野老の里

奥武蔵をメインに日帰りの山歩きを中心としたブログです

奥武蔵へようこそ 平成27年1月3日 館川ダム周辺を歩く

2015年01月05日 | 奥武蔵へようこそ
(七重峠からスカイツリーと都心ビル群)

昨年最後の山歩きで、ときがわ町の明覚駅から小川町駅まで尾根伝い(愛宕山~堂山~雷電山~行風山~御岳山)に歩いた。今回はその尾根の一本西にある尾根の末端から歩き始めて金岳まで行くことにした。金岳から先は尾根伝いに七重峠休憩所まで行き、そこから林道を通って七重峠、さらに笠山・タカハタと越えていく計画と立てた。但しかなり距離があるので、館川ダムや栗山集落へ下る道をエスケープとして設定することにした。

スタートは小川町駅から。白石車庫行きのバスに乗り、パトリアおがわへ向かう。パトリアおがわは総合福祉センターとして建設されたもので、入浴施設や食堂を備えた観光施設としての機能も備えている。やまと天目山温泉のような施設といってもよいかもしれない。こちらは温泉では無いが、建物は立派だ。パトリアおがわからバス通りを少し先へ進み、槻川を渡る。正面に見える雑木林がこれから取り付く尾根なのだが、さてどこから登ったものか。「画廊天地人」のyassさん、「山と旅への招待」の馬場直之さんともにこの尾根を下りに採っているので、どこから取り付いているのかははっきりしない。車道を右に行くと林道のような道が山側へ向かって延びている。

(パトリアおがわの駐車場から堂平山・笹山・笠山)


(槻川を渡る 左の建物はパトリアおがわ)


(右の道を行く)

林道のような道は開けた農地を登っていくので、林道というよりは農道のような役割を果たしているのだろう。途中尾根へ向かって延びる道があったが、ひとまずこの農道のような道を進む。すると道は車道へと下っていく。ということは先ほどの分岐を進めばいいようだ。物々しいフェンス脇を進み、林に入ると墓地に出る。周辺を探索するが、尾根に上がる道は無い。ううむ、仕方がない。墓地の裏手のやや急な斜面を上がっていく(※)。ちょっと藪っぽい所もあるが、冬枯れの時期なのでそれほど引っ掻かれることはない。傾斜が緩んでフラットになると尾根の末端にあるピークに出る。テープ類と境界標以外何もない。尾根に上がった途端西風に晒され、心臓がギュっと痛むほど寒い。以後金岳を下るまでこの西風に苦しめられることになる。

(フェンス脇を進む)


(墓地裏の斜面を登る)


(尾根末端のピーク)

コンパスで方向を確かめ縦走に取り掛かる。踏み跡は無いが藪が煩くないので、歩きやすいほうだと云える。最初は広いコルへの下りなので地形としてはわかりやすい。次の小ピークへは薄い踏み跡らしきものがある。雑木林の割に下草が煩くないことから定期的に山仕事に入る人がいるのだろう。小ピークを越えると急な登りとなる。ここは明瞭な踏み跡が付いているが、上部で倒木と岩尾根に行く手を阻まれる。落ち葉で踏み跡が隠されているが、西側から巻いて行ける。この岩尾根さえ越えればあとは難なく古寺山(282)に着く。三角点が埋設された広い山頂は木に覆われ見晴らしは無い。三角点近くの立木には古寺山と彫られている。馬場直之さんの記事によるとここは雷電山とされているが、地元では古寺山と呼ばれているのだろうか。

(広い鞍部への下り)


(小ピークへ向かって 踏み跡は薄いが歩きやすい)


(岩尾根 右から巻く)


(古寺山頂上)


(木に彫りこんである 山主さんが付けたのだろうか?)

古寺山の南西側はやや急な斜面となっている。最初はここを下りて尾根に乗ろうとしたが下り過ぎて上手くいかない。そこで真南に延びる尾根少し下る。こちらはいくらか踏み跡が濃い。ところが踏み跡が薄くなった辺りで尾根を下り過ぎたことに気付く。登り返すと分岐の所にピンクテープが付けられていた。どうやら先ほどから迷いやすそうな所にはテープが付けられているようだ。フラットなコルから登り返すと三連のピークを迎える。最初のピークには東側に巻き道が付けられていて登る必要が無い。適当な所で尾根に上がり、二つ目のピークを越えると大木が数本生えた中に小さなお堂が建てられたピークに着く。ここが士峰山(289.8)だ。地理院地図には三角点のマークがあるが、手元の地形図には何もマークがないので、ここが士峰山とは気付かなかった。お堂の前には二つの石碑があり、片方に畠山重忠の墓である旨が記されている。瓦葺の立派なお堂の中には墓石と思しき五輪塔が収められていた。

