![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/98/514bd194e6d4dee1e6d98b0d2711a4f7.jpg)
(男女岳を望む)
三日目の夜。昼の暑さに窓を開け、何も掛けずにマットの上で寝ていたのだが、19時を過ぎると急に冷え込んできた。トイレに行った帰りに温度計を見ると16℃を指している。一気に14℃も下がったのだから寒い訳だ。小屋の毛布を借りて寝入っていると小屋の周囲はガスに包まれてしまった。明日の天気はどうだろうか。3時半に目が覚め、最終日の準備をする。外はややガスっぽいようだ。朝食を取り、小屋の戸を開ける。あとは売店の人がやっておいてくれるだろう。水を2リットル積み、全ての荷を持って出発する。
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(夜明けの月)
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(小屋前にて)
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(登山口)
歩き始めこそ舗装された道も直ぐに木道、そして笹の被る登山道となる。きちんと刈払いが済んでいるので、朝露で足を濡らすことはない。朝早くまだ暑いとは感じないが、風の無い道にはこれまでに無いほどの羽虫の大群がいる。目に飛び込んでいるものもいて、非常に鬱陶しい。硫黄鉱山跡経由との分岐に出ると鉱山跡の白い山膚が凄まじい。八合目まで通じる道路は元々この鉱山用に作られたものであった。
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(硫黄鉱山跡)
分岐を見送ると道はやや傾斜を増す。潅木や笹の背も低くなり、谷側の展望が開けてきた。昨日も感じたことだが、秋田駒周辺は日本海つまり西側からの風が強い。西側からの風が当たり始めると羽虫はきれいに居なくなる。傾斜が緩んでくると開けた台地の縁に出る。秋田駒の最高地点である男女岳が大きく迫ってくる。片倉岳と書かれた標柱のある展望台にはベンチが複数置いてあり、主に田沢湖から岩手山までの展望が開ける。いつも通り朝は岩手山方面が逆光となってしまうのだが、それ以上にガスが湧いてしまっている。田沢湖はおよそ半分が切れてしまっていて、もう少し先へ進まないと全体を見るのは無理だろう。
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(アザミ)
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(花)
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(正面は荷葉岳だろうか)
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(左から乳頭山・笹森山・笊森山・岩手山・湯森山)
台地の縁を進む道は風が強く、時々帽子を飛ばされそうになる。眼下には田沢湖の全体も見えるようになってきた。男岳が見えてくると道は男岳と男女岳の間を進んでいく。しかしどちらもガスに巻かれて山頂付近は見えなくなってしまった。抉れた道が終わり、木道の上を阿弥陀池を目指し歩く。木道の両脇は花が多そうだ。
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(男女岳)
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(田沢湖)
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(男岳)
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(周辺はお花畑 奥は横岳への縦走路)
白く光る阿弥陀池が見えてくると男岳との分岐に出る。ガスが濃く、展望は期待できないので、先に男岳を登ろう。男岳は山頂付近は丸い形をしているが、横岳との鞍部からの縦走路は岩稜帯となっている。鞍部への道を登るとガスに巻かれた男女岳が大きい。眼下にはニッコウキスゲのオレンジがかった黄色が鮮やかだ。鞍部へ上がると小岳と女岳が姿を現す。ポッカリと火口を開けた小岳を見るとこの山が火山なんだと改めて感じる。女岳は火山活動が盛んなため、登山は禁止されている。当然道はない。
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(阿弥陀池 右の建物は阿弥陀池小屋 奥の丸い山は焼森)
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(斜面にはニッコウキスゲが咲く)
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(ガスに包まれる男女岳)
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(女岳)
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(小岳)
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(横岳への縦走路)
男岳山頂への道は南側からの風を強く受ける。傾斜が急なのであまり南によらないほうが良いだろう。高度を上げていくと周囲は真っ白となってしまった。足元ははっきりとしているので、とにかく山頂にだけは寄ろう。岩稜帯でストックのキャップを失くしつつも神社のある男岳(1623)に到着。山頂からは五百羅漢方面の道が延びているが、このガスで下りていく自信はない。ガスは霽れそうにもないので、往路を戻り、男女岳を目指す。
