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白川紺子著〖朱華姫の御召人〗上巻・下巻あらすじ・ネタバレ感想!

白川紺子著〖朱華姫の御召人〗上巻・下巻あらすじ・ネタバレ感想!
〖後宮の烏〗の舞台・霄の国の隣国・暁の国のお話。
〖後宮の烏〗との設定の違いを比較しながら読むのも楽しいですよ。
カバーイラストが香魚子さんに変更されますます世界観にハマります。

朱華姫 あけひめ 御召人 おめしびと 〗上巻・下巻

『朱華姫の御召人』上巻・下巻 あらすじ・ネタバレ感想 tataraworks
■著者:白川紺子
■カバーイラスト:香魚子
■カバーデザイン:関静香(woody)
■発行:株式会社集英社
■上巻発売日:2022年9月16日
■下巻発売日:2022年10月20日



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〖朱華姫の御召人〗登場人物

〖朱華姫の御召人 上 かくて愛しき、ニセモノ巫女〗

〖朱華姫の御召人 下 かくて恋しき、花咲ける巫女〗




〖朱華姫の御召人〗上巻・下巻登場人物登場人物

<メイン>
ほたる 
 『 朱華姫 あけひめ 』になった16歳
 8歳から母の看病
 10歳から伯父の使用人にされる
 貴族の娘だが読み書きができない
 朱華姫として 泳の宮 くくりのみや で暮らす
ひいらぎ 
 『朱華姫の 御召人 おめしびと 』の役目
 『 刃金の皇子 はがねのみこ> 』と言われている
 現在の帝の第二王子
 穢れの呪いで死なない体となった
 周囲から化け物扱いされている

暁の国 あけのくに の現在の帝
 護神の千依神の不在を隠す為、
 螢に朱華姫のふりをさせる
 (3年の約束)
しゅう 
 『 皇太子 ひつぎのみこ 』で柊の腹違いの兄
 ちょっぴり意地悪で螢をよくからかう
 敵か味方か微妙
青藍 せいらん 
 隣国・霄の国出身で銀髪
 8歳から帝に仕える巫術師
 宮に結界を張っているが3年が限界
 神の不在を知る1人
ともえ 
 螢と丹生家で共に過ごしていた乳母子
 螢が朱華姫になり侍女として宮へ入る
氷見絲 ひみいと 
 8人いる 桃花司 つきのつかさ をまとめる 桃花頭 つきのかしら 
 最も朱華姫になるに相応しい人物
 右大臣・氷見の娘でもある
絲の父親で右大臣・氷見

あかり 
 螢の母で『 霊腐し みたまくたし 』を患い寝たきり
 帝の命令で丹生家から移動させられた

千依神悠宜 ちよりのかみゆぎ 
 『 楽の宮 さららのみや 』の神
 朱華姫に恋をし護神になる
 16年前、穢れ神に体を霧散させられた
香久夜 かくや 
 春楊宮に棲みつく 穢れ神 けがれがみ 
 悠宜との戦いから未だ体が戻らない
 隙あらば柊を自分に取り込みたい

<上巻登場人物>
丹生 にう の当主
 螢の母の兄で螢にとっては伯父
 螢を使用人扱いし暴力もふるう
神祇伯 じんぎはく 
 神祇官を束ねる長官。稲日家出身
 帝の命令で丹生家に螢を迎えに来た
大学頭 だいがくのかみ 
 螢の教育係になる
 螢が読み書きもできないと知り侮辱
 柊にクビにされる
なつめ 
 先代の朱華姫で現在の帝の伯母
 化け物扱いの柊と普通に接した人
 柊はそのことに恩を感じている
みお 
 桃花司のうちの1人
 巴をいたぶり螢に嘘をついて呼び出す