(古寺山から少し下った所の分岐)


(三連ピークの巻き道)


(士峰山頂上)






(畠山重忠公の墓)

コンパスで方向を見定めて広い尾根へ下る。登り返した所が315のピークだが、尾根の一部と云っていい。平らな尾根を進むと開けた送電鉄塔下に出る。この尾根の中では唯一展望の開けた場所である。西側は堂平山・笹山・笠山の連なりが見渡せ、笠山の右側には栗山集落も見える。東側は雷電山から都幾山辺りまでが見渡せるようだ。東側の斜面は日当たりが良く、風も遮られるのでここで少し休憩を取っていく。

(送電鉄塔西上武幹線)


(鉄塔下から 左から堂平山・笹山・笠山)


(笠山と栗山集落)


(左端は雷電山 尾根の向こうに顔を覗かせるのが弓立山 右端は都幾山だろうか)

鉄塔下は薄の藪が凄まじいので、東から巻いていく。植林の中に入ると西上武幹線と書かれた管理用ポストがある。鉄塔管理道を利用して尾根を下っていくが、次のポストを見送った辺りでまたも下り過ぎてしまう。尾根を戻るとやはり分岐にはテープがあり、割と見易い尾根が下っていた。鞍部へ下りるとここからは尾根上に比較的明瞭な踏み跡が現れる。338のピークまでは尾根も登っていくだけなので、ルートファインディングに頭を悩ます必要もない。登りが尽きたなと思う頃、338のピークに到達する。長く平らなピークで赤テープに標高も書かれているので、現在地の把握はしやすい。

(送電鉄塔一つ目のポスト)


(名はわからないが広葉樹)


(338のピーク)

ここから金岳へは標高差200mの長い登りが待つ。まずはピンクテープが点在する檜の林を下っていく。鞍部に下りると不自然なくらい明瞭な踏み跡が延びている。地籍調査などが入っているのかもしれない。尾根を上がっていくと328.4の三角点がある。ちなみにここも手持ちの地形図には載っていない。ここから先、地形図を見ると広く緩やかな尾根が続くように見えるのだが、実際は大岩に行く手を阻まれたり、わかりにくい岩の小ピークがあったりして気が抜けない。落ち葉が深く積もった急斜面に差し掛かれば、460の小ピーク、そして林道が近い。小ピークを越えて林道を見下ろす辺りにガードレールの切れ目があり、そこから林道に出られる。

(不自然なくらい明瞭な踏み跡)


(328.4の基準点)


(岩尾根 これも右から巻けたはず)


(岩の小ピーク これを越える必要は無く、右に見える尾根を行けばいい)


(雑木林の尾根)


(落ち葉の吹き溜まり)


(460の小ピークへ向かって)

向かいの尾根は林道に寸断され、傾斜の急な崖となっている。上がれそうな所を探っていると崩れた踏み跡と崖の上にピンクテープを発見する。踏み跡を踏んでみると意外と確りしていて、歩くのに支障はない。最初の取り付きさえ済んでしまえば、あとは比較的緩やかな登りが続く。ただ今日はとにかく風が冷たい。風に晒されすぎたのか、腿の筋肉が強張っている。腿の痛みに悩まされつつも広い金岳(539.4)の山頂に到着。檜の林に囲まれた山頂には三角点と古ぼけたプレートがあるだけで見晴らしは無い。

(ここを登る)

 
(金岳頂上)

風が強いので東側の斜面を少し下るが、どうやっても風から逃げることはできない。仕方がない。もう少し先へ進もう。山頂からは来し方以外に東と南へ踏み跡が延びている。東は都幾山へ至り、南は小川町とときがわ町との町境を下っていく。今回は南へ下る。この辺りも何らかの調査が入ったのか、ピンクテープが煩いほどに付けてある。踏み跡は明瞭なので登山者が付けて回っているとは考えづらい。延々と続く緩やかな道を進み、484のピークから西に下ると車道に出る。腿を痛めたのでこのまま館川ダムへ下ってもよかったのだが、せっかくなのでときがわトレッキングコースの入口まで車道を歩く。これで慈光寺や堂平山とも道がつながった。

(金岳から下ってきた最初の鞍部 ピンクテープが鬱陶しいくらいある)

