岸田総理が少子化対策のラストチャンスとか称して、その対策なるものを打ち出しました。
主に子育てに係る経済的支援や男性の育児休暇取得増を目指しているように見受けられます。
私はこれに非常な違和感を覚えました。
出産の前提は、まずはパートナーを得ることです。
かつてはお見合いや世話焼きおばさんの活躍などにより、ある程度の年齢になると適当な相手と結婚したものです。
別にとくだん惚れていなくても、それはそれとして結婚することが多かったように思います。
しかし、1980年代後半に男女雇用機会均等法が制定されて結婚より仕事を選ぶほうが格好良いような風潮が生まれました。
さらには1990年代初頭に「結婚しないかもしれない症候群」という本が流行ったり、結婚しない生き方を煽るような雑誌が売れるようになり、未婚率が上昇していきました。
そしてお見合い結婚が激減して、適当な相手と年頃になったら結婚する、という美風が薄れていきました。
今ではお見合いという言葉さえ死語となり、婚活という言葉が生まれ、マッチングアプリや結婚紹介所などで出会うということが増えました。
お見合いと違うのは、男女とも、相手に求めるハードルが極めて高くなったことです。
例えば年収800万円以上、35歳以下、などのフィルターをかけてしまうと、年収799万円の人や36歳の人はそもそも弾かれてしまいます。
男も女も高望みをしてわが国にほんのわずかしない相手を求めるという愚かな事態が起こります。
そういう人気のある人は、概ね婚活などせずに恋愛結婚してしまうので、条件の良い相手を求めて何年も婚活を続けることになります。
自分を客観視できずに相手にばかり好条件を求めるとは滑稽ですらあります。
未婚化が進むわけです。
当たり前ですが、未婚、晩婚化が進めば少子化となります。
わが国は今でも結婚の後に子供を授かるというカップルが多くを占めますので、少子化の最大の理由は未婚化、晩婚化にあると言えるでしょう。
そんなことは頭の良い政治家やエリート官僚は百も承知のはずなのに、すでにマッチングを終えた人達を前提に政策を立案しているように見受けられます。
今更お見合いして適当な相手と結婚するという良い風潮を復活させることは不可能です。
結婚というのは極めて個人的な問題で、多くの人が結婚するように仕向けるのは困難を極めると思います
しかしその不可能に代わる手段を探すことこそ、企画立案、意思決定に携わる政治家の役割ではないでしょうか。