快読日記

日々の読書記録

読書中『延命の負債』松本清張

2016年04月30日 | 日本の小説
4月29日(金)

松本清張がどんな人だったかはよく知らないけど、仲間とわいわい飲んで騒いでいるとか、初対面の人ともすぐ打ち解けてパーティーで人の輪の中で笑っている場面は想像しにくい。

短編集『延命の負債』(角川文庫)の2つめ「湖畔の人」を読む。
新聞社に勤める「人から愛されない性質」である矢上が、家康の6番目の子である松平忠輝に深く共鳴していく話。
矢上が人と馴染めない原因としては性格や容貌などが挙げられているが、結局それらを“生来のもの”と捉えているところが絶望的というか作者と重なる…というか、まあ、勝手にイメージして勝手にちょっと共感してるだけなんだけど。

主要人物のうち、いかにも人懐っこい無神経(ある程度無神経なところにしか社交性は生まれない)さを持つ同僚男性だけが「A」と呼ばれ、名を持たないのも象徴的。

だけど、最後の最後、忠輝のある場面を矢上が想像する終わり方は、なんだ心が慰められる。
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