「夫婦の絆」
張貴妃が立ち「あなたとは一度、話し合うべきだと思っていた」と言う娉婷。「わが物顔ね、うれしい?いい気味なんでしょう。なのに同情のふり?」と張貴妃が言う。私はお前を殺そうとした、勝ったのはお前よ、私がお前ならここぞとばかりに痛めつけるわ、と。娉婷は「そこが私たちの違いね。あなたに危害を加えようとは思わない。皇子らと皇后様を殺したわね。私にぬれぎぬも。北捷様のことも殺そうとした。これほど残酷でむごいひとに、この言葉はふさわしくないかしら」と話し、張貴妃の顔を見ながら「哀れね」と言う。
「お前…」と張貴妃が言うと「あなたの見かけは若いけれど、魂は、もうすっかり醜く老いぼれているわ。生きていて疲れない?」と娉婷が聞く。張貴妃は「私を哀れむな。何様のつもりよ。滅びた敬安王家の侍女め。仕えていた何侠と深い仲だったのでしょう。知ってるわよ。もしお前が履物を差し出しても、汚らわしくて履けぬわ。高潔なふりはやめて。私を殺すなら、殺せばいい」と言う。
「貴妃様」と近づいた娉婷を張貴妃が振り払う。娉婷は「陛下から伝言です。“皇后即位を祝して、大赦を行う。貴妃も許す”」と告げる。「どういう意味?」と張貴妃が聞く。「私は何も申さず、陛下も問われない。陛下がなぜ問わぬか、あなたには分かるでしょう。陛下はあなたを殺さない、それも承知の上ね?子に罪はないわ、体を大事に。まっとうに生きて」と言う娉婷。そして娉婷は「陛下は“済んだことは追及せぬ”と。でも私はあなたに対し、もうひと言、加えたい。“二度と会わない”。さようなら」と言って、その場を去っていく。
酔菊が司馬弘の脚に鍼を刺し、治療を行う。「頭が痛いのに脚に鍼を?」と聞く司馬弘。酔菊はいつもの調子で「頭が痛いから頭を治すなんて、その辺の医者もどきがすること。頭は大事な所。五臓の血、六腑の気がすべて集まるんです。今、五臓の血を巡らせ、六腑を解毒しています。忘れず薬をお飲みくださいね。そのうち頭痛も治ります」と話す。笑った司馬弘は「酔菊は医術も一流なら、口も達者だな。ここで働け。太医博士にしてやる、どうだ」と言う。
「私の生きる道を断つ気ですか?年配の太医たちと一緒に働くなんて、嫁に行けなくなる。嫌です」と返す酔菊。司馬弘は「ならば今、思い人でもいるのか。朕が添わせてやるぞ」と言う。酔菊は「今は、まだいませんが、北捷様のような英雄がいいです。北捷様より面白くて、尽くしてくれて、よく笑って、悩まない人。完璧だわ」と話す。私にふさわしいわね、と。「そなたは誠に…気概のある女子だな。実は北捷も女子に尽くす男なのだ」と司馬弘は言うと、酔菊を近くに来させ、秘密を教える。酔菊は「誠ですか」と楽しそうに笑う。そこに「鎮北王と王妃がお越しです」と知らせが。
「私は失礼します」と言う酔菊に「今の話は誰にも漏らしてはならぬぞ」と司馬弘は口止めする。
北捷と娉婷が来て、酔菊は笑いながら出て行く。体の具合を心配する北捷に、酔菊のおかげで頭ももう痛まぬと言う司馬弘。司馬弘は「酔菊は明るい娘だな。面白い。いい医者を選んでくれた」と言う。
「今日はどうした。何かあったのか?」と司馬弘が聞き、北捷が「何もありませぬ。今や太平の世です。お別れを申し上げに参りました」と答える。平和が戻り、陛下のおそばには皇后様が、安心して行けますと。
「明日、発つつもりです」と言う北捷に「これからどうするのだ」と司馬弘が尋ねる。北捷は「ずっと娉婷のそばにいてやります。ただ娉婷と共に生きていきたいのです」と話す。寂しそうにため息をついた司馬弘は、北捷の前まで歩いて行くと「決めたのなら引き止めはせぬ。朕が許すと言ったことだ。好きに生きろ、祝福する」と言う。そして北捷の両肩に手を置き「ただ、どこへ行こうと朕を忘れるな。たまには戻れ、ここはそなたの家だ」と言う司馬弘。北捷は「私は晋で育ちました。晋への恩を忘れませぬ、陛下のことも」と言う。
