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(日和田山からの初日の出)
前回の記事で日和田山での初日の出についてのコメントを頂きました。奥武蔵については実際に訪れさえすれば済む話なので、基本的に過去の記事については載せない方針を採っています。しかし年末ということであまり時間が取れないため、当時書いた記録を載せることにしました。当時のものをそのまま載せているため、現在とは少々様子が異なっているかもしれないことをご了承ください。
以前ネットで奥武蔵の山を検索していたとき、偶然日和田山で初日の出を見たという記事に出くわした。これまで正月は家でのんびりするのが常であったが、日和田山なら何度か登っていて、しかも軽い山なので初日の出を見に行くのもよいかもしれないと考えた。
大晦日も夜更かししあまり眠れていないものの、4時起きで出発する。所沢で飯能行きに乗り換えると登山姿の乗客が目立つ。まだ辺りは暗闇に包まれた高麗駅に着くと意外にも沢山の人が降りる。皆日和田山で初日の出を迎えようとする人たちのようだ。駅前で準備を整え登山口を目指す。鹿台橋を渡り登山口に近づくと駐車場からも多くの人が登り始めている。これほど人の多いイベントだったのか…。ヘッドランプを付け歩き始めると周囲の人間が軽装であることに気づく。
初日の出を見ようとする人の大半は普段山登りをしないような人たちなのだ。人の流れに従って女坂を進むと傾斜が急な所で渋滞が出来る。日の出までは時間がたっぷりあるのでのんびりと進む。駅を出て30分ほどで神社前の岩場に到着。既に50人位の集団でごった返している。丸太のベンチにスペースを確保して日の出を待つ。まだ40分ほど時間がある。スカイラインの出来た東の空は少し雲が掛かっている。大山の三角形のシルエットが顕著だ。空が白み始めると富士山の真っ白な頭が大岳山の左に現れる。日の出時間を過ぎるがまだ太陽は見えない。7時を過ぎて漸く雲から太陽が姿を現した。正直それほど感動はない。あまりにも人が多過ぎるのだ。早くも下山を始める人もいるが一先ず山頂へ向かう。
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(神社前の岩場から大山方面を望む)
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(富士山)
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(右端に大岳山)
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(人の多い岩場)
神社の裏手から少し急な岩尾根を登ると富士山方面が開けた見晴しに出る。神社前の岩場よりも富士山や大岳山の展望が良い。すっかり葉を落とした雑木林に囲まれた日和田山(305.1)山頂は東側の眺めに優れる。煙を噴き上げる工場の向こうには筑波山の双耳峰がよく見える。山頂も人が多く、のんびりできる雰囲気ではない。人が少なそうな物見山へ向かうことにする。
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(日和田山直下)
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(山頂から筑波山 手前は太平洋セメント工場)
急な岩尾根を下ると「石庭・富士見の丘・日向」方面へ分岐に出る。いつかこの道も下ってみたいものだ。物見山方面へは植林の道となる。鞍部から高指山へ登り返すと軽装の若者たちが下りてきた。山頂で日の出を迎えた人たちなのであろうか。アンテナ施設のある高指山は無視して駒高へ車道を下りていく。
車道の延びる駒高の集落は南向きで日当たりが良い。民家の庭には数本の蝋梅が植えられ、黄色い蝋細工のような花を沢山付けていた。その先には東屋・売店・トイレと設備が揃い休憩には最適だ。中高年のご夫婦が休憩する東屋で少し休憩を取る。東屋からは富士の白い頭が見える。二段構えで凸凹とした山は大岳山。その脇にすっきりとした三角形の姿を見せるのが御前山。朝作ってきたお茶を少し飲み物見山へ向けて歩き出す。
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(駒高からの眺め)
駒高から物見山へは檜の植林帯を緩やかに登っていく。以前雨上がり後にここを下りに採った際、随分滑りやすかった記憶がある。所々岩が露出しているので注意は必要だろう。道標の立つ巻き道を分けると物見山の見晴に出る。30代位の男性が居たが私が来ると下りていった。防火帯の見晴も大分木が大きくなって高指山の鉄塔が見える程度である。
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(物見山の見晴台)
今日はこの後市境尾根を下って日高富士山と白銀平まで行く予定である。見晴しから東の樹林帯に入ると間も無く三角点峰(375.4)に到着。ここが地形図上の物見山だが見晴のほうが若干高いような気もするので、やはり見晴を山頂とすべきかもしれない。踏み跡のある急坂を下ると林道開削によって岩が剥き出しになった見晴に出る。こちらのほうが物見山の見晴よりも展望が良いかもしれない。見晴からは林道へ二手に下りられるがどちらでもそれほど変わりは無い。