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(男岳山頂)
阿弥陀池の北側を通り、男女岳の基部に到着。ここからは硫黄鉱山跡への道が延びる。見た目には悪くない道だが、エアリア及び現地標識には安易に立ち入らないことと警告している。男女岳山頂へは見た目通り厳しい登りが待ち受ける。人為的に敷き詰めた石と土留めの木段の上を少しずつ登っていく。土留めの木段登りはしんどいが、ステップが低くなっているので、思ったよりもきつさは無い。ジグザグを描く登りをこなすと男女岳(女目岳 おなめだけ 1637.4)山頂だ。周囲は依然ガスに巻かれ、展望は得られない。すると同年代の男性が一人上がってきた。男性とのんびりと挨拶を交わしていると周囲が徐々に霽れてきた。ガスに巻かれた男岳の向こうに田沢湖が見えただけでも今回は良しとしよう。望外の眺めに満足し、下山することにした。
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(硫黄鉱山跡への道 右に見えるのは焼森)
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(男女岳山頂を目指す)
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(ガス湧く男女岳山頂)
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(男岳の向こうに田沢湖)
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(岩手山の頭が見える)
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(男女岳山頂の様子)
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(阿弥陀池を見下ろす)
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(男岳)
阿弥陀池に戻り、横岳を目指す。その前に一応阿弥陀池小屋を覗いてみる。二階建てでそれなりに広さはあるが、板の間は2階だけのようだ。ここもチップ制が採られている。阿弥陀池小屋の前を通り、横岳への登りに取り掛かる。急な登りだが最後の一踏ん張りだ。山頂というよりは尾根の高まりという感じの横岳(1582.7)はコマクサの咲く大焼砂へのジャンクションピークとなっている。昨日八合目小屋でもコマクサの話は多く聞いたが、ボクはあまり花に興味が無い。コマクサなら他でも見る機会はあるだろう。そのまま焼森へと向かう。
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(阿弥陀池)
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(阿弥陀池と男女岳)
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(横岳)
横岳から焼森へは緩やかなスロープが続く。熊見平を思わせるところもあるが、こちらのほうが規模は小さい。焼森が近付くにつれて火山らしいザレた砂礫が広がる。草木の生えない焼森(1551)は丸い凸レンズ状の山頂だ。男女岳だけから男岳・横岳が一望できる。8時を過ぎ、気温も上がってきた。そろそろ八合目小屋に戻ろう。
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(焼森を望む)
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(焼森山頂)
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(焼森からのパノラマ)
湯森山への分岐を見送ると八合目小屋へは急は下りが続く。不思議と砂礫地なのに焼森直下はお花畑が広がる。そのお花畑の向こうには八合目小屋が見える。途中にあるベンチで休憩を取った後は一気に八合目小屋まで歩きとおす。一旦沢を横切るため登り返すが、その後は只管の下りだ。傾斜は急だが思ったよりも歩きやすい。潅木や笹が高いので見通しは効かないが、途中八合目まで5分と書かれた看板がある。そこからやや時間を掛けて無事八合目小屋に到着。8時50分のバスに間に合いそうだが、装備を解くため次のバスを待つことにした。
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(お花畑)
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(八合目小屋を見下ろす)
売店の小母さんにお礼を言って9時25分のバスに一人乗り込む。バスは70近くのカーヴがある鉱山道路を結構なスピードで下りていく。終点はアルパこまくさ。ここから田沢湖駅行きのバスに乗り換えるのだが、折角なので温泉に立ち寄ることにした。泉質はよくわからないが、白濁した硫黄泉でかなりの湯の花が浮いている。露天風呂からはウリとなっている田沢湖がよく見える。露天はぬるめで風も涼しいので、つい長湯をしてしまった。温泉の食堂で昼食を取っていこうと思ったが、混んでいるので田沢湖駅まで下りることにした。バスには秋田駒ヶ岳からの帰りらしき人たちが一緒に乗り込んでくる。一昔前は流行ったであろう鄙びたリゾートといった雰囲気の田沢湖周辺を過ぎると、新幹線の停まる田沢湖駅だ。駅前の食堂で昼食を済ませるとちょうど改札が開く時間であった。ホームで高原の風を感じながら、今回の山旅の思い出に耽っていた。後半は急ぎ足で登り残したところもある。いずれ再び秋田駒ヶ岳へは足を運ぼう。そう思いつつ新幹線に乗り込んだ。
