ジジイの鉄槌

認知症で要介護1の実父!施設介護のよもやま話しです。
仕方なく成年後見人になり、その後要介護5へ…

いつからよ・・・? & お嬢さん!

2014-03-07 | 認知症よもやま話

認知症に限らず、齢を取ると記憶力が落ちる。
よく聞くのが、「最近の記憶はあいまいだが、遠い昔の記憶は鮮明」という。

父の場合、脳梗塞で言語、計算、図形解釈の能力がかなり低下した。
二度の脳梗塞は、1回目から顔の認識はあっても名前を思い出すことができなかった。
昔から「おい」や「あんた」「おまえ」などで家族を呼ぶ方だったので、本人的には「家族の名前を思い出せない」ことはあまり重要ではなく、不都合もなかったようだ。

家族側にしてみると、病状の確認などもあり、見舞いの度に「誰だかわかる?」と聞く。これが本人的には煩わしい。顔認識はあるので「おまえはおまえだろ!」と不機嫌になる。
「おまえって、名前はなんていうか覚えてる?」と質問をかぶせると「もう!おまえはおまえだ!」と怒り出す。

名前を忘れる(思い出せない)人は、近しい人ほど出てこなかった。
自分の妻、長男、次男(私)・・・出てこない。
なぜか長女(妹)だけは、最初の脳梗塞も二度目も、そして認知症になっても一度も忘れることが無かった。
当時主たる介護者の母は、これが癪に障る!
「どうして、奥さんの名前忘れて出てこないのに、娘の名前は忘れないのさ!いっそのことあんたが面倒見なさいよ!」
と妹に不満をぶつける。
いい迷惑なのは妹で「別に私のせいじゃないし、たまたまそうなんだし・・・」
と、言うしかない。
後日、私が主たる介護者になると当時の母の気持ちがよくわかる。
なにせ、用事があると「おい!おまえ」と呼ぶ。
介護疲れやほかの用事で立て込んでる時に、こう呼ばれると、結構腹が立つ!

いつだったか記憶が曖昧だが、私、妻、息子で見舞いに行ったとき、例によって
「おじいちゃん、名前分かる?」
と妻が聞くと
「うん。あれだ。あんたは、これの(私を指す)お嬢さんだ」
妻が続けて「これ(私を指し)、これの名前は?」
ん~~~~。出てこない。忘れた
「〇〇〇(私の名前)だよ。おじいちゃんの『む・す・こ』だよ」
「はぁ?〇・〇・〇?・・・・・・・・・いつからよ?」
妻も、私の息子も大笑いした。
でも、私は笑えない。なぜなら妻が「これ(私を指し)、これの名前は?」と聞いた「これ」に「お前まで言うか!」とイラッとしたから

不思議と妹の名前だけは100%忘れないし、間違わない。
孫の名前も大方は出てこないが、調子が良いと出てくる。
おばあちゃんと私の名前は、いまだに出たり、出なかったりする。
私をサポートしてくれている妻も名前が出たり、出なかったりするが、彼女だけは機嫌がいい。なぜなら、名前が出ない時の呼ばれ方はお嬢さんだからだ。
妻は「この齢になって、『お嬢さん』だって!」とニコニコしている。


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