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(物見山三角点)
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(林道からの眺め)
さて今日の核心部はこれからである。道標のない取り付きを探さなくてはならない。カーヴの先端には滑り止めの砂が置いてあり、そこから踏み跡が延びている。新ハイキングの記事には境界標が埋まっているとのことなのでそれを探して踏み跡を進み始める。
15mほど進むと小さな境界標が現れた。おそらくこれのことだろう。そのまま進むと傾斜のきつい下り坂となる。踏み跡らしきものは続いているが殆ど崖だ。木に摑まりながら下っていくと沢の流れる音がする。すると眼下に沢が見えてきた。明らかにおかしい。道は尾根を行くはずだ。意を決して道を戻る。急坂をヘトヘトに為りながら登りきり再び林道に出る。地形図を見ながら取り付きを探し回る。先ほどの踏み跡がやはり正しいのかもしれないと尾根を進みながらキョロキョロと見回していると、東に一本の尾根が枝越しに見える。この尾根がカーヴの先端から延びている尾根だとすれば、あの尾根が市境尾根のはずだ。林道に戻り車道を少し登るとカーヴミラーのある辺りにしっかりとした踏み跡がある。ここが市境尾根の取り付きで間違いないだろう。
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(ここを下るのは間違い)
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(ここを入る)
踏み跡を進むとすぐに小ピークの北を巻くように道が下っていく。若干の不安を持ちつつも進むと小ピークからの道に合流し、気持ちの良い陽だまりの尾根道となる。この辺り北は落葉樹、南は植林の森となっている。道は広くエアリアに載っていてもおかしくないほどだ。ふと地面に「地籍多角」と書かれた境界標がある。新ハイの言う境界標とはこれのことだろう。先ほどの急坂の尾根のものとは明らかに異なる。南側が落葉樹の林となり、これから向かう送電鉄塔が見えてきた。北へ向かう小ピークに数本の枝が置かれた所から送電鉄塔へ向けて下り始める。ややきつい急坂を下り終えると植林の中の緩やかな尾根となる。新ハイには送電鉄塔から展望が得られるとあったが、実際には枝越しに日和田山方面が見える程度であった。二級基準点のある300のピークを過ぎると再び急坂の下りとなる。落葉で滑ってコケたが怪我はなかった。
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(目印となる境界標)
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(ランドマークとなる鉄塔)
急坂を下った後は植林の中を緩やかにアップダウンするだけの道が続く。やや単調に感じてきた頃、道が二手に分かれる。ここが新ハイに書いてある粕坂だ。ここからの道はエアリアにも載っている。新ハイにもあるように「狩猟禁止区域」云々の看板が目印になる。北に延びる道を進むと工事の音がしてきた。この付近を武甲工業のベルトコンベアーが通っているのでその音だろう。分岐にはチャンスンを模った道標が置かれ、「富士山・白銀平」と書かれたほうへ向かう。この辺りは殆どアップダウンがない。富士山への分岐にもチャンスンを模った道標がある。先ずは富士山に登ることにする。新ハイにもある南参道は土留めの木段のある急坂だ。ただそれほど荒廃しているという感じではない。新ハイの記事はやや大袈裟なように思う。木段を登りきると道が二手に分かれる。右が山頂だ。
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(粕坂)
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(この辺りから道標が目立つ)
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(富士山へ)
富士山(ふじやま 220.3)の山頂は社のある小平地となっている。樹木に囲まれた所で冬枯れの時期以外はもっと暗い雰囲気なのではないだろうか。樹幹越しに毛呂山町の市街地や筑波山などが見えるが、それほど展望に優れているという訳ではない。肝心の富士山も樹木に阻まれて見る事はできない。自分一人以外誰も登ってくる者はいないので、ゆっくりとティータイムをとる。
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(富士山頂上の様子)
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(富士山からの眺め)
