雪舞に連れて行かれた覆面をした蘭陵王は、湯殿の中が見えたか聞かれ首を横に振る。ほっとした雪舞は「私も見ていないのね?私は夫のある身なのよ。うっかり人に体を見られでもしたら夫に申し訳がたたないわ」と言う。そして「あなたには罰が必要ね」と言い、陛下に言わない代わりとして、自分の居場所が蘭陵王に伝わっているか探りを入れてほしいと頼む。
蘭陵王は覆面を外そうとするが、雪舞は顔を見たら一生覗き魔として記憶に残ってしまうと見ないで行ってしまう。
夫に従うべきだった、深く愛し合っているのに相手を不安にさせるのは身勝手だと話ていた雪舞に、蘭陵王は「あれでも一応は気にしているようだな」とつぶやく。
夜。遠くに赴任していた尉遅迥が、宇文護の誕生祝いで帰京し宇文邕と会う。「難儀なことだ」という宇文邕に「私は」と尉遅迥は言いかけるが、宇文邕は「責めているのではない」と止める。宇文邕も断れないことは十分、分かっていた。
「私は芒山において一族を人質に取られ大冢宰(宇文護)に屈しました。私が兵を引いたがゆえ、陛下は撤退を余儀なくされた。この罪、万死に値します」と尉遅迥は頭を下げる。
宇文邕は尉遅迥の元まで行き顔を上げさせると、長きに渡り周を守ってきた労をねぎらう。一族を守ろうとするのも当然のことだと。宇文邕は自分と宇文護の諍いに尉遅迥を巻き込んでしまったことも詫びる。「陛下。私は大冢宰との諍いについてはお助けすることかないませぬ。なれどいざ出陣とれば必ずや陛下の御為、戦場で血を流し、この命尽きるまで戦いぬきます」と尉遅迥は言う。そんな尉遅迥に「いつの日にか、洛陽を落とすのに力を貸してくれ」と宇文邕は芒山と洛陽で携えていた剣を贈る。宇文邕の思いと共に受け取る尉遅迥。
大冢宰府。
宇文護の誕生日の宴が開かれる。宇文邕も訪れ、先の文帝がこよなく愛でられていたという酒を互いに腹の中を隠しながら酌み交わす。そんな中、宇文護が陛下へ返礼を用意したと言う。
宇文護が手を叩く。その合図で足枷と手枷をされ、傷だらけになった尉遅迥が連れて来られる。顔色の変わる宇文邕。「私が陛下に用意しましたのは、この罪人にございます」と言う宇文護。
宇文護は芒山で数万の精兵を集めた大軍が、わずか五百騎の蘭陵王に破れたのは国の恥、その責を負うべき者は誰なのかは明らかだと話し「尉遅迥。おぬしは何ゆえ陛下をお諌めする事なく、軽率に出陣したのだ」と言う。
宇文邕は芒山で負けた所以は一つではない、将軍(尉遅迥)一人に非があるわけではないと言うが、かの戦で数万の兵士が命を落とし、その責を何者かが負わなければいけないと宇文護は引かない。さらに元凶を罰しなければ兵士は納得しないと、宴に集まった者たちが声を揃えて言い始める。そして「そなたの犯した最大の過ちは陛下に従い出陣したことだ」と尉遅迥に言う宇文護。宇文護は「申し渡す。八つ裂きの刑に処す」と告げる。
尉遅迥は声を上げ立ち上がると「宇文護よ、あの時おぬしに脅されなければ俺は洛陽に攻め込み落とす事が出来たのだ」と言う。「最も責を負うべきはおぬしだ、宇文護」と。「黙れ」とそれを止める宇文邕。宇文邕は「朕が即位した際、下した勅命を忘れたか。朕を含め、いかなる者も大冢宰を呼び捨ててはならぬ。たった今、その禁を破りおぬしは大冢宰の名を呼び捨てた。これは死罪に値する」と言う。「まさしく、私は宇文後の名を呼び捨てにしました」と言う尉遅迥。「この逆賊め」とつづけて言う尉遅迥を宇文邕は刺してしまう。「陛下…直々に死を賜り、ありがたき…幸せに存じます…」と言うと尉遅迥は倒れる。
宇文邕は平静を装い「朕は一度宮殿に戻り体を清めねばならぬ」と言うとその場を後にしようとする。そんな宇文邕に「尉遅迥の一族三十名あまりもすでに兵を送り捕らえさせました。斬首いたしますが異論はありますまい」と追い打ちをかける宇文護。振り返った宇文邕は「そなたの意に沿うように致せ」と笑いながら返し出て行く。
水瓶で手についた尉遅迥の血をおとす宇文邕は、次第に怒りが抑えられなくなる。"いつの日にか、洛陽を落とすのに力を貸してくれ"と剣を渡した時の事を思い返し「朕を許せ。もう少しだけ待っておれよ。朕は必ずや力を身につけ宇文護を討つ。おぬしと一族の仇、とってみせる」と宇文邕は涙を流す。