車道に下り立った所まで戻る途中、町境の尾根に明瞭な踏み跡を見つける。ときがわトレッキングコースを歩いたときに実はここを歩きたいと思っていたのだ。ちょうどよい機会なので七重峠休憩所まで辿ってみよう。ここら辺も境界の調査が入ったのか、人為的に切り開かれた道ができていた。画廊天地人のyassさんが踏み入れた頃は藪だらけだったそうなので、歩く人が少ないと再び藪道となってしまうのだろう。地理院地図にも載らない広い林道を横切り、小ピークに上がる。ここは少々藪っぽい。ここから西へも踏み跡が延びる。ピンクテープも煩いほどだ。鞍部からは転げ落ちそうなほどの急な登り。岩が露出している所もあるので、流石に踏み跡も薄い。ここさえ登りきってしまえば緩やかな尾根が続くだけだ。古いマツダランプの看板のある辺りでときがわトレッキングコースに合流し、七重峠休憩所に着く。

(町境の尾根入口)


(ここもマーキングが多い)


(林道が尾根を横切る)


(最初の小ピーク ここを左に下る)


(笹山が見える)


(急坂を登り切った所)


(ときがわトレッキングコースの合流点)


(七重峠休憩所)

林道が越える七重峠休憩所は風が収斂する所で、落ち着いて休憩する気になれない。だが今日は朝早くから歩き始めたし、そろそろ昼食を取ったほうがいいだろう。5分ほどで調理パンを食べきり出発。林道を笠山峠方面に向かう。旧来695のピーク付近の峠は七重峠と呼ばれていたのだが、こちらに七重峠の名が使われた関係なのか、道標などには笠山峠と書かれていることが多い。アスファルトの林道歩きは味気無いことが多いのだが、この林道は笹山の三連の連なりが見えたり、北西方面に展望が開けたりと見所は多い。林道の補強工事が行われている現場を過ぎると七重峠の頂上を見上げる地点に着く。沢から外れた所に踏み跡があり、入ってみるとここも刈り払いが行われた形跡がある。標高差は100m以上あるが、道は九十九折なので思ったよりも速く上がれてしまう。峠の手前はやや荒れているものの、それほど苦も無く七重峠(あるいは笠山峠・篭山のタル)に辿り着く。

(林道から笹山を望む)


(奥のシルエットは筑波山)


(林道からの眺め)


(七重峠を見上げる)


(峠道の入口)


(峠道 概ね歩きやすい)

峠付近も刈り払いが行われ、定期的に整備されていることを窺わせる。峠の南西側には展望が広がり、雷電山・金岳・弓立山などが間近に見える。遠くには都心のビル群が見え、前回に続きスカイツリーも見ることが出来た。ここは日当たりが良い上に何故か風も弱いので、少し休憩を取っていく。う~ん、12時過ぎたか。もう笠山・タカハタはカットして栗山集落へ下ってしまおう。地形図を見ると北東の沢沿いを下る破線路を行けば、笠山をカットして栗山集落へ下れそうだ。

(七重峠)


(峠からの眺め 左から雷電山・金岳・弓立山)

林道を少し東へ下ると笠山を西から巻く林道が分岐する。この林道を入るとすぐに笹山への分岐がある。笹山の分岐を見送ると今度は林道のような広い道が東側斜面に付けられている。これを下ると沢沿いの細道に合流する。これが破線路の道だ。この辺りもやはり調査に入ったのか、要所にピンクテープが点在している。沢沿いの道なので若干荒れている所はあるが、踏み跡は思ったよりも明瞭だ。何度か渡渉する所があるが、冬場なら水嵩が低いので殆ど靴を濡らすことなく歩ける。順調に高度と距離を稼ぎ、左岸から沢を大きく離れると笠山中腹をトラバースする林道になる。ここまで来れば危険な所はあまりない。

(北東に下る沢道の入口)


(沢道からの眺め)

 
(沢道の様子)


(渡渉の最中に撮影 当然ながら増水すると下ることができない)


(林道へと変わる)

林道をしばらく下ると笠山への分岐に出る。見たところ踏み跡明瞭で道標も備えてある。次はタカハタを越えて栗山集落から笠山へ登ってみるのも面白そうだ。さらに下っていくと前方に別荘のようなものが見えてきた。熊鈴を止めて近寄ると笠山神社の下社であった。下社から道が二手に分かれ、東に下ると鳥居前まで下りてくる。下社の前の道を進んだほうが、傾斜が緩くて楽だったような気もするが、まあ良いか。鳥居を潜って舗装された車道に下り立つ。

(林道の様子)

 
(笠山分岐)


(笠山神社下社)