下りには新ハイに書かれた東参道を採る。傾斜はいくらか緩やかだがそれでも落葉が滑りやすい。少し下ると鶴ヶ島ゴルフ場越しに日和田山と高指山の展望が得られる。遠くに大山などの丹沢の山々が見えるが富士山を見る事はここでもできない。
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(真ん中は日和田山)
道がカーヴする辺りに御師(みす)岩と呼ばれる大きな岩がある。傍らの案内板によると富士講の行者たちが麓の美音の滝で身を清め、この岩に登ってみそぎを行った後山頂の浅間神社で五穀豊穣を祈祷したという。カーヴを曲がると間も無く鳥居が見えてきて林道に下り立つ。左に下れば北平沢地区に出るが今日は右に登って白銀平を目指す。舗装された林道は車一台分くらいの広さがある。不法投棄が多いのか無粋なフェンスで覆っているのが残念だ。舗装路は二手に分かれて南に延びている。南に進むと白銀観音と書かれた立派な仏像がある。更に進むと舗装が終わり白銀平手前の広場に出る。トイレと東屋があり、転回ができるような駐車スペースもある。肝心の白銀平はどこなのだろう。
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(様々な信仰が窺える)
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(御師岩)
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(白銀観音)
少しウロウロした後、東屋の先から延びる道を見つける。進むと白亜の展望台が建っている。展望台の脇には標柱が立ち、ここの標高が195mであると示している。展望台前の看板には「この付近は大変暗いので危険です。犯罪に巻き込まれないためにも夜間のご利用はご遠慮ください」とある。車で上がれることもあって、一般の人が夜間でも登ってきてしまうのだろう。確かに夜景を見るには良いところだが、安全を考えれば日和田山からの夜景でも十分なのかもしれない。
展望台に上がると360度の展望が広がる。北には先ほど登った富士山が見える。近い所から見ているせいか富士山という感じはしない。西側は物見山から鉄塔の建つ高指山、大きく鞍部を下って日和田山が見える。日和田山の向こうには大山の三角形が顕著だ。
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(白銀平の展望台)
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(西側の眺め)
東は日光より更に東側の山が見えているようだ。呼称できるほどの顕著なピークは見当たらない。日高の市街地の向こうには筑波山がよく見える。工場の白い煙がたなびく向こうにはさいたま新都心のビル群が見える。更に右に見ていけば新宿の副都心だ。展望が良く気持ちの良い所なのだが、煙草の吸殻などのゴミが目立つ。一般の観光客にももう少し綺麗に使ってほしいものだ。
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(東側の眺め)
下山は往路を戻り、先ほどの分岐から登山道に入る。粕坂を緩やかに下ると鶴ヶ島ゴルフ場の裏手に出る。ここからは長い車道歩きだ。流石に年始ということもあり、ゴルフ場を利用する人はなく、車の心配なく歩くことが出来る。高麗神社前の車道に出ると車の行列が出来ている。何事かと見ていると、高麗神社の駐車場へと入ろうとする車列がここまで延びてきているのだ。高麗神社から帰ってくる車にぶつかりそうになりながらも高麗神社に入る。ここも人が多い。出世神社ということなので開運のお守りだけ購入して、お参りは後日訪れることにする。
高麗神社から高麗駅まではエアリアで70分。車道歩きだけなのだが距離がある。駐車場待ちの排気ガスに塗れながらも日和田山の登山口を過ぎると巾着田も見えてくる。11時前に高麗駅に着くとまだ日は高い。新しい一年がこれから始まるのだ。
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(たわわに実った柑橘類)
地形図「飯能」
エアリア「奥武蔵 秩父」 新ハイキング638号
日和田山から物見山までは一般ルートで歩きやすく家族向けのコース。物見山から富士山までは一応バリエーションルートで、道標の類は粕坂を過ぎるまで全く無い。但し踏み跡はしっかりしている。地図読みの能力は必須。中級者向け。富士山・白銀平周辺は山としては軽い。運動靴でもO.K.。
上記までが当時残していた記録で、現在はエアリアに物見山から粕坂までのコースが載っています。道標等の状況は不明ですが、物見山から粕坂の間については地形図・コンパスがあったほうが良いでしょう。
前回の記事で日和田山での初日の出についてのコメントを頂きました。奥武蔵については実際に訪れさえすれば済む話なので、基本的に過去の記事については載せない方針を採っています。しかし年末ということであまり時間が取れないため、当時書いた記録を載せることにしました。当時のものをそのまま載せているため、現在とは少々様子が異なっているかもしれないことをご了承ください。