宇文邕が貞の元へ行くと、貞はすでに眠っていた。「今日、起こった話は恐ろしすぎて小馬はとても貞には話せない」と言う宇文邕。そこに雪舞が来る。雪舞がいることに気づかず、阿怪は口から血を滴らせる恐ろしい狼と会った、その狼は前から阿怪を食べようと狙っていた、そこへ阿怪の友達の迥が助けに現れた、だが力を合わせても狼には敵わなかった、阿怪は何とか生き延びたが目の前で仲のよかった迥が獰猛な狼にかみ殺されてしまった、阿怪はとてもつらくてなさけなかった、と悲しそうに話す宇文邕。部屋を出ようと立ち上がった宇文邕は、雪舞が部屋にいたことにやっと気づく。
外に出た宇文邕と雪舞。「狼は誰なの?あなたのために誰かが死んだの?」と心配そうに聞く雪舞に「そなたは知らずともよい。貞の容体だけ見ておれ」と宇文邕は答える。
宇文邕はいかなる手段をとっても、何を犠牲にしても必ず名君になってみせると話す。雪舞は名君になるかはわからないが、子に好かれるよい父親にはなると言う。貞のことだけではなく、村で子供達と接しているあなたを思い出したと。
「たぶん、あれが誠の姿よ。皇帝の仮面の下に隠した血の通ったあなた」と言う雪舞。頬笑む宇文邕に雪舞は「信じるわ。よき父親になれる人なら、よき皇帝にもなれるはず。よき父親は自分の子を思い、よき皇帝は自国の民を思う。あなたにはよき父親、よき皇帝になってほしい」と言う。自分の苦しみやつらさを封じ込めることはない、強がることもない、私はあなたに血の通った人間として喜びや悲しみを知る人になってほしい、そうすれば民の求めているものが理解できると。
雪舞は宇文邕の肩に優しく手を置くと「あなたは友達を思ってここでおもいきり泣けばよい。誰もあなたを笑ったりしないわ」と言うと行ってしまう。雪舞のうしろ姿を見ながら"誰もが朕を特別扱いする。朕の死を望むか遜るかのどちらかだ。そなただけは朕を血の通う一人の人間として見てくれるのだな"と宇文邕は思う。
宇文邕と将棋をしていた阿史那皇后は、宇文邕の心が他にあることに気づく。宇文邕が行ってしまい「陛下。お好きな将棋だというのに私が駒を動かしたことに気づきもしなかった。天女にすっかり心を奪われてしまったと」とつぶやく。
玉兎は偶然、宇文護と李安が宇文邕に毒を盛ると話ているのを聞く。宇文邕の御膳房に息のかかった料理番を送り、明後日の膳に入れる段取りとなっていると。「二日のちの朝になれば宇文邕は毒で倒れる。何が何でも皇位を明け渡してもらおうぞ」と言う宇文護。
考え事をしている雪舞に「何を考えているの?」と聞く貞。雪舞が斉にいる大切な人のことだと話すと「斉は私たち周の敵でしょう?斉が好きな天女様なんて嫌い。それならずっと病気でいる」と貞は言う。「それは駄目よ」と言った雪舞は「帰らないと死んでしまう。ずっと離ればなれでいたらね。二人とも生きていけないの」と話す。その人が恋しくて死んでしまうと。そこに宇文邕が来る。
「朕は一国の君主である。天女は何ゆえひざまずかぬ」と笑みを浮かべながら言う宇文邕。雪舞は宇文邕の前まで行き「周の皇帝のために来たわけではない。私が来たのは友達を助けるためよ。友達の阿怪のため」と言い返す。「え?」と貞が言い、宇文邕は雪舞に顔を近づけると「貞のおる所では阿怪という名を出すな」とそっと言う。
宇文邕は貴重な書物を雪舞に見せる。その様子を隠れて見ていた蘭陵王は「このようなところへ連れ込んで、宇文邕め」とやきもきする。
芒山での戦いでは脅し、出会った時は欺いた、そのことを水に流してほしいと雪舞に言う宇文邕。雪舞は宇文邕にも立場があったことを理解し「戦の最中には生残るために騙し合うことも必要よ。狡猾にならないと逆境で生き残れないもの。それにこの乱世に皇帝として君臨するには冷酷非情に徹するほか道はないでしょう」と言う。
国事があり、貞にかまう暇がない、皇后にしても皇子たちの世話がある「周に残ってほしい」と雪舞に言う宇文邕。貞を癒したのは医術のみではなく、そなたの優しさや想いやりが貞に通じたから、ここで貞の成長を見守ってほしいと。見ていた蘭陵王は気を揉むが、雪舞は「駄目よ。お断りします」ときっぱりと言う。
