【登場人物】
錦覓(きんべき)…楊紫(ヤン・ズー) 花女神の娘
旭鳳(きょくほう)…鄧倫(ダン・ルン) 天帝の息子
潤玉(じゅんぎょく)…羅云熙(レオ・ロー) 天帝の息子 旭鳳の兄
穂禾(すいか)…王一菲(ワン・イーフェイ) 鳥族王女
鎏英(りゅうえい)…陳钰琪(チェン・ユーチー) 魔界の王女
忘川に来た旭鳳は「君が消え、生きている意味がなくなった」と言うと蓬羽を捨ててしまう。
その頃、天界では錦覓との思い出を振り返り潤玉が涙を流していた。
萬魔殿の前。座りながら酒をあおぐ旭鳳を見ながら、訪ねて来た長芳主に「錦覓が死んでから、ずっとあの調子です。誰とも言葉を交わさず、己を顧みず酒に溺れています」と話す鎏英。2人は旭鳳のところまで歩いて行く。
鎏英は旭鳳に、長芳主が来たことを伝える。旭鳳は長芳主に跪き「錦覓を殺めました。錦覓と花界に顔向けできません」と涙を流す。長芳主は旭鳳を立たせ「花神に錦覓を託されたけど、あの子を守れなかった。責任は私たちにあるわ」と言う。「私が殺しました。全て私のせいです」と言う旭鳳。長芳主は「ここ数日、錦覓のことを考えていたわ。情の苦を受けるなら魔尊に伝えておくべきだった」と話す。
旭鳳が「情の苦?」と聞く。「花神は亡くなる前、錦覓は1万年以内に情で苦しむことになると予知していた。だから錦覓は隕丹をのまされ愛情を封印されたの。でも魔尊を殺めたあと、その隕丹を吐き出した」と言う長芳主。旭鳳は自分が「はっきり覚えている。私が死ぬ前に私を愛したことはないと言ったことを。舌の根も乾かぬうちに撤回か。私は決して忘れぬ」と言ったあと「隕丹をのまされ愛情を封印されてしまっていたの。あの時はまだ“愛”を知らなかった」と話していた錦覓のことを思い出す。
「隕丹の話は誠なのですか?」と旭鳳が聞く。頷いた長芳主は「男女の情で苦しめたくないと花神がのませたの。それでも情の苦しみからは逃れられなかったわ」と言う。「苦しみの根源は私で、錦覓を悩ませ傷つけていた。そして命を奪ったのです」と言う旭鳳。愛を解さぬ者だと思っていたが、本当に“愛”というものを知らなかったのですね、錦覓のことを理解しようと努力するべきでした、と。
「花神の遺言どおり錦覓の恋路を阻んできたけど、この数年で私もやっと分かったわ。魔尊と錦覓はとても強い縁で結ばれていると。だから魔尊に希望を託したいの」と言う長芳主。旭鳳が「錦覓は復活できると?そのためなら何でもします」と言う。長芳主は「だけど万に1つの希望よ。先の水神殿が錦覓を連れて斗母元君の元を訪れた時、斗母元君はこの結末を予知していたの。だから香を錦覓に授けた。斗母元君なら錦覓のことを復活させられるかも」と話す。
一筋の光が見えた旭鳳は、斗母元君の元を訪ねる。旭鳳は「一言、声を聞けるだけでもいいのです」と言う。「姿を見て声を聞くだけでは憂いは解けません。その姿と声が常にそばになければ満足しないでしょう。運命は天の定め、果には必ず因がある。天道は変えられぬのですよ」と言う斗母元君。旭鳳は「確かに錦覓は命を落としました。ですが、なぜかそばに気配を感じるのです。お導きいただきたく、今日、訪ねてきました」と頭を下げる。
斗母元君は「生きていると見えても命はなく、死も本当の死ではないやも。天界や人間界、魔界における森羅万象、愛情や悲しみや苦しみは妄念にすぎません。幻覚も同然です。あなたが求める者はその目で見える所におり、あなたが見たものはその者も目にしています」と話す。「よく分かりません。復活の可能性はあるのですか?」と聞く旭鳳。
斗母元君は「別れや出会い、縁がつながるも滅びるも、全ては運命の定め。今世で2人は会いたいと願っても会えず、相思相愛でも結ばれない。たとえ縁が尽きても離れることはありません。それが宿命です」と言う。旭鳳は「錦覓の魄はどこに?」と尋ねる。「愚かな念は希望を断ち切ってしまい、清らかな念は希望を生み出してくれます」と言う斗母元君。旭鳳は導きに感謝する。
花界に旭鳳から錦覓の魄がこの世にあるという文が届く。喜んだ長芳主は、芳主たちと霊力を使い錦覓の魄を捜すことに。