以前ネットで奥武蔵の山を検索していたとき、偶然日和田山で初日の出を見たという記事に出くわした。これまで正月は家でのんびりするのが常であったが、日和田山なら何度か登っていて、しかも軽い山なので初日の出を見に行くのもよいかもしれないと考えた。
大晦日も夜更かししあまり眠れていないものの、4時起きで出発する。所沢で飯能行きに乗り換えると登山姿の乗客が目立つ。まだ辺りは暗闇に包まれた高麗駅に着くと意外にも沢山の人が降りる。皆日和田山で初日の出を迎えようとする人たちのようだ。駅前で準備を整え登山口を目指す。鹿台橋を渡り登山口に近づくと駐車場からも多くの人が登り始めている。これほど人の多いイベントだったのか…。ヘッドランプを付け歩き始めると周囲の人間が軽装であることに気づく。
初日の出を見ようとする人の大半は普段山登りをしないような人たちなのだ。人の流れに従って女坂を進むと傾斜が急な所で渋滞が出来る。日の出までは時間がたっぷりあるのでのんびりと進む。駅を出て30分ほどで神社前の岩場に到着。既に50人位の集団でごった返している。丸太のベンチにスペースを確保して日の出を待つ。まだ40分ほど時間がある。スカイラインの出来た東の空は少し雲が掛かっている。大山の三角形のシルエットが顕著だ。空が白み始めると富士山の真っ白な頭が大岳山の左に現れる。日の出時間を過ぎるがまだ太陽は見えない。7時を過ぎて漸く雲から太陽が姿を現した。正直それほど感動はない。あまりにも人が多過ぎるのだ。早くも下山を始める人もいるが一先ず山頂へ向かう。
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(神社前の岩場から大山方面を望む)
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(富士山)
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(右端に大岳山)
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(人の多い岩場)
神社の裏手から少し急な岩尾根を登ると富士山方面が開けた見晴しに出る。神社前の岩場よりも富士山や大岳山の展望が良い。すっかり葉を落とした雑木林に囲まれた日和田山(305.1)山頂は東側の眺めに優れる。煙を噴き上げる工場の向こうには筑波山の双耳峰がよく見える。山頂も人が多く、のんびりできる雰囲気ではない。人が少なそうな物見山へ向かうことにする。
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(日和田山直下)
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(山頂から筑波山 手前は太平洋セメント工場)
急な岩尾根を下ると「石庭・富士見の丘・日向」方面へ分岐に出る。いつかこの道も下ってみたいものだ。物見山方面へは植林の道となる。鞍部から高指山へ登り返すと軽装の若者たちが下りてきた。山頂で日の出を迎えた人たちなのであろうか。アンテナ施設のある高指山は無視して駒高へ車道を下りていく。
車道の延びる駒高の集落は南向きで日当たりが良い。民家の庭には数本の蝋梅が植えられ、黄色い蝋細工のような花を沢山付けていた。その先には東屋・売店・トイレと設備が揃い休憩には最適だ。中高年のご夫婦が休憩する東屋で少し休憩を取る。東屋からは富士の白い頭が見える。二段構えで凸凹とした山は大岳山。その脇にすっきりとした三角形の姿を見せるのが御前山。朝作ってきたお茶を少し飲み物見山へ向けて歩き出す。
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(駒高からの眺め)
駒高から物見山へは檜の植林帯を緩やかに登っていく。以前雨上がり後にここを下りに採った際、随分滑りやすかった記憶がある。所々岩が露出しているので注意は必要だろう。道標の立つ巻き道を分けると物見山の見晴に出る。30代位の男性が居たが私が来ると下りていった。防火帯の見晴も大分木が大きくなって高指山の鉄塔が見える程度である。
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(物見山の見晴台)
今日はこの後市境尾根を下って日高富士山と白銀平まで行く予定である。見晴しから東の樹林帯に入ると間も無く三角点峰(375.4)に到着。ここが地形図上の物見山だが見晴のほうが若干高いような気もするので、やはり見晴を山頂とすべきかもしれない。踏み跡のある急坂を下ると林道開削によって岩が剥き出しになった見晴に出る。こちらのほうが物見山の見晴よりも展望が良いかもしれない。見晴からは林道へ二手に下りられるがどちらでもそれほど変わりは無い。
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(物見山三角点)
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(林道からの眺め)