<下巻登場人物>
芙蓉 ふよう 
 萩の母で后。元は隣国・霄の国の人
 16年前から人が変わってしまった
 螢の母のことを知る人物でもある
兵衛佐 ひょうえのすけ 
 『 兵衛府 ひょうえふ 』の議政官
あや 
 『 水司 もいとりのつかさ 』の女官だった
 螢の母と帝の関係に気づいていた
かすみ 
 16年前の朱華姫
 螢の母とは幼馴染みだった
水蓮 すいれん 
 参議。霄の国出身の官吏
 勝手に柊を処刑しようとする



〖朱華姫の御召人 上 かくて愛しき、ニセモノ巫女〗あらすじ

螢の母は暁の国に蔓延している<霊腐し>という病で寝たきりの状態です。
螢は貴族の娘でありながら父親が不明だったため母の兄である伯父から酷く蔑まれていました。
伯父は螢を下働きとして働かせ時には殴りつけることもありましたが、螢は病気の母が家から追い出されないよう伯父の仕打ちに耐えていました。


ある日、山菜を採りに行った螢は甘い香に誘われて杏園に迷い込みます。
ろくに食べていない螢は空腹に負け杏の木に登り実を食べてしまいます。
螢が杏を堪能していると、突然青年に声をかけられます。
食べていたのが帝に献上される杏だと知り動揺した螢は木から転落。
足を捻挫してしまいます。
青年は帝の杏をいくつかもいで螢に持たせ、さらに家まで送ってくれました。


そんなことがあった数日後、伯父の家に神祇伯が螢を迎えにやって来ます。
螢の母は病にかかる前に、螢の父親が先帝だと教えていました。
そして、決して宮に近づいてはならないと言いつけていました。
しかし、「帝の御召し」とあっては断れません。
神祇伯に連れられ宮に着いた螢は大勢の貴族が集まる中、帝から朱華姫に選ばれたと宣言されてしまい……。



〖朱華姫の御召人 上 かくて愛しき、ニセモノ巫女〗ネタバレ感想

『朱華姫の御召人』シリーズは、2014年にコバルト文庫から発行されました。
2022年10月1日から白川紺子さんの最大の人気シリーズ『後宮の烏』のアニメ放送が始まるのにあわせ、舞台設定が似ている『朱華姫の御召人』シリーズが集英社文庫から新たに発行されました。
カバーイラストも『後宮の烏』シリーズを担当した香魚子さんに変更です。
本屋の平積みで香魚子さんのイラストに変わった『朱華姫の御召人』を見つけた時は小躍りして即買いしました。


螢は8歳から母の看病をし、10歳から伯父に下働きとして働かされ、貴族の娘ながら読み書きすらできません。
朱華姫として相応しい教養を身につけるよう大学頭が教師としてつくのですが、彼は螢の無知を糾弾します。
学がないことをバカにされるのは辛くいたたまれないものです。


柊は、螢に対して全てが甘々です。
きっと柊自身が他人と接する機会が極端に少なかったため人との距離感の塩梅が分からないからでしょう。
その上、柊はある事情から人々に恐れられている存在です。
事情を知らないとは言え、螢が普通に接してくれたことが嬉しくて同じように螢を喜ばせたかったのでしょう。
子供の相手をするように一から教えなければならない螢に、柊は丁寧に教えるのでした。


――彼女が朱華姫だったなら、こんな目にはあわない。
 彼女は、それを許さない。まわりの者も、彼女にはけしてこんなことをしない。螢は、あなどられているのだ。弱い者だと。父もなく、たいした家の出でもなく、すべてをはねつけるような誇り高さも持ち合わせていないから。
――みじめだ。
(159ページから引用)

螢は、氷見家の娘・絲と対面した時、初めて自分のみじめさを実感します。
人の上に立つのが当然として生きてきた絲は螢とは貫禄が違います。
立っているだけでそれと分かる絲の高貴さは螢には身についていないもの。
これまで比較対象がいなかったので気づかなかった螢ですが、絲に見られるだけで自分のふがいなさに敗北感と羞恥心でいっぱいになります。
負けた、と思っている空気は相手にも何となく伝わりますから、絲が螢にかしずくことはありません。


