良い天気が続き、私の休みと好天が重なったので久しぶりにおじいちゃんを外に連れ出した。
冬の間、足元の悪さや寒さ対策として大型スーパーの屋内散歩がいいところで、散歩とは言い難い状況が続いた。
外出は、本人的にも希望していることで、素直に身支度を始める。
これまで、上着は自分で着れたが、運動不足と本人の自立意志の希薄さから急激に老化が進み着れなくなっていた。
デイサービスも「ただ居るだけ」状態が続いているし、運動といえばグループホーム内をウロウロする程度になっている。
身支度を整え、オムツ、おしりふきなどを持ち、グループホーム近くにある大規模公園に出発した。
分かっていたことだが、おじいちゃんは私の家に引き取ってもらえると思っていたので、公園到着後も車からなかなか降りようとしない。
他の方だと「ここじゃない!お前の家にいくんだ!」など意思表示するはずだが、何度か書いたようにおじいちゃんは自分の本音は健常時から言わず、相手に言わせるようにしむける。そうすれば「俺は言ってない。お前たちが決めたこと(したこと)を仕方なく了承したんだ」と逃げることができる。
今回も同じだ。
こちらも負けじと、足を持ち、体を車外に向け、腰をずらし、表に回り、ぶつけないように車から降ろす。
外に出ると自分で歩き出す。
杖を持たせ、手を引いて歩き出すが、足元がおぼつかない。
公園管理事務所で車いすを借りてきたが、本人が歩けるだけ歩かせるつもりでいた。
本人は、既に先ほどまでの記憶(私の家に引き取られる)が途切れているので素直に散歩に切り替わっている。
しかし、歩みが足の裏を引きずるように歩き、足が上がらない。
気持ちのスピードと実際のスピードの差から前傾姿勢がだんだんきつくなる。
持たせた杖は何の役目も負っていない。
「危なさ」が大きくなったので、車いすに乗せ、「日向ぼっこでいいか。虫干し、虫干し」と公園内を回った。
陽射しの柔らかいところで、水虫治療の爪削りや薬塗りをした。
運動不足からか足のむくみもひどく、ゴムのゆるい靴下(古いのではなく、あっちこっち探して見つけた靴下です)なのにしっかり足に繊維の網目がついている。
ついでなのでそこでマッサージも始め、結局2時間半ほどの外出となった。
この間、こちらから話しかけても返事はない。会話はまずない。
グループホームへ送り、スタッフからは「長い時間でしたけどどうでした?」と聞かれ、外出時の様子を伝えた。
スタッフもおじいちゃんの意思表示の無さ(病気で表情が無いとか意思を伝えられないというのではなく、「この施設に関わりたくない」という考え方から意思表示しないようにしていると思われる)に、ずいぶん困っているのだ。
良いスタッフに恵まれ、「少しでもおじいちゃんに快適生活を」と考えてもらっているだけに我々はいつも恐縮している。
おじいちゃんは、散歩で気持ちが落ち着いたのか、分かっていないのか、帰りは素直にグループホームに戻り、私たちが帰る際もわがままを言わずに見送れた。
妻と「車いす、必要かね?そろそろ買っておいた方がいいかな?」
と会話になった。
二人とも買ってしまうとおじいちゃんはもっともっと歩かなくなるからもうしばらく様子をみることにした。
なぜなら、おじいちゃんには人の好意を要求する傾向が強く、甘える。
これが、今以上に足腰を弱らせる結果になりそうなので、現時点での購入を控えることにした。
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