プロサックスプレイヤーとしての最初の現場、ショウボートは面白いシステムの店だ。
外観は名の通り船の丸窓が有り外輪船だ。
ドアーを開けると、いきなり銅鑼が鳴り響く、客の来店を店内に知らせる。
昔は船の出港の合図が銅鑼の音だった、マドロス、ドラ、古い流行歌の常套句だ。
客が三人だと三回叩く、来店人数だけ銅鑼を鳴らすのだ。
従業員の服装にも拘りがある。
まず客を迎えたり、従業員に指図をする、一般の店でチーフとかボーイ長に当たるのは、此処ではオフィサー.
白い海軍士官の服装に白いカバーのかかった制帽姿だ。
ウエイトレスはセ-ラー服(女学生ではなくここでは水兵)でマリンガール。
マリンちゃんと呼ばれ、背番号を付けていた。
ホステスの源氏名はサンフランシスコ、とか横須賀さんとか皆港の名ガついている。
が、なぜか鶯谷さんと山手線の駅名が源氏名の人もいた、港名が満杯だったのか?
さて、では経営者の社長はと言うと?
そうです厳めしい船長姿で、キャプテンと呼ばれる。
隣接する同系列の中華料理店の名は太鼓船。
社長は船が好きなんですね。
戦後の銀座で一世を風靡した「ショーボート」は昭和45年に閉館。
1970年5月30日閉鎖中に火災で消失。
今その場所には「リクルート」の立派なビルがその威容を誇っている。