黒澤明監督作品の4Kリマスター Ultra HD Blu-ray(4K版ブルーレイディスク)の販売が開始されました。2023年5月7日現在で「生きる」「野良犬」「用心棒」「椿三十郎」の4タイトルが販売されています。5月に「天国と地獄」「影武者」、6月に「七人の侍」が出る予定。他の作品も順次これに続くと思います。黒澤マニアとしては気になるところ。今回は映画ネタです。
🌟待ち望んだ東宝・黒澤作品のデジタル修復版
今回の4K版ブルーレイの注目点は4Kリマスター版であること。つまり、デジタル技術で映像に付いてしまった傷を綺麗に取り除いたり、長い年月の間に低下してしまった映像の明暗やコントラスト、シャープさなどの修復・復元が施されているという点だ。東宝もやっとやっと重い腰を上げてくれました。
下の写真1は「椿三十郎」購入遍歴です。台詞まで暗記しているタイトルなのに、レーザーディスクからDVD、ブルーレイ、海外クライテリオン版ブルーレイと、高画質を求めて彷徨った結果です。しかし、これまでの最高画質であるはずの東宝のブルーレイ版にはガッカリさせられました。リマスター版を謳いながら、映像の傷は取り除かれていないし、鮮明感もイマイチ!松竹の小津安二郎作品や溝口健二作品は綺麗に修復されたブルーレイが発売されているというのに、黒澤マニアとしては怒りに燃えました。
【写真1】①レーザーディスク版、②DVD版、③ブルーレイ版、④クライテリオン修復版、⑤4K Ultra HDブルーレイ版(今回購入)
🌟デジタル修復のできばえは?
先に述べたような東宝に対する不信感もあって、今回は「用心棒」と「椿三十郎」の2タイトルだけを購入(写真2)、まずはデジタル修復のできばえを確認することにしました。
【写真2】購入した「用心棒」と「椿三十郎」4Kリマスター 4K Ultra HDブルーレイディスク。
わが家の映画館に持込み画質をチェックしてみましたので、ご報告です。わが家の映画館といっても、映画館を経営しているわけではありません。プロジェクターと大型スクリーンを設置した映写室のことです。私の引き籠もり部屋です。
【写真3】わが家の映画館の130インチ大型スクリーン。ボタン一つで上から降りてきます。
【写真4】4K映像対応プロジェクターです。サラウンド・システムも完備してますよ。
🌟映像確認結果報告
いや〜、最高、感激しました、二つのタイトルとも映像に傷一つありません。明暗、コントラスト、解像感、非常に良く修復されています。上映当初はこんな感じだったのかと感激しました。「椿三十郎」の画像を下に載せておきます。スクリーンに投影された映像をデジカメで撮影したものです。映画冒頭のお堂の薄暗いシーンも、闇のベールを1枚剥いだように鮮明で見通しの良い映像になっています。これまで観た中でも、飛び抜けた映像に仕上がっています。わかる人(マニア)にはわかります。
黒澤マニアとしては大満足!確認後、躊躇することなく「天国と地獄」「七人の侍」の予約を入れました。「七人の侍」は「椿三十郎」よりさらに古い映画ですから、映像の傷も多く修復が困難と思います。どんな感じに仕上がってくるか楽しみです。
次回は、今回ちょっと顔を出した「わが家の映画館」を紹介しましょうか。お楽しみに。
🌟4K版 椿三十郎の映像
三十郎に突き飛ばされて、お堂の階段を侍達が折り重なって転げ落ちるシーン。最初に驚かされるシーンだ。東宝ブルーレイ版では暗過ぎて何が起こったのかわからないが、4K版でははっきりと観てとれる。迫力満点だ!