宇文邕は皇帝として何でも与え、王妃でいるよりよい暮らしをさせると説得しようとする。雪舞はあきれたように「何でも与えるなんて言葉で心を動かされると思う?話を聞いてわかった。あなたは愛を理解していない」と言う。「女を愛するのは本能だろう」と返す宇文邕。やはりあなたは分かっていない、誠の愛とは心のまじわりだと雪舞は話す。そして「誰かの前で泣いたり、弱音をはいたことは?」と聞く。宇文邕は「むろん一度もない」と答える。
それでは気分が晴れない時はどうするの?と言う雪舞。私は愛する人の顔をつねって悪態をつくのよと。そして「あなたはそうしたことある?皇宮にいる誰かのほっぺたをつねったことは?愛しているとささやいたことはある?」と聞く。「蘭陵王も皇族であろう。皇族とあろう者が頬をつねられておとなしくしておるのか?」と宇文邕が言うと「もちろんよ」と雪舞は笑う。
どちらにせよ貞は良くなる、私の役目も終わると話す雪舞。宇文邕が治るまで見てくれと頼み、雪舞はあと2、3日だけいることに。
雪舞が行ってしまうと宇文邕は「雪舞、必ずそなたを引き留めるぞ」とつぶやく。
玉兎が火急の知らせがあると宇文邕に会いに来る。
宇文護が陛下に毒を盛り、殺めんと企んでいると報告する玉兎。陛下の御膳房には宇文護の息のかかった料理番が入り込み、すでに毒を盛る用意が整っている、明日の朝、陛下が倒れるのを待ち、すぐさま宇文護は謀反を起こすと。宇文邕は料理番を皆殺しにするよう宇文神挙に言う。
宇文護に従う者の中にも朕の味方をせんとするものが多い、だが宇文護の監視下にあり動けない、朕の勅命をみんなに伝えてもらいたいと宇文邕は玉兎に言う。今から書状をしたためる、届けてくれと。
雪舞が部屋に入ろうとした時、覆面をした周兵が入ってくる。すぐに湯殿を覗いていた者だと分かる雪舞。蘭陵王だと気づいていない雪舞は大声を出しそうに。そんな雪舞の口をおさえ「私だ、共に帰ろう。共に斉に帰るのだ。まだ私が分からぬか」と蘭陵王は言う。
ーつづくー
小馬ちゃんの貞のマネが可愛かったー(*´艸`*)
その辺りの小馬ちゃんの笑顔もよかったなぁ。
小馬ちゃんが狼のお話をしている時は悲しくて悲しくて。
尉遅迥を刺すしかなかった宇文邕が可哀想で。
そうするしか、もう尉遅迥を助けられなかったよね…。
その後の雪舞の言葉に宇文邕はどれだけ救われたか。
貞の側にも宇文邕の側にも蘭陵王の側にも雪舞はいてあげてほしいヾ(・ω・`;)ノ
みんなみんな雪舞が必要なのに…。
貞の病が治ってきたのは嬉しい(*´ω`*)
雪舞が来た時はとても起きられる状態じゃなかったから。
覆面の蘭陵王は本当に面白くて!!(*≧ω≦*)
覆面をしているのに、いろんな表情を見せてくれる。
でも、そろそろ覆面をはずした姿も見たいなぁ(*´ー`*人)
↓ポチッと押していただけると嬉しいな。
よろしくお願いします
にほんブログ村
いつもポチッをありがとうございます(*´ω`*)
皇帝としての思慮、振る舞い、そして苦悩。
尉遅迥があのように最期を迎えるとは
驚きました。
その忠誠心に応えて、良き皇帝になってほしい
と心から願わずにはいられませんでした。
そんな緊迫した斉の政情に潜入しているにも
かかわらず、四爺は・・・
雪舞に叱られたり、勝手な妄想に(笑)
久々に仮面を脱ぐことになりそうですね。
そうそう、皇后の誤解は大丈夫なのでしょうか???
阿怪の雪舞への気持ちはどうなるのでしょう???
今回は絶対仮面必要ですがね~
仮面の中の表情が想像できちゃうね(≧∇≦)
痴漢に間違われちゃって(≧∇≦)
貞ちゃんがほんと可愛い~
凄くかゆそうだし、痛そう!少し治ってきてるかな~
うちも喘息のこどもいるから~うんうん、そうそうって思ったな~
どれが悪いのではなく、アレルギーを引き起こすものを排除することが大事ですね!
宇文邕が可哀想でしたね( ; ; )苦しいのが分かるね~(/ _ ; )
ほんと、どちらにも雪舞が必要!
どうなるのかな?
蘭陵王、雪舞を連れて帰れるかな?
貞ちゃんが気になって帰れない?
こちらも、続きが気になりますね~
うささんいつもありがとうございます(^ ^)