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/69/6bcf19f6b6875e9f68725b82ce938fb9.jpg)
(アルパこまくさ 秋田駒ヶ岳情報センターなども一緒に入っている)
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(アルパこまくさ付近から田沢湖を見下ろす)
DATA:
八合目小屋4:54~5:01硫黄鉱山分岐~5:29片倉岳~6:15阿弥陀池男岳分岐~6:21男岳横岳鞍部~6:41男岳~7:13男女岳分岐
~7:28男女岳~7:53阿弥陀池小屋~8:01横岳分岐~8:06横岳~8:14焼森~8:46八合目小屋(羽後交通)アルパこまくさ
(羽後交通)田沢湖駅
羽後交通バス 八合目~アルパこまくさ 600円 アルパこまくさ~田沢湖駅 600円
アルパこまくさ 入浴料金 500円
阿弥陀池小屋
水場は不明(スミマセン…) 2階のみ板の間 やはり10人前後か 携帯電話も不明 トイレは別棟にあり
なおここもチップ制
歩数 27,377歩(但し10,000歩くらいは盛岡駅周辺の分が入っています)
地形図 秋田駒ヶ岳
今回元々は四泊五日の予定で、かつ予備日を一日設けていました。ところが結局八幡平から秋田駒までは二泊三日で歩き通してしまいました。これは決してボクの足が速いという訳ではなく、二泊三日で歩くのが通常のようです。一昨年の秋に大深山荘で出会った地元の人は一日で八幡平から八瀬森山荘まで歩き、二日目には秋田駒まで行く予定だと言っていました。したがって健脚の人なら一泊二日でも秋田駒まで行けてしまうのかもしれません。ただそうやって急いで歩くのが良いという訳でもなく、出来れば大白森から秋田駒まではじっくりと歩きたいところです。
体力的には雲取山から金峰山よりも楽だったと思います。裏岩手縦走路の核心部は八瀬森分岐から大白森でしょう。ここを乗り切れば、縦走はほぼ成功です。それ以外の部分は日帰りでも十分対応可能なので、麓の温泉に泊まって翌朝早く歩き始めるというのもよろしいかと思います。登山適期は7月から9月までといったところでしょうか。(一部1000m以下を歩くので)夏は暑いですが、道は乾いて歩きやすいと思います。核心部を歩く人は防水の利いた靴と雨具の下を履かれたほうがいいでしょう。八幡平についてはさわりだけでしたが、一昨年は茶臼岳から登り、陵雲荘に泊まりました。盛岡駅から八幡平行きのバス(岩手県北バス)に乗るという人なら陵雲荘に一泊するのもお勧めです。
三日目の夜。昼の暑さに窓を開け、何も掛けずにマットの上で寝ていたのだが、19時を過ぎると急に冷え込んできた。トイレに行った帰りに温度計を見ると16℃を指している。一気に14℃も下がったのだから寒い訳だ。小屋の毛布を借りて寝入っていると小屋の周囲はガスに包まれてしまった。明日の天気はどうだろうか。3時半に目が覚め、最終日の準備をする。外はややガスっぽいようだ。朝食を取り、小屋の戸を開ける。あとは売店の人がやっておいてくれるだろう。水を2リットル積み、全ての荷を持って出発する。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/11/69f8601d6da0f0ba7d50cbf11bf4d682.jpg)
(夜明けの月)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/b7/b7dc215151134c59f0506880806e00d1.jpg)
(小屋前にて)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/c2/375b96ca8ea93ef93617a90a02747382.jpg)
(登山口)
歩き始めこそ舗装された道も直ぐに木道、そして笹の被る登山道となる。きちんと刈払いが済んでいるので、朝露で足を濡らすことはない。朝早くまだ暑いとは感じないが、風の無い道にはこれまでに無いほどの羽虫の大群がいる。目に飛び込んでいるものもいて、非常に鬱陶しい。硫黄鉱山跡経由との分岐に出ると鉱山跡の白い山膚が凄まじい。八合目まで通じる道路は元々この鉱山用に作られたものであった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/1e/82f1af40c456c238aebcc1f5458f39e2.jpg)
(硫黄鉱山跡)
分岐を見送ると道はやや傾斜を増す。潅木や笹の背も低くなり、谷側の展望が開けてきた。昨日も感じたことだが、秋田駒周辺は日本海つまり西側からの風が強い。西側からの風が当たり始めると羽虫はきれいに居なくなる。傾斜が緩んでくると開けた台地の縁に出る。秋田駒の最高地点である男女岳が大きく迫ってくる。片倉岳と書かれた標柱のある展望台にはベンチが複数置いてあり、主に田沢湖から岩手山までの展望が開ける。いつも通り朝は岩手山方面が逆光となってしまうのだが、それ以上にガスが湧いてしまっている。田沢湖はおよそ半分が切れてしまっていて、もう少し先へ進まないと全体を見るのは無理だろう。
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(アザミ)
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(花)
