あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

混沌

2021-11-25 | 本(文庫本)
一條次郎さんの『レプリカたちの夜』と『動物たちのまーまー』を続けて読みました。
あの衝撃の出会いから意識的にちょっとだけ時間をおいて、一條さんのデビュー作と2作目を読んだ、というわけです。何せ最初に読んだ『ざんねんなスパイ』の混沌ぶりが凄まじかったので、一條作品を続けて読むのは私には無理だったのですが、読まずにはいられない衝動もまた凄まじかったのです。

【レプリカたちの夜】動物のレプリカ製造工場で働く往本は、工場内でシロクマを目撃。絶滅したはずのシロクマがいるはずはなく、にわかに本物とは考えられない。そのことを工場長に話すと「シロクマを殺せ」と命じられる。それから往本は現実とは思えない混沌とした世界に迷い込む。
【動物たちのまーまー】無限に大きくなることができるテノリネコ、町を徘徊するネコビト、貝殻プールにいるラッコ、盗んだトウモロコシをゆでる熊……。どこで何が起きているのかわからない短編が7作。どの作品にも変な動物や変わった人物が次々に登場し、なさそうで絶対にある世界を描く。


デビュー作の『レプリカたちの夜』は、「第2回新潮ミステリー大賞」受賞作です。伊坂幸太郎さんの推薦文に「ミステリーかどうか、そんなことはどうでもいいなあ、と感じるほど僕はこの作品を気に入っています」とあります。選考委員を騒然とさせた「これはミステリー作品なのか?」は、確かにそうだと思う。でも、面白いから大賞なんです。
『動物たちのまーまー』も、頭の中に「?」がいっぱい出てきますが、面白いから止まることなく読めてしまう。「そんな猫、いないよ」とかいうような意見は関係ないの。この混沌とした世界観を楽しむのが一條作品の楽しみ方として最適なんだと思うのです。

しかしやはり3作目の『ざんねんなスパイ』がいちばん面白かったかも。確かに「なんじゃこりゃ~」にはなったけど、小説としての面白さはいちばん感じられました。ということで、この先、お馴染みさんな作家さんになるんだろうな~。
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