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タイトルが桜庭和志の自伝本のようになってしまいました、一年の菅原です。Call me sugayû!
ここ最近日本のグラップリング界ではヒールフックが熱く盛り上がっていて、僕も非常に好きな技であるため、どうしてもこの熱をどこかにぶつけたいと思い、ブログを書きます。
ヒールフックとは
僕が寝技やグラップリングに一層どっぷり浸かるようになった原因である、ヒールフック。最近だと、BATLLE HAZERD 07でイゴールタナベ選手や米倉大貴選手がヒールフックで勝利を挙げていました。僕もオンラインで生観戦しました。(配信が途中途切れたため、イゴール選手の試合はほとんど見れていませんが…)米倉選手のヒールの仕掛けは鮮やかでした。八田選手がどう足掻いても最後にはヒールで取られちゃう…あれは蟻地獄かもしれませんね…。GTF.4でもお見事でした。ちなみに、ヒールフックには、インヒールとアウトヒールがあります。自分の手と同じ側にある相手の踵を捻るのがアウトヒール、反対側の足をクロスさせて捻るのがインヒールです。クロスヒールなんて言い方もあるくらいです。名前はヒールフックやヒールホールドと呼ばれていますが、これは膝を破壊する技であります。膝の可動域を固定して踵から膝に向かって捻って十字靭帯や膝関節にダメージを与えるのです。しかし、タップが間に合わないことや格闘家にとって膝の怪我は致命傷となるため、また、一生モノの怪我に繋がりやすいため危険な技として扱われています。
七帝柔道では(というか多くの寝技系の格闘技では)ヒールフックは禁止技になっています。しかし、ヒールフックを含め、足関節技というのはここ数年、寝技、MMA、グラップリング界ではビッグトレンドなのであります。そういう私も、MMAを教えてくださった師匠は足関節が非常に得意な方で、大きな影響を受けました。(3年間一度も取れなかった師匠から初めてとった一本はインヒールでした。)
ヒールフックの優位性と特徴
なぜヒールフック(足関節)は有効かと言われれば、僕が思うに、いわゆる”ポジション”を取らなくて良いということです。すなわち、「パスガードして、押さえ込んで、極める」という動作を省略することができるのです。(当然、押さえ込むことよりはリスクがあります。)足関節を優位に極めるためのポジションは存在しますが、パスガードがないというのは体力的にも、時間的にも非常に利点が多いと思います。しかし、足関節というのは、ポジションのキープが非常に複雑で、相手と技量の差があればカウンターを喰らってしまうリスクはあります。それでも、使いようによっては自分より大きな相手から一本を取ることも可能な技です。その特徴が如実に出たのは、ADCC2019のアブソリュートに出場したLachlan Gilesです。彼は77kg級の選手でありながら、このヒールフックを駆使してアブソリュート(無差別級)で3位に入賞するという快挙を成し遂げました。(ちなみに彼は奥さんとその技を磨いているそうで、試合会場には奥さんがいて、奥さんの声が会場に響き渡っています。夫婦で打ち込みする映像の一部を見たことがありますが、奥さんの足は取れたりしないんでしょうか…。)ADCC2019は間違いなく、Gordon Ryanが圧倒的に輝いた大会ではありましたが、ラクランの足関節に酔いしれたグラップリングファンの方も多かったのではないでしょうか。みんな大好き(?)FloGrapplingのYoutubeチャンネルにて公開されていたADCC2019 Absoluteの本戦の模様を貼っておきます。これくらいの体格差があってもひっくり返すことができるのですね。(当然、彼ほどのテクニックを持ち合わせていることは前提ですけどね。)
Lachlan Giles vs Patrick Gaudio - 2019 ADCC World Championships
ヒールフックとぼくの思い出