太極殿。“燕と晋は盟約を結び、友好関係を築いた。晋は謹んでこれを順守するも、燕は盟約を破り王と王の誓いを裏切った。弘はひどく悲しみ失望せり。晋は停戦の盟約を破棄し、燕との国境に10万の兵を置く。燕王は自省されたし。不穏な動きあらば、わが晋は容赦なく燕に攻め込まん。以上”という詔が読まれる。
何侠と冬灼は、見張りを倒し武器庫のある敷地に入る。中は荒れ放題で手入れもされていなかった。武器庫の中もほこりまみれで、錆びついた物しかない。「貴家の秘密はまだある、調べねば。この証しがあれば、貴常青は死罪を免れぬ」と言う何侠。
綴錦雅閣に耀天皇女が到着する。
出迎えた貴炎が屋敷の中へ案内し「事情は聞いております。関所の開放と晋訪問はすべて何侠のせい。その尻ぬぐいを皇女様がなさるとは、私なら絶対にさせませぬ」と言う。さらに「晋は今、混乱しており危険です。楚北捷は死んだ。関所を開くことはないかと」と貴炎が話しているところに、急報が。耳打ちをされた貴炎は驚き「所用のため、失礼します」と言って、その場を後にする。
貴炎が東門へ向かうと、何大炮が吊るされて死んでいた。金子の行方も分からず、貴炎は父の貴丞相に知られてはならないと考える。
部屋に案内された皇女は、みんなを下がらせる。「出てきて」と皇女が言うと、隠れていた何侠が姿を現す。
皇女は「まだ知らないと思うけれど、晋から知らせが」と話す。楚北捷は死んでいない、と。「思ったとおりだ」と言う何侠。皇女は「実は張尚書と燕王が結託し、司馬弘を軟禁して楚北捷を陥れようとした。ところが楚北捷が現れて、司馬弘を救い、燕軍を撃退。張尚書は死に、晋の宮中は平静を取り戻している。あなたは、このことをどう思う?」と聞く。
何侠は「勝ちと負けとは紙一重。楚北捷が勝ち、宮中が平静でも変ではない。皇女、張尚書の死も痛手ではありませぬ。楚北捷とは、いずれ対決します」と答える。そして「実は今の話より、もっと驚くことが」と言う何侠。貴常青は燕王とつながっていました、軍備費を燕に渡し庇護を得ていたのです、燕王がどんな男か私は誰よりも詳しい、約束も盟約もすぐ破る、燕は信用できませぬ、白蘭は自衛のため軍備増強が必須なれど貴常青が邪魔を、貴家が軍備費を着服し、燕に渡している証しを入手しました、お調べください、と。
「駙馬の話はよく分かったわ。でも、知っている?白蘭はかつて最も強大な国だった。それが数十年の戦で、民も国も疲弊した。父上が生前、言われた“戦だけは絶対に避けよ。国力回復のためである”。私も人質として涼で10年過ごした。弱国の白蘭が今まで存続できたのは、弱さを示し、他国に追従してきたから。駙馬が言った貴丞相の軍備費の着服については予想していたわ。“清水に魚、棲まず。切れ者に友なし”。朝廷における貴丞相の権力は絶大で揺るぎない。私の力では動かせないの」と皇女は話す。
何侠は「貴常青を動かせぬなら、ほかに手はないと?」と聞く。「あるわ。駙馬の言うとおり、今は戦乱の世。白蘭も強くならねば外敵に対抗できぬし、侵略を防げない。でも軍備増強を阻む“大木”がいるわね。ならば“小木”から動かすの」と言う皇女。何侠が「小木とは?」と尋ねると、皇女は「貴丞相の弱点よ。もう首を洗って、私たちの前にいるわ」と言う。
北捷たちは竹林に囲まれた家の前に着く。「待って、私が見てくる」と言って、北捷、娉婷、漠然を止める酔菊。駆けていった酔菊は、中の様子を見てから戻ると、詔を取り出す。
皆がひざまずく中、酔菊は「“晋王より詔を下す。鎮北王・楚北捷は、忠臣にして勲功多し。山水に住むゆえ、位も禄も与えられぬ。1人では寂しかろうと案ずるも、白娉婷なる美しき女子あり。言行優しく、聡明にして鎮北王と心通ずる。鎮北王にふさわしいゆえ、婚姻を認める。互いを敬い、共白髪まで添い遂げよ。以上”」と読み上げる。
