「募りゆく想い」
【登場人物】
莘月 …狼に育てられた娘
九爺 …医学の知識も高い御曹司
衛無忌 …皇帝の妃の甥
紅姑 …落玉坊の元女将
丁玲 …落玉坊の芸妓
石風 …石舫の見習い
秦元棋 …琴師
秦湘 …秦元棋の妹
李佶 …南朝の将軍
夕日を見ながら「砂漠の夕日は今日も赤いのかしら」と思う秦湘。李佶もすぐ近くで同じように夕日を見ていたが、面紗の夫人・秦湘に気づかなかった。
九爺は砂漠で出会った時の莘月の似顔絵を描く。「誰の絵だと思う?」と鳩の小淘に聞く九爺。しばらく絵を見た後、九爺は莘月が心配する、戻りなさいと小淘を飛ばす。
秦湘を公主にどう推挙しよう、と莘月が悩んでいるところに小淘が戻って来る。小淘は朱墨の上に着地し、莘月の着物や顔に朱墨が飛び散る。怒った莘月はカラスにしてやると、小淘の羽に墨をつけてしまう。そこに衛無忌が。「お行き」と小淘を飛ばす莘月。
衛無忌は朱墨だらけになった莘月の顔を手巾で拭く。しかし綺麗にするのではなく、わざと汚れを広げてしまう衛無忌。莘月はあなたも小淘と同類だと出ていくように言う。そんな莘月をかわしながら、衛無忌は孫子の竹簡を見つける。「勝手に見るなんて品のない人ね」と莘月が言うと「だから私たちはお似合いだ」と衛無忌は返す。莘月が怒って部屋を出ていこうとした時、秦湘が通りかかる。莘月が秦湘を呼び、来た秦湘に衛無忌は面紗を取るように言う。面紗を取った秦湘をしばらく見つめた後、衛無忌は「下がれ」と告げる。秦湘が立ち去り「なんで素っ気なく扱うの」と言う莘月。「知りたいなら、私と一緒に散歩するんだ」と言い、衛無忌は部屋を出ていく。
九爺の文を付け、小謙が莘月の元へ戻ってくる。カラスになった小淘で被害を受けた、この償いは小淘に求めるべきだろうかと楽しそうに書いてある九爺の文。莘月は"生意気な小淘は悪さばかりするの。甘やかさないで"と返事を書く。のども回復中だと。
莘月が湯のみに入った水に浮く金銀花を見ていると丁玲が来る。"金銀花は鴛鴦藤とも呼ばれる。開花したときは白く、その後、黄色に変わっていくわ。白は銀、黄色は金のようで互いを引き立て合い咲き誇る。だから金銀花という。また1つの花のがくから出た2つの花がぴったり寄り添う様は雌雄が睦まじく舞う鴛鴦にも似ている。だから鴛鴦藤とも呼ばれる"と九爺から教えてもらったことを丁玲に話す莘月。うらやましいと思うが花は伴侶を選べないと丁玲は言う。莘月は、人なら選べる、だけど人の境遇や性格は人の選択を左右する、と返す。それは秦湘のことで、自分の目的を果たすために後宮入りを望んでいると。
莘月は衛無忌に協力してもらい、昭陽公主と会う。落玉坊にひときわ容貌の優れた娘がいる、聡明で機知に富み、舞や音楽にも造詣が深く歌舞坊にとどめるには惜しい、口添えをいただければと頼む莘月。その娘は琴師・秦元棋の妹で、琴の腕前は非凡だと。昭陽公主は一度連れてくるように言う。しかし莘月は「今しばらくお待ちを。さらに洗練して完璧な姿をお見せします」と話す。用意が出来る前に拝謁を求めた理由が分からない昭陽公主。莘月は「兵法いわく"勝利を得るためにはあらかじめ勝算を高める必要がある。勝算のない戦いはすべきではない"秦湘を洗練し、勝算を上げます。その後は公主様に託したいのです」と答える。昭陽公主はあなたなら私を失望させないでしょう」と言う。
昭陽公主に会うという用事が終わり「遊びに行こう」と莘月を誘う衛無忌。「どこへ?」と莘月が聞くと、衛無忌は「来れば分かる。行こう」と莘月の手を引き走り出す。