この人がリーダーであることは当たり前なのだと誰もが認める人とは、一体どんな人なのでしょうか?
権力や財力があるというのは分かりやすい要因でしょうが、そういうものがなくても常に人の輪の中心に居る人物はいます。
多分、端っこに居ても皆が中心へ連れて行くのでしょう。
絲には人をかしずかせるに足る威厳がありますが、それは幼い頃からそういう教育を受けたからでしょう。
持たざる者である螢が、周囲の人々の自分に対する態度や考えをどのように変えていくかがポイントですね。
『朱華姫の御召人 上 かくて愛しき、ニセモノ巫女』 あらすじ・ネタバレ感想 tataraworks



〖朱華姫の御召人 下 かくて恋しき、花咲ける巫女〗あらすじ

朱華姫である螢が暮らす泳の宮に血なまぐさい嫌がらせが頻繁に行われます。
とうとう螢の膳にとんでもないモノが入れられます。
人の指が羹に入っていたのです。
意気消沈する螢。
でも、螢を大切にしてくれる御召人・柊や桃花頭の絲の強気な発言によって、螢も前向きになります。


螢は、酷い嫌がらせをしている犯人の裏をかくことを柊に提案します。
そして、螢は皇太子であり柊の兄・萩を訪ねます。
萩は嫌がらせ犯は後宮の者だと推理し螢にもう来るなと言います。


神に朱華姫には夫がいると信じ込ませるために朱華姫とその御召人は仲睦まじく過ごさねばなりません。
それはあくまでも『ふり』であって泳の宮の中だけのこと。
しかし、柊は自分のことを恐れず接してくれる螢につい口づけてしまいます。
密告された柊は螢から離され幽閉されてしまい……。



〖朱華姫の御召人 下 かくて恋しき、花咲ける巫女〗ネタバレ感想

こっわ~!
萩の母・芙蓉がめちゃ怖いです。
この人なら本当に目玉の一つもくり抜きそうだし手足の1本や2本は面白半分に切り落としてしまいそうです。
萩の飄々とした態度は母の無慈悲な振る舞いを見て見ぬふりをするしかない息子の現実逃避だったのかも。
それなのに、螢が朱華姫としてやって来たため目を向けないわけにはいかなくなります。


111ページで絲は、
「助けられた命よりも、失われた命の恨みのほうが重い。人は、失ったものは忘れぬ」
と言います。
戦場で多くの兵士が死んでも、16年前から不死身の体になった柊だけは死ぬことがありません。
身内を戦で失った者からすれば、生き残った柊こそが憎い存在なのです。


柊は怪我をしてもすぐに治りますが、痛みがないわけではありません。
矢が刺されば普通の人間と同じように焼けるような痛みを味わいます。
戦場で生き残る柊は、死ぬほどの痛みを何度も何度も味わっているのです。
その辛さと恐怖は他の人には分かりません。
そして、柊の言葉も他の人には届きません。
化け物だと思われること以上に、自分を信じてもらえないことの方が辛く絶望的な気持ちになるのではないでしょうか?


柊の傷は癒えても心は癒えません。
恐怖、罪悪感、孤独、後悔、絶望。
死んで苦痛から逃れられない柊は自分の中の様々な感情に鈍感になるしかなかったのではないでしょうか?
螢と出会ったことで心が動いた柊は更に何倍も傷ついたけれど、自分を憎む人ばかりではないことも知ります。


このお話、『後宮の烏』シリーズ同様、中華風ファンタジーだと思っていましたが、帯に“和風ファンタジー”と書かれています。
あれ?中華じゃないの?と思いながら読み進め、螢が最後に神の誓約の証を受け取ったので、なるほどそれでか、と納得しました。
よく考えたら名前は日本語ですしね。
下巻は初っ端から螢と柊がナチュラルにいちゃついていてキュンとする要素も多めに楽しめました。
最後もいちゃついてましたがね、ふふ。
『朱華姫の御召人 下 かくて恋しき、花咲ける巫女』 あらすじ・ネタバレ感想 tataraworks

☆。・:*:☆。・:*:☆。・:*:☆。・

ご訪問ありがとうございました

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