「前から用意を?」と娉婷が北捷に聞く。北捷は「ああ、20年も前から」と答える。北捷が手を差し出し、娉婷がその手に自分の手を添える。
2人が「ありがたき幸せ」と言うと、家の門が開き、音楽が鳴り響く。屋敷では婚儀の準備ができていた。すぐに唯品閣が用意した嫁入り道具一式が届く。
「これは…」と娉婷が戸惑うと「婚礼がまだであっただろう。互いに親がおらぬゆえ、陛下と皇后様にお願いした」と話す北捷。
着替え終わった北捷が廊下で待っていると、婚礼衣装に着替えた娉婷が歩いてくる。
娉婷がつまずき、急いで駆け寄り支える北捷。一瞬、面紗で隠れていた娉婷の顔が見える。北捷は娉婷を抱き上げ、歩き出す。
婚礼の後、寝台に座る北捷と娉婷。娉婷が「なぜ私の面紗をとらないの」と言う。北捷が「言ってくれ」と言うと、娉婷が「何を?何を言えば?」と聞く。「私が聞きたいと願う、あの、ひと言を」と北捷が答える。娉婷は「“北捷”」と言う。北捷は娉婷の手をにぎり「幼き日、そなたに会った時から決めていた、妻にすると。平坦ではなかったが、夫婦になれた。これは天意だ」と話す。娉婷は自分の手をにぎっていた北捷の手を取り、面紗の元へ持っていく。北捷が面紗をとり、娉婷が「この時を永遠に忘れない」と言う。うなずいた北捷は、娉婷に口づけする。
綴錦雅閣。皇女から「中へ入るがよい」と言われ、貴炎は部屋へ入る。「なぜ酒が?」と貴炎が聞き「恥ずかしい話だが、夜、なかなか寝つけぬゆえ酒を飲もうと思った。考えすぎず、早く眠れるように」と答える皇女。
皇女にすすめられ、貴炎は酒を飲む。何杯か飲んだ貴炎は、朦朧とする中、皇女の手をにぎり「今まで気持ちを伝える機会がありませんでした。今日こそ申し上げます。私は皇女様を絶対に裏切りませぬ。お慕い申しております」と迫りだす。そんな貴炎を気絶させる何侠。
貴炎に水をかけて起こした何侠は、命乞いをする貴炎に、貴丞相の腹心たちの素性と秘密を教えるよう脅す。
ーつづくー
司馬弘を前にしても、酔菊は酔菊らしくて(*≧ω≦*)
「北捷様より面白くて、尽くしてくれて、よく笑って、悩まない人」って、すぐそばにいるよね。
酔菊はまだ気づいていないみたいだけど。
やっぱり今回はなんといっても北捷と娉婷の婚儀がよくって。
特に転びそうになった娉婷に、両手を広げて駆け寄る北捷がお気に入り(∩´∀`@)
そこは何度もリピ(*´艸`*)
その後のお姫様だっこも、もちろんよかったー!!
貴炎…( ̄▼ ̄|||)
やっちゃった感が。
皇女はお酒をこっそり捨ててたから、あのお酒には何か入っていたんだよね。
貴炎自身も数杯しかお酒を飲んでなかったから、我を忘れるほど酔ってなかったはずだし。
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周りの人たちに祝福されて、本当によかったです!
こちらの結婚式の衣装も本当にお似合いですね。
酔菊に晋王がいつぞや囁いておりましたが、
北捷のべたぼれな感じが本当にいいですね!!
幸せになってほしいですけれど、どうなのでしょう。
その一方で、白蘭のお二人は知略をめぐらせて
貴炎が毒牙にかかってしまいました。。。
ちょっとかわいそうですよね。
こちらは国の運営に影響がないかちょっと心配です。
あそこで娉婷がつまづくなんて、そうか、お姫様抱っこ見せたかったのね。
北捷と娉婷の婚儀でめでたし、めでたし。
と言うところですが、お顔は真っ白だけどお腹は真っ黒の何俠がまだいました。
白蘭の皇女もしたたかです。
小者感いっぱいの愚息、貴炎がまんまとはまって、ちょっぴり可愛そうな気もしました。
後半もどんなドロドロ戦があるか楽しみです。
うささん、ありがとうございます
「夫婦の絆」というタイトル通り、美しい花嫁&花婿姿でしたねぇ〜
20年前に心を決め、尽くす男・ほくしょうさま
きゃー、きゃー
演技とはいえ、余りにさりげなく、甘く交わされる目線に、見とれてしまいますね