私がまだ幼稚園の年長さんであった61~2年前くらいまでは、台湾バナナは超高級品でした。
果物屋の息子である私でさえも、台湾バナナは滅多に食べさせてもらえず、せいぜい風邪を引いて熱を出した時に、柔くなったり潰れたバナナが食べられることくらいでした。
その頃、父の親戚が4~5人九州の田舎から訪ねてきたことがありました。
母は、折角遠くから訪ねてきたのだからと、大きな台湾バナナを房ごとだしたそうです。
暫くして部屋に行ってみると、台湾バナナは綺麗に無くなっていたので、ビックリしてもう1房出して、暫くしていって見ると矢っ張り綺麗に無くなっていました!
いくら何でも、そんなに食べられるはずがないのになあ、と不思議に思いながらもう一回バナナを出して、それとなく様子をうかがっていたそうです。
そうしたら、なんと、”これは良い土産が出来た!”とみんなでバナナを分けて鞄にしまっていたそうです。
母は、後で大笑いしていました。
台湾バナナは、当時はそれほどの高級品だったのです。
当時、台湾バナナは「台中 たいちゅう」と「高雄」の2種類が有りました。
味は「台中」の方が良いのですが、ずんぐりむっくりして裏側が黒いものが多かったので、よくお客さんからは「もっと綺麗なのをくれ!」と言われていました。
それに対して「高雄」は、フィンガーがすらりとして裏側も黒くなく綺麗なものでしたが、味の方は「台中」と比べると粘りが少なく、コクも薄かったですね。
そのため、「高雄」を買ったお客さんからは、「もうちょっと美味しいのをくれ」とよく言われていました。
そのたびに、「綺麗なのは味が落ちるし、美味しいのは形がずんぐりして裏側がくろいんですよ。」と説明したものです。
当時、台湾バナナは「台中 たいちゅう」と「高雄」の2種類が有りました。
味は「台中」の方が良いのですが、ずんぐりむっくりして裏側が黒いものが多かったので、よくお客さんからは「もっと綺麗なのをくれ!」と言われていました。
それに対して「高雄」は、フィンガーがすらりとして裏側も黒くなく綺麗なものでしたが、味の方は「台中」と比べると粘りが少なく、コクも薄かったですね。
そのため、「高雄」を買ったお客さんからは、「もうちょっと美味しいのをくれ」とよく言われていました。
そのたびに、「綺麗なのは味が落ちるし、美味しいのは形がずんぐりして裏側がくろいんですよ。」と説明したものです。
最近、台湾バナナを見る機会が減ったと思いませんか?
六〇年近く前には、台湾バナナと言えば超高級品で、店の奥にでんと鎮座ましましておられたのですがねえ...。
台湾バナナと言えば思い出すのが、六〇年くらい前に(私がまだ幼稚園か小学校低学年の頃)近くの街角で台湾バナナのたたき売りを父と見に行った時のことです。
竹で編んだ大きなカゴ(当時は、籐丸駕籠 とうまるかご と呼ばれていたらしい)から台湾バナナを取り出して、前口上(これがまた長いけど面白い)を述べながら競っていくわけですが、これがなかなか競りを始めようとしないんです。
いい加減いらいらした客が帰ろうとしている頃合いを見て、やっと競りを始めるのです。
で、下げ競りと言って、最初は高い値段から段々と下げていくわけですが、最初は皆用心してなかなか買わないわけです。
いい加減下げてもなかなか買おうとする客が出てこないので、かぱっと値段を下げた時、すかさず私の直ぐ後ろから「買った!」の声が掛かりました。
後ろを振り返ってみると、なんと、その声の主は父だったのです。
え?果物屋なのになんで?と思って後で父に聞いてみると、「安かったから」という答えでした。
そのバナナは、当然、買ったときよりも高い値段を付けられて、店頭に並べられていましたが、直ぐに売れていきました。
それを見ていて、なんだか複雑な気持ちになったのを今でも覚えています。
六〇年近く前には、台湾バナナと言えば超高級品で、店の奥にでんと鎮座ましましておられたのですがねえ...。
台湾バナナと言えば思い出すのが、六〇年くらい前に(私がまだ幼稚園か小学校低学年の頃)近くの街角で台湾バナナのたたき売りを父と見に行った時のことです。
竹で編んだ大きなカゴ(当時は、籐丸駕籠 とうまるかご と呼ばれていたらしい)から台湾バナナを取り出して、前口上(これがまた長いけど面白い)を述べながら競っていくわけですが、これがなかなか競りを始めようとしないんです。
いい加減いらいらした客が帰ろうとしている頃合いを見て、やっと競りを始めるのです。
で、下げ競りと言って、最初は高い値段から段々と下げていくわけですが、最初は皆用心してなかなか買わないわけです。
いい加減下げてもなかなか買おうとする客が出てこないので、かぱっと値段を下げた時、すかさず私の直ぐ後ろから「買った!」の声が掛かりました。
後ろを振り返ってみると、なんと、その声の主は父だったのです。
え?果物屋なのになんで?と思って後で父に聞いてみると、「安かったから」という答えでした。
そのバナナは、当然、買ったときよりも高い値段を付けられて、店頭に並べられていましたが、直ぐに売れていきました。
それを見ていて、なんだか複雑な気持ちになったのを今でも覚えています。