忘川に来た旭鳳は「錦覓、どこにいるのだ」とつぶやく。そばにいた船頭がそれを聞き「魂の存在を問うてはならぬ。黄泉への道は深い。善きかな」と言う。「何がよいのだ」と言う旭鳳。船頭は「死をもって功績を立てることができた」と話す。己一人を犠牲にすることで天魔対戦を鎮めた、これは大変な知恵で大きな功績だといえぬか?と。旭鳳は「そうだな。錦覓は賢い女子だ。だが生前、褒めてやれなかった」と言う。
船頭は「風も水も巡っている。当時、あの者がそなたを捜し、今はそなたがあの者を捜している。なぜ尽きることのない悔恨の念を、この忘川で晴らそうとするのだ」と言って船を出す。
その場に残った旭鳳が「錦覓。一体、どこにいるのだ」と言う。その時、発作に襲われ倒れ込んでしまう旭鳳。そして幻の錦覓が忘川の上に現れる。旭鳳は錦覓の名を呼び這って近づこうとするが、背を向けて歩き出した錦覓は消えてしまう。
旭鳳は魔尊の地位を鎏英に譲り、錦覓を捜しに行くことに。
花界。錦覓の住まいを見ながら“君に魔界の極光や人間界の明かりを見せる。花界の四季を愛で、六界の美食を楽しもう。そうすれば君は私とこの世界から離れられなくなる”と涙を流す旭鳳。
錦覓を捜し放浪していた旭鳳は、錦覓と過ごした小屋にたどり着く。
「覚えているか?私達が結ばれた場所を。月日の流れは早く、あれから数千年がたった。あの時、2人は人間だったな。何の憂いもなく、喜怒哀楽を楽しんだ。隕丹の存在も知らず、すれ違いもなく、恨むこともない。美しい時を2人で過ごし、素直な気持ちを分かち合った。あの頃が懐かしい。君が戻って来たら人間の夫婦になろう。お互いに助け合い、年齢を重ねていくのだ。いいか?私はここで君を待ち続ける」と言う。
小屋で生活を始めた旭鳳の元に、太上老君、太巳仙人、破軍星君が来る。「天界にお戻りいただき、取り仕切って欲しいのです」と旭鳳に頼む太上老君。ふっと笑った旭鳳は「天帝がいるであろう」と言う。「禁術を修練し、天魔対戦を引き起こしました。さらなる災難を招くやも。天帝は己の罪を認めました」と話す太巳仙人。太上老君が「どうか殿下が天帝に。これまでのことは水に流し、天道を正してください」と言う。そして破軍星君が赤霄剣を差し出す。
天界。璇璣宮へ行った旭鳳は、結界を解き潤玉のいる部屋へ向かう。手には赤霄剣を持っていた。
寝台に座り、鎖で繋がれていた潤玉。旭鳳を見ると禁術の影響で苦しんでいた潤玉は「良い時に来た、殺してくれ。奴を殺せ。頼む」と言う。潤玉が殺されると思い、駆け寄った鄺露が泣きながら跪き「やめてください。陛下は誰も傷つけません。お願いです。陛下は全てを失ったのです」と旭鳳に懇願する。
「このまま陛下が生ける屍となっても、よいのだな?」と旭鳳は言うと、鄺露を振り払い赤霄剣で潤玉の肩を刺す。窮奇を殺す旭鳳。旭鳳は抜いた剣を潤玉に向け「あと、どれほどの企みが?太上老君たちを利用し、父上や私の命を狙わせた。皆を振り回し続けた結果、お前は己への信頼を失った。私は背信が最も嫌いだ。主が代われば臣下も代わるのが常というもの。私に皆を処分せよと?」と聞く。
「お前にはできぬ。全ては私一人で画策したこと。皆は関係ない」と言う潤玉。旭鳳は「この期に及んで皆はまだ天帝の手中の駒だとでも?皆を利用し駆け引きをするつもりか。天帝の地位を何だと?好き勝手に利用するのか。数千年、暮らせた遺恨の念を一気に晴らし、今度は天帝の座に飽きて辞す。卑怯な手で奪った座でも責務は果たせ」と話す。潤玉は鄺露を下がらせる。
潤玉は「己の立場を利用し、禁術を密かに修練した。そのせいで戦を起こし、皆を苦しめ、天界の法を乱したのだ。今、誰かがその元凶を取り除かねばならない。我ら兄弟は相容れぬが、お前にも天帝となる資格が。この混乱を鎮めるのはお前が適任だ」と言う。「名声が大切なのだろ?その名を汚すことになるぞ」と言う旭鳳。
