快読日記

日々の読書記録

読了『一瞬と永遠と』萩尾望都

2016年05月27日 | エッセイ・自叙伝・手記・紀行
5月26日(木)

『一瞬と永遠と』(萩尾望都/朝日文庫)は、最近読んだエッセイで一番よかった。

24年組は断然山岸凉子派!のわたしだが、いつも思うのは“山岸凉子のいいたいことはわかる。考えてることも(思い込みかもしれないが)わかる。でも萩尾望都の考えてることはわからない”である。
萩尾望都ってなんかこう、壁の向こう、大気圏のずっと向こうにまで思いを馳せてる気がする、常人の想像を超えるスケールだ。しかも深い。
だから、彼女が手塚治虫に共鳴するのもよくわかる。
このエッセイにもそうした常人ならざるものを感じさせる場面が随所に出てくる。
一方で、彼女を認めてくれない両親との葛藤の話も印象的だ。
以前、浦沢直樹とEテレで対談していて、両親が萩尾望都の仕事を認めてくれたきっかけが朝ドラ『ゲゲゲの女房』だと言っていたから強烈だ。ついこの間じゃん!!

後半は、SFや手塚治虫などの書評や映画評。
萩尾望都の頭と心がいかに豊潤かがよくわかる。
SFが大の苦手なわたしでも、ちょっと読みたくなった。

萩尾望都は今の日本の漫画文化を作り上げた偉大な作家の一人だ。
文学は完全に負けていると思った。
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