それで、前々回の記事では奈良時代の制定された僧侶への位階である【四位十三階】を論じたのだが、詳細を『緇門正儀』で載せている内容から検討してみたい。
一 修行位〈又、伝灯無位と称す〉 八位相当
一 誦持位
一 伝灯入位 六位相当
一 伝灯住位 六位相当
一 伝灯満位 五位相当 已下を三階と謂う
一 伝灯法師位 四位相当
一 伝灯大法師位 三位相当 弘仁十一年十月大師之に任ず
延暦十七年九月乙卯、治部省の解に偁く、僧位に俗位を与え、相当すること、僧綱の牒に偁く、僧位に五階有り、入位・住位・満位・法師位・大法師位なり。即ち此に準ぜば、又、無位の僧は八位に当たり、入位は七位に相当し、住位の僧は六位に当たり、満位の僧は五位に当たり、法師位の僧は四位に当たり、大法師位の僧は三位に当たる。〈日本逸史第七〉
『緇門正儀』11丁裏~12丁表、原文を参照しつつ訓読は拙僧
色々と分からないことばかりなのだが、拙僧自身の勉強を主たる目的としているから、その結果のみを書いておきたい。まず、ここで釈雲照律師が参照された『日本逸史』という文献だが、平安時代に編纂された『日本後紀』の復原を企図して編集された文献で全40巻、江戸時代の元禄5年(1692)に成立し享保9年(1724)に刊行された。それで、同書7巻に確かに上記の引用文が入っていた(『国史大系』巻6[経済雑誌社・明治30年]を参照した)。
そこで、以前の記事で「四位十三階」の僧位を良弁が上奏したことは既に論じたが、その後朝廷が定めたのは、「二色九階」の制度だったという。要するに、伝灯大法師位を最高位としつつ、その下に伝灯の四位、修行の四位を於いて、伝灯・修行の二色が、全体として九階だったことを意味する。
なお、「一 伝灯入位 六位相当」は誤植で「七位相当」だと思う。また、「弘仁十一年十月大師之に任ず」は、弘法大師空海のことを指している。とりあえず、少しずつ理解を進めるが、今日はここまで。
【参考資料】
釈雲照律師『緇門正儀』森江佐七・明治13年
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