ヒールフックの極まる仕組みについてはここでは語りませんし、僕の知識が正しいとも限らないので、もし興味がある方や寝技を追っている人たちはヒールフックについて再度、知識を入れておくと、今後さらにグラップリングや寝技を楽しめるかもしれません。IGLOO勢のヒールフックの発達は今、日本全体に影響を与え始めています。僕は青木真也選手や今成正和選手の足関節をどっぷり見ていました。そこから、Garry TononやCraig Jonesの足関節は研究しまくりました。(ただ当時は、技研を一緒にしてくれる友達がいなかった!兄の足をよく借りたものです…。ごめんね。)彼らはダナハー一派(=John Danaherを中心にシステマティックな寝技を研究。ちなみにダナハーさんは名門コロンビア大学で認識論の博士を習得しているインテリです。とても教則がわかりやすいです。)でありまして、彼らが作り出す、寝技のシステムは今や世界を凌駕するもので、世界中でこのダナハーシステムにどう対抗するか、その詳しい仕組みを研究することが盛んに行われています。特に彼らが作り出す足関節のシステムは世界最先端と言っても過言ではないでしょう。その他、足関以外も最先端をいっているので、寝技好きとしては追わないわけにはいかないです。また、先述の通り、師匠から初めて取った一本はヒールフックなので、僕にとって、ヒールフックは非常に思い出深い技なのであります。
最後に僕が印象的なヒールフックが極まった試合を紹介します。
- 長南亮vsアンデウソン・シウバ
長南亮(Ryo Chonan)vs (アンデウソン・シウバ )Anderson Silva)
(この試合の数年後、シウバはUFCに所属し、ミドル級の王者になります。しかもUFCのベルトの最長保持記録を叩き出します。そんな後の絶対王者シウバから蟹挟みからのインヒールを極める鶴岡出身の長南選手。東北人の誇りです。長南さんは現在もたくさんの将来有望な選手を育てることに尽力されています。)
- 今成正和vsジーン・シウバ
今成正和 vs Jean Silva - Cage Rage
(すがゆー少年にヒールフックの恐ろしさを植え付けた試合です。こんなにも大の大人が悲痛な声を上げながらタップするものかと思いました。ヒールフック恐ろしや。言わずとしれた足関十段・今成さんの試合です。今成さんの足関変態的な雰囲気がとても好きです。44歳の今でも現役で、世界のグラップラーたちが日本で試合がある際には出稽古に行くなど、いまだに人気の熱が冷めることを知りません。)
- ゲイリー・トノンvs青木真也
ONE: Full Fight | Garry Tonon vs. Shinya Aoki | Grappling Super-Match | May 2017
(世界的ビッグネーム同士の対決です。僕もこれは生中継を見ていました。青木選手がテイクバックしたときにはいけるかも!と思っていましたが、ゲイリーの足関節の巧さが光った試合でした。フィニッシュのシーンではゲイリーの両足を束ねるまでのスムーズさとダブルアタックのテクニックは非常に光るものがありました。僕は完全にダナハーシステムの虜になってしまいました。ちなみにゲイリーはお祭り男というかパーティピーポーなのであります。)
- クレイグ・ジョーンズvsチェール・ソネン
Chael Sonnen VS Craig Jones 2017 ADCC Championship
(クレイグが得意とするパターン。この潜りからのヒールってクレイグがやるととっても簡単そうに見えるのですが、どうも簡単に行きません。特別な技術があってこそなのでしょう。ちなみに僕もZガードをスパーリング中にやりまくりましたね。潰されまくりましたけど。クレイグはやっぱりすごいや。再戦でもファウラーに敗れてしまいましたが、WNOのRoberto Jimenez戦は楽しみです。GeoとPauloも!)
この他にもヒールフックが活躍している試合は多くあります。ぜひ見てみてください。
世の中には危険だからと言って封印されてしまうモノというものはよくあります。格闘技界にもそれはあって、例えば蟹挟みや足関節技というのは淘汰されてきた存在であります。(膝十字などは柔道にもあったと聞いたことがあります。当方柔道は全くの素人ですが。)僕のような格闘技LOVERはこのような技術を後世に伝えたいし、自分でも身に付けたいと思っています。当然、試合に出る以上はルールを守らなければなりませんが、技を広めること自体はサボるべきことではないと思っています。ぜひヒールフックに興味を持たれた方がいれば僕の知識をお教えしますよ…!!
最近、ロッテが調子を上げてきていますが、変わらずホークスが一位なので小金丸さんに振りたいと思います。私の地元球団楽天はどんどん差を開かれています...。さらに、その楽天を追いかける日ハム。ということで北海道出身の吉本にも振っておきます。よろしくお願いします。
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