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(正面は荷葉岳だろうか)
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(左から乳頭山・笹森山・笊森山・岩手山・湯森山)
台地の縁を進む道は風が強く、時々帽子を飛ばされそうになる。眼下には田沢湖の全体も見えるようになってきた。男岳が見えてくると道は男岳と男女岳の間を進んでいく。しかしどちらもガスに巻かれて山頂付近は見えなくなってしまった。抉れた道が終わり、木道の上を阿弥陀池を目指し歩く。木道の両脇は花が多そうだ。
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(男女岳)
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(田沢湖)
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(男岳)
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(周辺はお花畑 奥は横岳への縦走路)
白く光る阿弥陀池が見えてくると男岳との分岐に出る。ガスが濃く、展望は期待できないので、先に男岳を登ろう。男岳は山頂付近は丸い形をしているが、横岳との鞍部からの縦走路は岩稜帯となっている。鞍部への道を登るとガスに巻かれた男女岳が大きい。眼下にはニッコウキスゲのオレンジがかった黄色が鮮やかだ。鞍部へ上がると小岳と女岳が姿を現す。ポッカリと火口を開けた小岳を見るとこの山が火山なんだと改めて感じる。女岳は火山活動が盛んなため、登山は禁止されている。当然道はない。
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(阿弥陀池 右の建物は阿弥陀池小屋 奥の丸い山は焼森)
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(斜面にはニッコウキスゲが咲く)
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(ガスに包まれる男女岳)
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(女岳)
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(小岳)
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(横岳への縦走路)
男岳山頂への道は南側からの風を強く受ける。傾斜が急なのであまり南によらないほうが良いだろう。高度を上げていくと周囲は真っ白となってしまった。足元ははっきりとしているので、とにかく山頂にだけは寄ろう。岩稜帯でストックのキャップを失くしつつも神社のある男岳(1623)に到着。山頂からは五百羅漢方面の道が延びているが、このガスで下りていく自信はない。ガスは霽れそうにもないので、往路を戻り、男女岳を目指す。
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(男岳山頂)
阿弥陀池の北側を通り、男女岳の基部に到着。ここからは硫黄鉱山跡への道が延びる。見た目には悪くない道だが、エアリア及び現地標識には安易に立ち入らないことと警告している。男女岳山頂へは見た目通り厳しい登りが待ち受ける。人為的に敷き詰めた石と土留めの木段の上を少しずつ登っていく。土留めの木段登りはしんどいが、ステップが低くなっているので、思ったよりもきつさは無い。ジグザグを描く登りをこなすと男女岳(女目岳 おなめだけ 1637.4)山頂だ。周囲は依然ガスに巻かれ、展望は得られない。すると同年代の男性が一人上がってきた。男性とのんびりと挨拶を交わしていると周囲が徐々に霽れてきた。ガスに巻かれた男岳の向こうに田沢湖が見えただけでも今回は良しとしよう。望外の眺めに満足し、下山することにした。
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(硫黄鉱山跡への道 右に見えるのは焼森)
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(男女岳山頂を目指す)
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(ガス湧く男女岳山頂)
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(男岳の向こうに田沢湖)
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(岩手山の頭が見える)
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(男女岳山頂の様子)
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(阿弥陀池を見下ろす)
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(男岳)
阿弥陀池に戻り、横岳を目指す。その前に一応阿弥陀池小屋を覗いてみる。二階建てでそれなりに広さはあるが、板の間は2階だけのようだ。ここもチップ制が採られている。阿弥陀池小屋の前を通り、横岳への登りに取り掛かる。急な登りだが最後の一踏ん張りだ。山頂というよりは尾根の高まりという感じの横岳(1582.7)はコマクサの咲く大焼砂へのジャンクションピークとなっている。昨日八合目小屋でもコマクサの話は多く聞いたが、ボクはあまり花に興味が無い。コマクサなら他でも見る機会はあるだろう。そのまま焼森へと向かう。
