを所有していなければ利用できないだけに、Echo Showシリーズの人気が高い日本ならではの傾向が表れているとアマゾンジャパンはコメントしている。

2020年のアンケート結果と比較すると、2024年にはビデオ通話やカメラを用いた見守りなど、Echo Showシリーズが備える機能の利用が大きく伸びているという
画5、2020年のアンケート結果と比較すると、2024年にはビデオ通話やカメラを用いた見守りなど、Echo Showシリーズが備える機能の利用が大きく伸びているという。

 加えてビデオ通話や見守りといった機能の利用は、小学生以下の子どもを持つ家庭で大きく伸びているという。これら一連の傾向から、日本ではカメラとディスプレーを備えたEcho Showシリーズならではの機能がファミリー層で支持され、家族でのコミュニケーション用途に多く活用されていることが見えてくる。

 Echo Show 8 第3世代モデルは、家庭での利用に重点を置いて投入されたと考えられる。オーディオ関連の強化やスマートホーム機能の充実などはもちろんだが、とりわけカメラの位置変更はビデオ通話に大きく影響する。ファミリー層によるビデオ通話の利用を促進したい狙いが大きいと言えそうだ。

Echo Show 8 第3世代モデルはビデオ通話を重視し、カメラが正面に来るよう配置が変更されている
画6、Echo Show 8 第3世代モデルはビデオ通話を重視し、カメラが正面に来るよう配置が変更されている。

稼げない音声アシスタントのテコ入れをどうする。

 このように、アマゾン・ドット・コムは現在もEchoシリーズに力を入れている。その一方でここ最近、そのEchoシリーズに関連する事業の不振が伝えられているのが非常に気になる。アマゾン・ドット・コムのハードウエア事業や、音声アシスタントAlexaに関連する事業が大きな赤字を出していると伝えられる機会が増えている。

 Echoシリーズの普及でAlexaの利用は大きく拡大したが、普及を優先させてハードウエアを低価格で販売しているため、利益を出せていない。多数獲得したAlexaのユーザーを売り上げに結びつける明確な道筋を描けていないというのが、不振の大きな要因とされている。

 それだけに、近くアマゾン・ドット・コムは、Alexaに関する大幅な刷新をするのではないかと伝える報道も見かけるようになってきた。

 音声アシスタントを売り上げにつなげることには、アマゾン・ドット・コムだけでなく他社も成功しているとは言い難い。そのため最近は、普及よりも売り上げを重視する動きが出てきているようだ。

 例えば米Google(グーグル)は、自社のスマートフォン「Pixel」シリーズの音声アシスタントを、「Googleアシスタント」から生成AI技術を取り入れた「Gemini」に置き換える動きを進めている。Geminiへの移行により音声アシスタントを高度化させ、利用用途やシーンを広げるのが狙いだ。

 だがグーグルの狙いはそれだけでないと筆者は見ている。有料サービス「Gemini Advanced」の利用につなげようとしているのではないだろうか。Gemini Advancedは通常のGeminiより高度な回答が得られる。だが利用するには、一般ユーザーであればグーグルのメンバーシップサービス「Google One」において「AIプレミアムプラン」(月額2900円)を契約する必要がある。

グーグルは「Pixel」シリーズの音声アシスタントを「Gemini」に置き換える動きを進めている。新機種「Pixel 9 Pro」シリーズを購入すると、「Gemini Advanced」を利用できる「Google One」の「AIプレミアムプラン」が6カ月間無料になるという
画7、グーグルは「Pixel」シリーズの音声アシスタントを「Gemini」に置き換える動きを進めている。新機種「Pixel 9 Pro」シリーズを購入すると、「Gemini Advanced」を利用できる「Google One」の「AIプレミアムプラン」が6カ月間無料になるという。

 日本時間2024年8月14日にグーグルが発表した新しいスマホのうち、「Pixel 9 Pro」シリーズ3機種にはAIプレミアムプランを6カ月分付けて、無料でGemini Advancedを体験できるようにする。

 高度なAIに付加価値を付け、その体験やプロモーションに重点を置くことで、将来的な売り上げへと結びつけようとしている様子がうかがえる。

 それだけに今後アマゾン・ドット・コムも、売り上げを重視して何らかの形でAlexaの有料化に踏み切る可能性が十分考えられる。

 ただそれが、広く普及したEchoシリーズユーザーの体験価値を損ねるものだった場合、大きな反発を生む可能性が非常に高い。事業の生き残りに向けて難しい判断を迫られるだろう。


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