舗装路を下って栗山集落の最初の民家がある辺りに公衆トイレがある。トイレの側には延命堂があり、中にはお地蔵様と金精様が祀られてあった。延命堂から緩やかに下ると今度は福島家のマキがある。樹高15m以上樹齢200年以上の大木で本来関東南部以西の暖かい地方に自生するらしい。350m以上の標高がありながら自生できるのは栗山集落が温暖な気候にあるからだという。確かに南側斜面の谷間に作られた集落は古寺山から金岳の間での寒さが嘘に感じるくらい暖かい。ミカン栽培で有名な風布と似たような地形なのだろう。

(栗山集落のトイレ 裏に延命堂がある)


(延命堂のお地蔵様と金精様)


(福島家のマキ)


(栗山集落は日当たりが良い)

福島家を過ぎると車道は二手に分かれる。右は赤木集落、左は萩平集落・タカハタ方面だ。だが分岐に立つ道標を見ると左の道にも切通しバス停の文字がある。ボクはこれをタカハタを越えるルートと勘違いしたのだが、実際は集落内を抜ける近道があったのだ。しかし手持ちの地形図にはそれらしき道は載っていなかったため、近道を無視してしまった。結局靴擦れを起こしながらも赤木集落まで下ってくる。ここまで来れば当然館川ダムへも寄って行く。

(分岐に立つ道標)


(赤木集落辺りを見下ろす)

館川沿いに登っていく車道はそれほど斜度が急ではない。赤木集落は画廊天地人のyassさんが書かれているように古い建物が多い。それでいて現在でも人の住んでいる気配がある。車道が二手に分かれる所が終点で公衆トイレが設けられている。館川ダムは重力式コンクリートダムであまり大きいものには感じない。ダムの上に出るには車道をさらに登っていく必要があるのだが、もうそこまで寄って行く元気は無い。

(赤木集落にある杉の大木)


(館川ダム)


(館川の流れ)


(赤木集落の建物)

往路を戻り、車道を切通しバス停まで歩く。エアリアだと40分くらい掛かるとされている。栗山の分岐を過ぎてから川を渡ると二十二夜塔がある。月待塔の一つで、この辺りでは婦人達が月の出を待ち、安産の祈願を行う風習があったという。ここを過ぎると次は笠山歩道の分岐だ。これは先ほど見送った萩平方面への分岐につながる山道のルートを指しているのだろう。館集落を過ぎ、落合集落に入った所で槻川に合流する。緩やかな槻川の流れを眺めながら進むとようやく切通しバス停に着く。側にヤマザキショップ、交差点に公衆トイレがあり、根古屋城址やタカハタへの登山拠点としても都合が良さそうだ。バスは10分ほど前に出てしまっており、次のバスまで50分近くある。ヤマザキショップで中華まん・缶コーヒーを買って待つが、栗山集落と違って風が強い。山の上の集落は良い所につくられているのだなと改めて感じさせられた山旅であった。

(二十二夜塔)


(笠山歩道の分岐)


(館集落)


(旧大河小学校腰越分校)


(館川と槻川の合流点)


(根古屋城址辺りだろうか)


(切通しバス停 ヤマザキショップが良い所にある)


DATA:
小川町駅(イーグルバス)パトリアおがわバス停7:22~8:17古寺山~8:54士峰山~9:43 338のピーク~10:34金岳~11:22七重峠休憩所11:29~11:57七重峠12:02~12:40笠山神社下社~12:48栗山集落公衆トイレ~12:56萩平分岐~13:20赤木集落~13:29館川ダム~13:49館集落~14:15切通しバス停(イーグルバス)小川町駅

地形図 安戸

トイレ パトリアおがわ(開館時のみ) 栗山集落 館川ダム下 切通しバス停

バス イーグルバス 白石車庫・皆谷行き:小川町駅~パトリアおがわ 210円 小川町駅行き:切通し~小川町駅 260円 

関連HP パトリアおがわ(http://www.town.ogawa.saitama.jp/info/patoria/index.html)

※ 今回はやむなく墓地裏から登りましたが、出来ればここからは登らない方がよいでしょう。
  画廊天地人のyassさんの記事を見ると末端のピークから進んだ鞍部の辺りから登り口があるようです。


パトリアおがわから士峰山までは藪が薄く踏み跡もあるものの、道標が無くテープ類も無いため、コンパス・地形図は必須。結構難しい。士峰山から金岳・七重峠休憩所までの間もコンパス・地形図必須。ただ士峰山までよりはわかりやすいと思います。なお馬場さんやyassさんのように金岳から古寺山へ向かう場合には難しさ五割増しと考えてください。七重峠の南東の峠道・北東の沢道はどちら側もピンクテープ有り。地形図があるとわかりやすいでしょう。

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