衛無忌が莘月を連れて行った場所は友人のところだった。
火の周りで踊る人々と一緒に、楽しそうに踊る衛無忌と莘月。踊り終わると、莘月は羊乳酒を飲む。そんな莘月の目に九爺が飛び込んで来る。嬉しそうに九爺の元へ駆けて行く莘月。互いに名だけは知っていた衛無忌と九爺は挨拶を交わす。
九爺が屋敷に戻ると知り「送るわ」と莘月は言う。しかし莘月を見つめる衛無忌を見た九爺は「初めて来たのなら、ゆっくり遊ぶといい」と断わる。
寂しそうに九爺を見送る莘月に「九爺殿と親しいようだな。ただの友人ではない」と言う衛無忌。莘月は「そのとおりよ。九爺様は私の恩人。建安に来た当初はあなたとの再会を願っていた。でも先に会えたのは九爺様」と答える。「私は機会を逸したのか」と言う衛無忌。それでも結局再会できたからいいでしょ、と莘月が言うと、衛無忌は「かなり遅れを取ったがな。だが戦において敵を逃した場合、日夜追跡を続ければ必ず追いつける。方向を間違わない限り挽回できるんだよ」と返す。「分かるか?」と衛無忌に言われ「さあね」と言う莘月。衛無忌が同じ事をもう一度説明しそうになり、莘月は止めると「分からないんじゃない。分かりたくないの」と言う。
日が落ち、小淘と小謙に帰るように言う九爺。ふと見ると、小謙が文用の紙をくわえている。それを取り「莘月に言えることは、ほぼ、すべて話してしまった。言うべきでないことは、決して口にすまい。小謙や、想いを告げたくても相手を傷つけるだけなら言う必要はない」と九爺は言う。
翌日。莘月は笛を吹いて小淘と小謙を呼ぶ。しかし文はついていなかった。
数日前、昭陽公主と会ったと莘月は秦湘に伝える。そして孫子を暗記するように言う莘月。
16歳で即位した陛下は今年で36歳、ちょうど男盛りの年齢で、文武に秀で、果断に飛んでおらる、そして冷酷無比な面と繊細な面を併せ持つ、皇太后様は先帝に輿入れする前一女をもうけていた、それを知った陛下は、遠慮するお母上を制して自ら異父姉を捜し出し、臣下の反対を退け冊封なさった、それが昭陽公主よ、と莘月は話す。公主の出自が低く、陛下が宮中で唯一の頼みだと分かる秦湘。
男女と親しんだことがなく、経験豊富な陛下を相手に、どう歓心を買えばいいのか分からない秦湘。莘月は用意してあった「黄帝内径」「素女系」「十問」「天下至道談」も習得するように言う。他にも「房中術」が必要だと莘月は思っていた。しかし希少なもので探すのは難しく、紅姑は後宮に存在する房中術の書を、衛無忌に入手してもらうよう莘月に言う。
莘月は衛無忌に会いに行く。しかし簡単に引き受けたものの、恥ずかしくてなかなか頼む事ができない。言いにくそうに、書物を探してほしい、男女の間でするとかいう…あれに関する書物よ、と言い、下を向いてしまう莘月。「あれって、どれ?よく分からないから詳しく教えてくれ」と衛無忌はからかう。「もういい」と莘月は帰ろうとし、腕をつかんで止めた衛無忌は「君が見るのか?見せるのか?」と聞く。「見せるの」と莘月が答え、衛無忌は後日送ることを約束する。
ずっと下を向いたままでいる莘月の後ろから「君も将来のために見ておくといい。理解できなければ私が教えよう」と衛無忌が耳元で言う。莘月は肘で衛無忌を突いて出ていく。
房中術の書が衛無忌から届く。
九爺に肩を抱かれ、もう少しで口づけという所までの夢を見た莘月は、幸せな気分のまま目を覚ます。
誰もいないのを確かめながら、莘月は房中術を開く。
