あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

魔王は誰?

2009-09-15 | 本(文庫本)
伊坂強化月間の5冊目。『魔王』(以前、同名のドラマをやっていたようですが、それとはまったく関係のない作品ですので…)を読みました。表題作の『魔王』と、その後に続く物語『呼吸』の2作品が収められています。

早くに両親を亡くし、安藤兄弟は2人で生きてきた。ある日、兄は自分が思い浮かべた言葉を他人に語らせることができる能力があることに気づく。その特別な能力を持って、兄は国民からカリスマ的な注目を集める政治家・犬養に近づくが…。(『魔王』)
それから5年後。弟は兄とは違う能力が自分の中にあることを知る。弟もその能力を使い、妻にも内緒である計画を立て、実行する。(『呼吸』)

文庫本の解説の中で斎藤美奈子さんは「文庫ではじめて『魔王』を読んだあなたは、「えーっと、えーっと、この本が出たのはいつだっけ?」と、しばし、まごついたのではないだろうか」と書いています。いや、ほんと、実にまごつきました。
私がこの本を読みはじめたのは、さきの衆議院選挙が終わったばかりの頃。政権交代が現実のものになったこのタイミングで、『魔王』と『呼吸』を読んだことに少々驚き、前述したようにまごつきました。
物語は「世論調査、与党支持率低下!」「失業率史上最悪を更新」という記事が新聞や週刊誌に載り、国民は「強いリーダー」を求めはじめる、という政治状況にありました。何かどこかで聞いたこと、と言うか、実際に私たちが体験してきたことですよね。
しかし『魔王』の初出は2004年12月。前回の衆議院選挙9か月前です。さらに『呼吸』の初出は2005年7月なので、これまた前回の衆議院選挙よりも前。実際に伊坂さんが執筆を始めたのはそれよりもさらに前であるということを考えると、
「ちょっとちょっとぉ~、実は『魔王』はあなただったのでは?」
と言いたくなってしまうほど、伊坂さんはお見通しだったようです。
そんなことを思いながら、今、このタイミングで『魔王』とその5年後の物語である『呼吸』を読むと、より一層面白く感じられるかもしれません。そういう意味でもオススメです。

さてこれにて「伊坂強化月間」は終了といたします。この先は違う作家さんの作品で「読書の秋」を楽しもうと思います。
あ、そう言えば。『陽気なギャングが地球を回す』の続編『陽気なギャングの日常と襲撃』の文庫本が出たんですよね。カッコいいギャングの皆さんとは再会したいので、これはいっておこう!
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2 コメント

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怒涛の… (ハナキャップ)
2009-09-16 16:05:30
伊坂さん攻撃(?)だわ…。
いったいぜんたい、どれから読むがいいかわからなくなりつつ、
あれもこれも読みたいぞん♪
しかし私、この「魔王」はあのドラマの原作かと思ってました。
勘違いが解けただけでもよかったー。
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ハナキャップさん (とみ)
2009-09-17 08:59:04
ひとつくらい「ハズレ」があるだろう、と思っていましたが、すべてが「大当たり」。
ハズレなんてひとつもなかった伊坂作品。畏るべしです
浅田作品と同様に、伊坂作品も別の本棚に収納するようになるかも~。
そんな気がする今日この頃…(いや、そうなるな、確実に)。
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