さて今日の核心部はこれからである。道標のない取り付きを探さなくてはならない。カーヴの先端には滑り止めの砂が置いてあり、そこから踏み跡が延びている。新ハイキングの記事には境界標が埋まっているとのことなのでそれを探して踏み跡を進み始める。
15mほど進むと小さな境界標が現れた。おそらくこれのことだろう。そのまま進むと傾斜のきつい下り坂となる。踏み跡らしきものは続いているが殆ど崖だ。木に摑まりながら下っていくと沢の流れる音がする。すると眼下に沢が見えてきた。明らかにおかしい。道は尾根を行くはずだ。意を決して道を戻る。急坂をヘトヘトに為りながら登りきり再び林道に出る。地形図を見ながら取り付きを探し回る。先ほどの踏み跡がやはり正しいのかもしれないと尾根を進みながらキョロキョロと見回していると、東に一本の尾根が枝越しに見える。この尾根がカーヴの先端から延びている尾根だとすれば、あの尾根が市境尾根のはずだ。林道に戻り車道を少し登るとカーヴミラーのある辺りにしっかりとした踏み跡がある。ここが市境尾根の取り付きで間違いないだろう。
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(ここを下るのは間違い)
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(ここを入る)
踏み跡を進むとすぐに小ピークの北を巻くように道が下っていく。若干の不安を持ちつつも進むと小ピークからの道に合流し、気持ちの良い陽だまりの尾根道となる。この辺り北は落葉樹、南は植林の森となっている。道は広くエアリアに載っていてもおかしくないほどだ。ふと地面に「地籍多角」と書かれた境界標がある。新ハイの言う境界標とはこれのことだろう。先ほどの急坂の尾根のものとは明らかに異なる。南側が落葉樹の林となり、これから向かう送電鉄塔が見えてきた。北へ向かう小ピークに数本の枝が置かれた所から送電鉄塔へ向けて下り始める。ややきつい急坂を下り終えると植林の中の緩やかな尾根となる。新ハイには送電鉄塔から展望が得られるとあったが、実際には枝越しに日和田山方面が見える程度であった。二級基準点のある300のピークを過ぎると再び急坂の下りとなる。落葉で滑ってコケたが怪我はなかった。
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(目印となる境界標)
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(ランドマークとなる鉄塔)
急坂を下った後は植林の中を緩やかにアップダウンするだけの道が続く。やや単調に感じてきた頃、道が二手に分かれる。ここが新ハイに書いてある粕坂だ。ここからの道はエアリアにも載っている。新ハイにもあるように「狩猟禁止区域」云々の看板が目印になる。北に延びる道を進むと工事の音がしてきた。この付近を武甲工業のベルトコンベアーが通っているのでその音だろう。分岐にはチャンスンを模った道標が置かれ、「富士山・白銀平」と書かれたほうへ向かう。この辺りは殆どアップダウンがない。富士山への分岐にもチャンスンを模った道標がある。先ずは富士山に登ることにする。新ハイにもある南参道は土留めの木段のある急坂だ。ただそれほど荒廃しているという感じではない。新ハイの記事はやや大袈裟なように思う。木段を登りきると道が二手に分かれる。右が山頂だ。
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(粕坂)
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(この辺りから道標が目立つ)
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(富士山へ)
富士山(ふじやま 220.3)の山頂は社のある小平地となっている。樹木に囲まれた所で冬枯れの時期以外はもっと暗い雰囲気なのではないだろうか。樹幹越しに毛呂山町の市街地や筑波山などが見えるが、それほど展望に優れているという訳ではない。肝心の富士山も樹木に阻まれて見る事はできない。自分一人以外誰も登ってくる者はいないので、ゆっくりとティータイムをとる。
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(富士山頂上の様子)
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(富士山からの眺め)
下りには新ハイに書かれた東参道を採る。傾斜はいくらか緩やかだがそれでも落葉が滑りやすい。少し下ると鶴ヶ島ゴルフ場越しに日和田山と高指山の展望が得られる。遠くに大山などの丹沢の山々が見えるが富士山を見る事はここでもできない。
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(真ん中は日和田山)
