
荻原浩さんの『なかよし小鳩組』を読みました。
今年の読書2冊目のあの作品みたいなことが、現実に起きていることにおののきながら、はやり「楽しくなければ読書じゃない!」ってことで、ここは荻原さんにお願いしちゃおうと。そうなると去年読んだ『オロロ畑で捕まえて』の続編でニヤニヤしちゃおうと、この作品にしました。
『なかよし小鳩組』ってタイトルからだと、愉快で楽しい幼稚園の話のようですが、表紙カバーのイラストが怪しいので『組』とはそっちの『組』の方のことだと気付きますね。
倒産寸前の代理店・ユニバーサル広告社に、大きな仕事の話が舞いこんだ。企業のCI、つまり「企業イメージ統合戦略」の仕事なのだが、ふたを開けてみればそれはヤ○ザ・小鳩組のイメージアップ戦略、という「絶対に順調に仕事が進むわけがない!」という代物だった。アル中気味のバツイチコピーライター・杉山も、しぶしぶ仕事に取り掛かるが、プライベートでは離婚して元妻にひきとられている愛娘・早苗が転がり込んできて……。
『オロロ畑でつかまえて』でもいい味出していたユニバーサル広告社の面々も相変わらずで、杉山をはじめ、社長の石井、アートディレクターの村崎、アルバイトの猪熊嬢にチャラっぽいデザイナーやその仲間などに加え、今回はその筋の個性溢れる方たちがたっぷりと登場してくる。面白くならないわけがないのです。
そしてこの作品でいちばんのいい味出してるキャラクターは、杉山の娘、早苗ちゃん。
「娘」ではあるけれど、サッカーが得意で、大きくなったら浦和レッズに入って、ワールドカップへ出てブラジルに勝つことを真剣に夢見ている小2。お昼の奥様劇場「愛のシュラ」を欠かさず見ていて、ヒロインのキョウコの台詞を良いタイミングで口にしては杉山をビビらせていて、「幸せは比べるものじゃないわ。不幸は比べることから始まるのよ」とか、すらっと言ったりする……。彼女の存在がこの作品を数倍面白いものにしているといっても間違いないでしょう。
杉山のダメおやじっぷりが、ひととき早苗ちゃんと二人で暮らすことで、父親としての自立ができ、どんな状況でもしっかり仕事をする人としての成長過程を感じることができます。そして最後の早苗ちゃんの杉山へのエールが、泣かせるんです。
いつものことながら、いっぱい笑えて心にじわっと沁みる、良い荻原作品でした。
今年の読書2冊目のあの作品みたいなことが、現実に起きていることにおののきながら、はやり「楽しくなければ読書じゃない!」ってことで、ここは荻原さんにお願いしちゃおうと。そうなると去年読んだ『オロロ畑で捕まえて』の続編でニヤニヤしちゃおうと、この作品にしました。
『なかよし小鳩組』ってタイトルからだと、愉快で楽しい幼稚園の話のようですが、表紙カバーのイラストが怪しいので『組』とはそっちの『組』の方のことだと気付きますね。
倒産寸前の代理店・ユニバーサル広告社に、大きな仕事の話が舞いこんだ。企業のCI、つまり「企業イメージ統合戦略」の仕事なのだが、ふたを開けてみればそれはヤ○ザ・小鳩組のイメージアップ戦略、という「絶対に順調に仕事が進むわけがない!」という代物だった。アル中気味のバツイチコピーライター・杉山も、しぶしぶ仕事に取り掛かるが、プライベートでは離婚して元妻にひきとられている愛娘・早苗が転がり込んできて……。
『オロロ畑でつかまえて』でもいい味出していたユニバーサル広告社の面々も相変わらずで、杉山をはじめ、社長の石井、アートディレクターの村崎、アルバイトの猪熊嬢にチャラっぽいデザイナーやその仲間などに加え、今回はその筋の個性溢れる方たちがたっぷりと登場してくる。面白くならないわけがないのです。
そしてこの作品でいちばんのいい味出してるキャラクターは、杉山の娘、早苗ちゃん。
「娘」ではあるけれど、サッカーが得意で、大きくなったら浦和レッズに入って、ワールドカップへ出てブラジルに勝つことを真剣に夢見ている小2。お昼の奥様劇場「愛のシュラ」を欠かさず見ていて、ヒロインのキョウコの台詞を良いタイミングで口にしては杉山をビビらせていて、「幸せは比べるものじゃないわ。不幸は比べることから始まるのよ」とか、すらっと言ったりする……。彼女の存在がこの作品を数倍面白いものにしているといっても間違いないでしょう。
杉山のダメおやじっぷりが、ひととき早苗ちゃんと二人で暮らすことで、父親としての自立ができ、どんな状況でもしっかり仕事をする人としての成長過程を感じることができます。そして最後の早苗ちゃんの杉山へのエールが、泣かせるんです。
いつものことながら、いっぱい笑えて心にじわっと沁みる、良い荻原作品でした。