※当ブログのシステム設定により、行途中でのスペースが意図したとおりに表示されないことがあります。英語の台詞や歌詞及び和訳ではおかしな表示が現れることになりますが、ご容赦ください。
(アニータ=クリスティーンは何かに気づき咄嗟にドン・ファン=怪人から離れる。しかし、ベンチに座ったままのドン・ファンに離れたところから演技を続ける。直前までの陶酔の演技とは違い何かを確認しようとするかのような表情になる。)
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ANITA:(アニータ)
You have brought me to that moment when words run dry,
あなたは私を言葉が乾く瞬間へと連れて来た
To that moment when speech disappears into silence, silence...
言葉が沈黙の中へと溶け込む瞬間へと
I have come here, hardly knowing the reason why...
私はほとんど理由も知らずここに来た...
In my mind, I've already imagined our bodies entwining,
心の中では私たちの体が絡み合うことを既に想像している
Defenceless and silent - and now l am here with you:
抗うことなく声も出さず —— そして今私はあなたといる
(アニータは徐々にベンチの中央に座るドン・ファンに近づきテーブルの端まで来る。)
No second thoughts, I've decided, decided...
考え直すこともなく、私は決めた...
Past the point of no return - no going back now:
戻れないポイントを越え —— 今や戻ることもなく
Our passion-play has now, at last, begun...
私たちの情熱の舞台が今ついに始まる...
※passion-play には受難劇という訳がある。受難劇とはイエス・キリストが十字架刑で殺され受難を受ける過程に関する劇をいう(ウィキペディア)。クリスティーンにとっては今危ない橋を渡っているのであり、怪人の望むとおり最後まで演技を続けると身の危険にさらされることを自覚しながら逆に怪人を翻弄し優位に立とうと試みているように解釈できる。
Past all thought of right or wrong - one final question:
良し悪しの考えを全て超えて —— 最後の問いかけ
(アニータはドン・ファンの背後に回り、ゆっくりと上がってきた彼の両手を後ろから掴み上の方へ引き上げる。そして彼の両腕を左右交互に伸ばしたり大きく広げたりする。)
How long should we two wait, before we're one...?
我々二人が一つになるまでどれだけ待てばいいのか
When will the blood begin to race, the sleeping bud burst into bloom?
いつ血潮がほとばしり、眠っていたつぼみが一気に花開くのか
When will the flames at last, consume us...?
最後に炎が我々を焼き尽くすのはいつなのか
(フードを被った人物の正体をはっきりと悟ったのか、アニータは突然ドン・ファンから再び離れる。ドン・ファン、アニータの右腕を掴む。逃げようとする者と逃すまいとする者が引き合う。そしてドン・ファン=怪人はアニータの両腕を掴むことに成功し、自分の部屋へ引きずり込もうとする。アニータ=クリスティーンは抵抗する。)
BOTH:(二人)
Past the point of no return, the final threshold –
戻れないポイント、最後の入り口を越え
The bridge is crossed, so stand and watch it burn
橋を渡り、それが焼け落ちるのを見る
(クリスティーン、ようやく振りほどき、フードを被ったままの怪人と向き合う。)
We've passed the point of no return...
戻れないポイントを越えることになる
(クリスティーンがフードを取ると案の定仮面を付けた怪人が現れる。下手側階段上部の暗がりにはラウルがおり、怪人を捕える機会をうかがっているように見える。クリスティーンは少しの間呵責の念に囚われたかのような表情を浮かべ、何をどうするか分からないでいるように立ち尽くす。すると怪人が自分の気持ちを言葉に出す。クリスティーンは戸惑いと悲しさの入り混じった表情をして彼の言葉を聞く。)
※クリスティーンはかつて地下の隠れ家で怪人が語っていた彼の悲しみを思い出したのである。自分に歌唱力をつけてくれた恩人でもある怪人に恐ろしさを覚えていたとしても、仮面を付けた顔を暴くことは裏切りのように感じたのである。
PHANTOM:(怪人)
Say you'll share with me one love, one lifetime... , 一つの愛、一つの人生を共にすると言ってくれ...
Lead me, save me from my solitude... 孤独から救い導いてくれ...
Say you want me with you, here beside you... 傍に私が必要だと言ってくれ...
(怪人は自分の手から指輪を外し・・・)
Anywhere you go let me go too – どこへ行こうと一緒に行かせてくれ
(と言ってクリスティーンの指にはめる。彼女は怪人のするままにさせる。)
Christine, that's all I ask of... クリスティーン、それが私の願う...
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(怪人が言い終わらないうちにクリスティーンは意を決したかのような表情で怪人の仮面を外す。怪人は大声を上げ、彼女の手首を掴み上手側階段へ向かう。)
※クリスティーンは怪人の言葉を聞き、彼の悲しみや心情を改めて理解したと思われる。彼女の心情の変化が恐ろしいという感情を少し残しつつも指輪を自分の指に受け取ることになった。そして、かつて仮面の下に見た恐ろしい顔を確認し、その恐ろしさを克服するために、あえて仮面を外したと解釈できる。
RAOUL:(ラウル)No! Don’t shoot! だめだ!撃つな!
(銃声が一発。ラウルが舞台中央に出て来る。怪人は階段下へと火の玉を投げつけクリスティーンと共に走り去る。)
No! What are you doing there? だめだ!何をしている!
(ラウルを追って他の者も出て来る。メグが奥の部屋へのカーテンを開けると、首をくくられた状態で宙づりにされたピアンジの死体が現れる。バレリーナたちが悲鳴をあげ、場が混乱し騒然とする。)
CHIEF:(隊長)
Give me this, monsieur. Get water, monsieur! Upstairs, monsieur! Come!
これをください。水を! 上です。来て!
※この台詞は隊長がラウルに言っている言葉だが、内容がよく分からない。しかし周囲の者も興奮している中での一部であることは分かる。
(舞台中央付近でジリー親子が抱き合っているのが一瞬画面に映る。)
RAOUL:(ラウル)
Monsieur Firmin, come! Open the doors, monsieur! フィルマン! ドアを開けろ!
GIRY:(マダム・ジリー、ラウルに)
Monsieur le Vicomte! Come with me! I know where they are!
子爵様!私と来てください!彼らがどこにいるか知っています。
RAOUL:(ラウル)Can I trust you? 信じていいのか?
GIRY:(マダム・ジリー)
You must. But remember: your hand at the level of your eyes!
ええ。手を目の高さに保つようにしてください。
RAOUL:(ラウル)Why...? なぜだ...?
GIRY:(マダム・ジリー)
The Punjab lasso, Monsieur. First Buquet. Now Piangi. 投げ縄です。最初はブケ。そしてピアンジ。
MEG:(メグ、両手でラウルの右手を目の高さに上げて)
Like this, Monsieur. Look, I'll go with you. こうやってください。一緒に行きます。
GIRY:(マダム・ジリー)
No Meg! No, you stay here! だめ、メグ!だめ!ここにいなさい!
(ラウルに向かって)
Come with me, Monsieur. Do as I say. But hurry, or we shall be too late...
私と一緒に来てください。私の言うとおりにして。急いで、遅くなってしまうかも...
(この間に他の人々は舞台からいなくなっている。マダム・ジリーとラウルが上手側階段を、メグが下手側階段を上がっていくところで照明が暗くなり第7場が終了。)