川瀬巴水は、明治16(1883)年
東京市芝区露月町(現在の港区新橋5丁目)の生まれ。
幼い頃から絵を好み、画家を志しましたが
修業の開始は遅く、鏑木清方への入門を果した後のこと。
すでに27歳になっていました。
転機が訪れたのは、大正7(1918)年。
同門の伊東深水が手がけた連作《近江八景》を見て
木版画の魅力に打たれます。
版元・渡邊庄三郎と組み、塩原に取材した三部作を翌年発表。
写生に基づく温雅な下絵が清新な木版画となり、好評を得る。
旅に出てはスケッチをし、東京に戻っては版画を作るという暮らしを
病で世を去る昭和32(1957)年まで続けたのです。
旅は日本全国、名所旧跡
多くはかつて日本のどこにでもあった風景。
四季や時刻の表情を大切にし
しばしば土地に暮らす人々を点景として織り交ぜながら
おぼろ月・わきたつ入道雲・そぼふる雨・しんしん雪の降る風景を
巴水はあくことなく描き続けました。
生涯に残した木版画は600点を超え
旅の印象を抒情的に描くその作風から
「昭和の広重」とも称えられました。
今やどこにも存在しない、懐かしい日本の風景に会いにー。
大好きな「川瀬巴水(はすい)」の木版画
12のモチーフ別に見てみましょう。
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