道がカーヴする辺りに御師(みす)岩と呼ばれる大きな岩がある。傍らの案内板によると富士講の行者たちが麓の美音の滝で身を清め、この岩に登ってみそぎを行った後山頂の浅間神社で五穀豊穣を祈祷したという。カーヴを曲がると間も無く鳥居が見えてきて林道に下り立つ。左に下れば北平沢地区に出るが今日は右に登って白銀平を目指す。舗装された林道は車一台分くらいの広さがある。不法投棄が多いのか無粋なフェンスで覆っているのが残念だ。舗装路は二手に分かれて南に延びている。南に進むと白銀観音と書かれた立派な仏像がある。更に進むと舗装が終わり白銀平手前の広場に出る。トイレと東屋があり、転回ができるような駐車スペースもある。肝心の白銀平はどこなのだろう。
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(様々な信仰が窺える)
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(御師岩)
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(白銀観音)
少しウロウロした後、東屋の先から延びる道を見つける。進むと白亜の展望台が建っている。展望台の脇には標柱が立ち、ここの標高が195mであると示している。展望台前の看板には「この付近は大変暗いので危険です。犯罪に巻き込まれないためにも夜間のご利用はご遠慮ください」とある。車で上がれることもあって、一般の人が夜間でも登ってきてしまうのだろう。確かに夜景を見るには良いところだが、安全を考えれば日和田山からの夜景でも十分なのかもしれない。
展望台に上がると360度の展望が広がる。北には先ほど登った富士山が見える。近い所から見ているせいか富士山という感じはしない。西側は物見山から鉄塔の建つ高指山、大きく鞍部を下って日和田山が見える。日和田山の向こうには大山の三角形が顕著だ。
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(白銀平の展望台)
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(西側の眺め)
東は日光より更に東側の山が見えているようだ。呼称できるほどの顕著なピークは見当たらない。日高の市街地の向こうには筑波山がよく見える。工場の白い煙がたなびく向こうにはさいたま新都心のビル群が見える。更に右に見ていけば新宿の副都心だ。展望が良く気持ちの良い所なのだが、煙草の吸殻などのゴミが目立つ。一般の観光客にももう少し綺麗に使ってほしいものだ。
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(東側の眺め)
下山は往路を戻り、先ほどの分岐から登山道に入る。粕坂を緩やかに下ると鶴ヶ島ゴルフ場の裏手に出る。ここからは長い車道歩きだ。流石に年始ということもあり、ゴルフ場を利用する人はなく、車の心配なく歩くことが出来る。高麗神社前の車道に出ると車の行列が出来ている。何事かと見ていると、高麗神社の駐車場へと入ろうとする車列がここまで延びてきているのだ。高麗神社から帰ってくる車にぶつかりそうになりながらも高麗神社に入る。ここも人が多い。出世神社ということなので開運のお守りだけ購入して、お参りは後日訪れることにする。
高麗神社から高麗駅まではエアリアで70分。車道歩きだけなのだが距離がある。駐車場待ちの排気ガスに塗れながらも日和田山の登山口を過ぎると巾着田も見えてくる。11時前に高麗駅に着くとまだ日は高い。新しい一年がこれから始まるのだ。
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(たわわに実った柑橘類)
地形図「飯能」
エアリア「奥武蔵 秩父」 新ハイキング638号
日和田山から物見山までは一般ルートで歩きやすく家族向けのコース。物見山から富士山までは一応バリエーションルートで、道標の類は粕坂を過ぎるまで全く無い。但し踏み跡はしっかりしている。地図読みの能力は必須。中級者向け。富士山・白銀平周辺は山としては軽い。運動靴でもO.K.。
上記までが当時残していた記録で、現在はエアリアに物見山から粕坂までのコースが載っています。道標等の状況は不明ですが、物見山から粕坂の間については地形図・コンパスがあったほうが良いでしょう。
やはり、元旦の登山は避けると思います
でも、朝日は美しいですね♪
早く見に行きたいです
縦走するには地図をちゃんと見れないとですね(^_^;)
ブログを見ながら地図を見てルートをたどるといいと夫に教えてもらったので、地図の勉強してみます。
とても参考になり、予定もたてやすいので助かります
ボクの下手くそな写真では美しさは伝わりにくいかと思います。是非現地でご覧になってください。
>ブログを見ながら地図を見てルートをたどる
本当はルート図を掲げられればよいのですが、それには国土地理院への申請が必要なので面倒なんですよね。一応地理院地図にリンクしているので、ご面倒なようでもそこから記事の内容を辿っていただければと思います。
>地図の勉強してみます
地形図が読めるようになるとエアリア以外の山も歩けて便利ですよね。ボクは「地図の読み方」(平塚晶人著)を購入して勉強しました。