莘月は九爺の夢に私も出てほしいと思う。
莘月は庭師に金銀花の柵を作ってもらい、種を植えることに。"花が咲いたら九爺様と愛でよう"と莘月は思う。
小淘と小謙が莘月の近くに飛んで来る。急いで2羽の元へ行くが、どちらにも九爺からの文は付いていなかった。がっかりした莘月は"近づけたと思って手を伸ばすと、いつも九爺様は離れていく。なぜかしら。九爺様の心に私は存在する?私は九爺さまの心を探り続けるしかないの?"と思う。
秦湘と一緒に莘月は秦元棋に会いに行く。とても内向的で音楽を好む殿方がいる、その人に想いを伝えたいけど相手の心が分からず困っている、直接言うのは怖い、相手が受け入れやすい気持ちの伝え方を教えてほしいと秦元棋に相談する莘月。お得意の「孫子」を使ったらどう?と秦湘が言う。これは戦いじゃないの、私は最初から心を開いてる、あの方の心に入りたいだけよ、だから孫子ではなく真心が必要だと莘月は話す。
秦湘は修理に出した琴を取りに行くため部屋を出ていく。
秦元棋は笛を莘月に渡し「楽師の私は音楽で心を表現します。最適な曲をお教えしましょう」と言う。
修理に出した琴を取りに行った秦湘。秦湘が試しに弾くと、店主は李殿(李佶)が琴を修理したと言う。
その頃、裏の店に絵を持ってきていた李佶が琴の音を聞く。李佶は店を飛び出し、急いで向かう。
ーつづくー
九爺も莘月を好きだよね?
今ならお互いに好き同士だけど、九爺は自分の想いを伝える気持ちがなくて…。
これでは衛無忌も言っていたけど、衛無忌に追いつかれそう。
鳩と話している時の九爺が穏やかな感じでよかったなぁ。
鳩を手に持って怒った莘月が可愛かったー。
でも、その後、鳩はカラスに…(*≧ω≦*)
今回も莘月と衛無忌のやり取りが可笑しくてー(≧∇≦)ノ彡
莘月の顔についた朱墨を拭くところもだけど、やっぱり特に面白かったのは、莘月が恥ずかしい書物を探してほしいと衛無忌に頼んだ時!!!
「あれって、どれ?よく分からないから詳しく教えてくれ」
とか。
「君も将来のために見ておくといい。理解できなければ私が教えよう」
って、きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(〃艸〃)
急に莘月と秦湘が仲良くなった気がする。
それに秦湘が明るくなったような気がするの。
莘月に冗談!?を言ったり。
また秦湘と李佶はすれ違い!?
でも、ここで会えないと琴の修理も終わっているし、どうなるんだろう???
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二人ともライバルと認め合っているような、
大人の会話のような、そんな感じに思えました。
月兒と九爺の烏ネタも
无忌との恥ずかしい本のネタも
笑ってしまいますよね。
九爺と无忌は性格が違うと思うのですが、
それぞれとあんなにコミカルにできるなんて、
月兒の爛漫さは素晴らしいです!
その一方で、秦湘は覚悟を感じます。
月兒が言うように、本当に陛下の元へ行ってもいいのでしょうか?
李将軍の想いはどうなるのでしょう???
続きが気になります!
timeさんの仰る通り、鳩の烏ネタ、恥ずかしい本ネタには爆笑でした。
シン月は頭が切れて、天真爛漫で、仕草がかわいい。若㬢よりも好きになりました。
九爺との文通と意味深な独り言。
ちょっとぐぐぐ~とくるものが・・・。
ずっと天国行きだったのに、ここから地獄行きになりそうでヤバイです。