潤玉は「私は生涯孤独のまま死んでゆく身だ。どれほどの名声も権力も私にとっては刹那の栄華でしかない。死後の名声までは求めぬ。かつて画策を巡らせ続けたのは、公正を取り戻し、雪辱を晴らすためだ。父上を殺して位を簒奪し、天后を幽閉した。悔いはない」と言う。旭鳳は潤玉の首に剣をあてる。「今のはすべて私怨だ。この剣は天界のために使え。今こそ天界を正すべき時だ。お前には才がある。だが気性が荒い。天界に敵も多く作ってきた、暴政を理由に私を殺せば、お前の功績となる。そうすれば、皆はお前を評価し、天帝に立てる。天帝を更迭する穏便な策で、天界の混乱を鎮められる」と話す潤玉。
旭鳳は剣を振るい、潤玉の両手の鎖を切る。「父上が私に赤霄剣を授けたのは、窮奇を殺すためで兄を殺めるためではない」と言って旭鳳は剣を手から離す。潤玉が「恨みに執着してきたせいで、償いきれぬ罪を犯し続けてきた。私への罪は甘んじて受け入れる。今のこの機会を逃してはならぬ」と言う。「執拗に画策を続けたのは、一体、何のためだ。心の中には復讐しかないのか」と言う旭鳳。
潤玉は「私も皆を愛していた。愛していたのだ。ただ…心が卑しい私は損得にこだわり、その愛を手に入れられなかった。ある日、突然…冷めてしまった。残ったのは恨みと嫉妬、意地だけだ。そして己でも嫌気がさすほど心がゆがんだ。私はどれほどあがいても皆に蔑まされる定め。思い返しても混沌とした人生だった。もう十分だ。疲れ果てた」と話す。旭鳳は「私が感謝すると?言ったはずだ。お前と戦う気など全くない。今も昔も、私の心の中にあるのは錦覓だけだ」と言う。
「滑稽だな。私の心も同じだ。感謝など必要ない。私が間違っていた。錦覓の隕丹は私が修復した」と言う潤玉。そして潤玉は「お前たちの人間界での歴劫の最中、隕丹にひびが入った。錦覓は密かにお前を想っていたのだ。私には分かっていた、錦覓が望んでいるのはお前との婚姻だと。私は失望したよ。錦覓がお前のことを気にかけるたびに心が乱れた。婚儀が近づくと、錦覓が一生、愛を解さずともそばに置きたいと思った。そしてお前たちを引き裂いたのだ」と言う。
潤玉の胸ぐらをつかみ「そういうことか。錦覓は私を想っていた。なぜ今頃になって、それを明かしたのだ」と怒りをぶつける旭鳳。潤玉は「かつて私はお前と対等だと思っていた。だが今は分かる。間違っていた。お互いにな。私は始まりを誤り、お前は結末を誤った。修復できぬほどに。もし先に私が錦覓に出会っていれば結末は違ったのかも」と話す。旭鳳は「誤っていたのは、お前自身だ。まさか今になっても、それが分からぬのか?愛とは勝負ではない。情において策に走ることは禁忌なのだ。お前は私と違い、最初から策を講じていた。錦覓はもういない。全て無意味だ」と言う。
潤玉は箱を出し「錦覓が遺した物だ。お前のためだろう」と言って渡す。旭鳳が箱を抱きしめ「私はお前を倒すために窮奇と血の誓いを立てた。その力も衰え、残された時も少ない。蓬羽のおかげでお前はすでに回復したであろう」と言う潤玉。その時、旭鳳に発作が起きる。
ーつづくー
長芳主が魔界に来たのはびっくりΣ(゚д゚ノ;)ノ
鎏英や旭鳳は花界へ行ったことがあるけど、花界の人が魔界へは貴重かも。
もともと長芳主って出かけることが少ないかもしれないけど。
生きる希望をなくしていたからだけど、せっかく錦覓が苦労して作った蓬羽は旭鳳にのんで欲しかった(;д;)
錦覓の願いでもあったものね。
ちょっと、ちょっと、ちょっとー。
太上老君と破軍星君が旭鳳に天界に戻ってほしいと頼むのはともかく、太巳仙人が言うのは許せない!!
これまで、結構、旭鳳にひどいことしてきて、今さらよく言えるって思っちゃう(ㅎωㅎ*)
潤玉の姿が切なかった。
本当に疲れ切っている感じで(。>﹏<。)
でも、今までの中で一番好きな姿かも。(え?)
姿だけじゃなく「生涯孤独のまま死んでゆく身」とか「残された時も少ない」とか…つらい(;_;)
錦覓が遺した箱には何が入っているんだろう?
そして旭鳳はまた発作が(∩˃o˂∩)
蓬羽もないし、どうなってしまうの!?
錦覓がいないまま、残り1話だよぉぉぉぉぉぉぉ(✽ ゚д゚ ✽)
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