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(阿弥陀池)
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(阿弥陀池と男女岳)
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(横岳)
横岳から焼森へは緩やかなスロープが続く。熊見平を思わせるところもあるが、こちらのほうが規模は小さい。焼森が近付くにつれて火山らしいザレた砂礫が広がる。草木の生えない焼森(1551)は丸い凸レンズ状の山頂だ。男女岳だけから男岳・横岳が一望できる。8時を過ぎ、気温も上がってきた。そろそろ八合目小屋に戻ろう。
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(焼森を望む)
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(焼森山頂)
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(焼森からのパノラマ)
湯森山への分岐を見送ると八合目小屋へは急は下りが続く。不思議と砂礫地なのに焼森直下はお花畑が広がる。そのお花畑の向こうには八合目小屋が見える。途中にあるベンチで休憩を取った後は一気に八合目小屋まで歩きとおす。一旦沢を横切るため登り返すが、その後は只管の下りだ。傾斜は急だが思ったよりも歩きやすい。潅木や笹が高いので見通しは効かないが、途中八合目まで5分と書かれた看板がある。そこからやや時間を掛けて無事八合目小屋に到着。8時50分のバスに間に合いそうだが、装備を解くため次のバスを待つことにした。
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(お花畑)
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(八合目小屋を見下ろす)
売店の小母さんにお礼を言って9時25分のバスに一人乗り込む。バスは70近くのカーヴがある鉱山道路を結構なスピードで下りていく。終点はアルパこまくさ。ここから田沢湖駅行きのバスに乗り換えるのだが、折角なので温泉に立ち寄ることにした。泉質はよくわからないが、白濁した硫黄泉でかなりの湯の花が浮いている。露天風呂からはウリとなっている田沢湖がよく見える。露天はぬるめで風も涼しいので、つい長湯をしてしまった。温泉の食堂で昼食を取っていこうと思ったが、混んでいるので田沢湖駅まで下りることにした。バスには秋田駒ヶ岳からの帰りらしき人たちが一緒に乗り込んでくる。一昔前は流行ったであろう鄙びたリゾートといった雰囲気の田沢湖周辺を過ぎると、新幹線の停まる田沢湖駅だ。駅前の食堂で昼食を済ませるとちょうど改札が開く時間であった。ホームで高原の風を感じながら、今回の山旅の思い出に耽っていた。後半は急ぎ足で登り残したところもある。いずれ再び秋田駒ヶ岳へは足を運ぼう。そう思いつつ新幹線に乗り込んだ。
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(アルパこまくさ 秋田駒ヶ岳情報センターなども一緒に入っている)
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(アルパこまくさ付近から田沢湖を見下ろす)
DATA:
八合目小屋4:54~5:01硫黄鉱山分岐~5:29片倉岳~6:15阿弥陀池男岳分岐~6:21男岳横岳鞍部~6:41男岳~7:13男女岳分岐
~7:28男女岳~7:53阿弥陀池小屋~8:01横岳分岐~8:06横岳~8:14焼森~8:46八合目小屋(羽後交通)アルパこまくさ
(羽後交通)田沢湖駅
羽後交通バス 八合目~アルパこまくさ 600円 アルパこまくさ~田沢湖駅 600円
アルパこまくさ 入浴料金 500円
阿弥陀池小屋
水場は不明(スミマセン…) 2階のみ板の間 やはり10人前後か 携帯電話も不明 トイレは別棟にあり
なおここもチップ制
歩数 27,377歩(但し10,000歩くらいは盛岡駅周辺の分が入っています)
地形図 秋田駒ヶ岳
今回元々は四泊五日の予定で、かつ予備日を一日設けていました。ところが結局八幡平から秋田駒までは二泊三日で歩き通してしまいました。これは決してボクの足が速いという訳ではなく、二泊三日で歩くのが通常のようです。一昨年の秋に大深山荘で出会った地元の人は一日で八幡平から八瀬森山荘まで歩き、二日目には秋田駒まで行く予定だと言っていました。したがって健脚の人なら一泊二日でも秋田駒まで行けてしまうのかもしれません。ただそうやって急いで歩くのが良いという訳でもなく、出来れば大白森から秋田駒まではじっくりと歩きたいところです。
体力的には雲取山から金峰山よりも楽だったと思います。裏岩手縦走路の核心部は八瀬森分岐から大白森でしょう。ここを乗り切れば、縦走はほぼ成功です。それ以外の部分は日帰りでも十分対応可能なので、麓の温泉に泊まって翌朝早く歩き始めるというのもよろしいかと思います。登山適期は7月から9月までといったところでしょうか。(一部1000m以下を歩くので)夏は暑いですが、道は乾いて歩きやすいと思います。核心部を歩く人は防水の利いた靴と雨具の下を履かれたほうがいいでしょう。八幡平についてはさわりだけでしたが、一昨年は茶臼岳から登り、陵雲荘に泊まりました。盛岡駅から八幡平行きのバス(岩手県北バス)に乗るという人なら陵雲荘に一泊するのもお勧めです。