ルクラから先、タンボチェくらいまで行こうかと思うが、足も思わしく無く、帰国便が9日後なので往路を戻る事にした。
シェルパニ夫人にお礼を言って、朝7時宿を出る。昨日夕食を共にした高校生も、寒いのに自宅前の外で見送ってくれた。
ロバ隊注意
ロバ隊に崖路で出会ったときは、崖側に避けてはいけない。ロバは人間に対して一部の配慮も思いやりも無い。グイグイ押されて崖から落とされる。崖路でロバ隊に出会ったら、山側に避けよう。顔を見て『ロバさん優しい』なんて思うは大きな誤解だ。
復路も珍事件の連続だった。途中の農家に農耕用の黒牛がいた。その黒牛が、家の前を通過した運搬を仕事とする灰色牛隊の後ろに、家から勝手に出て付いた。農家にとって黒牛は大切の財産だから、運搬牛隊の牛飼いも、このまま黒牛を連れ去る事は出来ない。叩いたり、怒鳴ったりして牛飼いは黒牛を家に戻そうとする。黒牛は一旦戻りかえるが、すぐに灰色牛隊の後を追う。牛飼いは「最終兵器」として、人間なら「即死」級の大石を黒牛の頭に叩き付けた。黒牛は『モオゥー』と一声鳴いて走り下った。けれど、30分程すると黒牛は再び上がって来て、灰色牛隊の後ろのついた。しばらくして、今度は若い男の人が太い竹の棒を手に、サンダル履きでもの凄い勢いで坂を駆け上って来た。男の人は太い竹の棒で黒牛を乱打する。黒牛はたまらず馬なみのスピードで坂を駆け下り始めた。男の人も、牛を殴りつけながら坂を駆け下る。おそらくであるが、灰色牛隊はいつも黒牛の家の前を通過する。黒牛は、灰色牛隊の誰か一頭を『素敵な方!』と見染めてしまったのだ。盛りのついた黒牛は、酷い目に合いながらも恋を成就しようとしたのだと、私は考えた。それにしても、あの農家のサンダル履き男性が、そこらの「トレイルランニング」に出場すれば、ブッチギリ優勝間違いなしだと思う。
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