伊坂強化月間の3冊目。『グラスホッパー』を読みました。
実はこの文庫本、何軒か立ち寄った古本屋さんで、2冊置いているお店が3軒ありました。古本屋さんで伊坂作品を見かけることがほとんどないのに、なぜかこの『グラスホッパー』との出会い率は高かったのです。「不思議だな~」と思いつつ、1冊お買い上げ。
読み始めてすぐに、この作品がこれまでに読んだ伊坂作品とは違うものだと気付きます。ミステリーであるけれどハードボイルド色が濃く、ちょっと油断していると視界を外れたところからナイフがとんできそうな感じです。
例えば登場人物。これまでに読んだ伊坂作品に出てきたのは、犯罪者であっても「悪」の印象がそれほど強烈ではなく、決して犯罪を肯定しているわけではないけれど「本物の悪」は存在していない世界だったように思います。
ところがこの作品に出てくる犯罪者の皆さんは、マジで犯罪者でした。
そして犯罪を描く手法も新しく実に生々しい。今、まさに自分の目の前で殺人が行われているような描写を、殺人現場を撮ったVTRをスロー再生で見せられているような感覚を、息をひそめて読んでいました。
おそらく、風呂本屋さんで複数この作品があるのを見かけたのは、ここに原因があったのではないでしょうか。伊坂作品が好きで『グラスホッパー』も買って読んでみたけれど、これまでにない描写に驚いて、伊坂作品として納得できなかった人たちが手放しなのではないかと。
私と言えば、この作品に驚きはしましたが、この文庫本を手放すことはないと思います。「伊坂幸太郎って、こういう作品も書けるんだね~。やっぱり凄い才能だよ~」という驚きが大きかったですから。
現実離れしすぎで、マジの悪人ばかり登場する中にも、伊坂作品らしいほのぼのとした空気を感じられるシーンもあります。
結局は妻の復讐を果たすことができなかった鈴木と、「押し屋」の「幼い息子たち」との場面は、黒かグレーの世界にポッと光が射し込んだような安心感があります。息をひそめて読んでいる中で、それは本当に幸せな瞬間でした。
しかし、光は射しているけれど、その底には寂しさとか悲しさが流れている。それを「バカジャナイノー!」と笑い飛ばす少年たちが愛おしく、この部分だけをとっても、素晴らしい作品だと思いました。
実はこの文庫本、何軒か立ち寄った古本屋さんで、2冊置いているお店が3軒ありました。古本屋さんで伊坂作品を見かけることがほとんどないのに、なぜかこの『グラスホッパー』との出会い率は高かったのです。「不思議だな~」と思いつつ、1冊お買い上げ。
読み始めてすぐに、この作品がこれまでに読んだ伊坂作品とは違うものだと気付きます。ミステリーであるけれどハードボイルド色が濃く、ちょっと油断していると視界を外れたところからナイフがとんできそうな感じです。
例えば登場人物。これまでに読んだ伊坂作品に出てきたのは、犯罪者であっても「悪」の印象がそれほど強烈ではなく、決して犯罪を肯定しているわけではないけれど「本物の悪」は存在していない世界だったように思います。
ところがこの作品に出てくる犯罪者の皆さんは、マジで犯罪者でした。
そして犯罪を描く手法も新しく実に生々しい。今、まさに自分の目の前で殺人が行われているような描写を、殺人現場を撮ったVTRをスロー再生で見せられているような感覚を、息をひそめて読んでいました。
おそらく、風呂本屋さんで複数この作品があるのを見かけたのは、ここに原因があったのではないでしょうか。伊坂作品が好きで『グラスホッパー』も買って読んでみたけれど、これまでにない描写に驚いて、伊坂作品として納得できなかった人たちが手放しなのではないかと。
私と言えば、この作品に驚きはしましたが、この文庫本を手放すことはないと思います。「伊坂幸太郎って、こういう作品も書けるんだね~。やっぱり凄い才能だよ~」という驚きが大きかったですから。
現実離れしすぎで、マジの悪人ばかり登場する中にも、伊坂作品らしいほのぼのとした空気を感じられるシーンもあります。
結局は妻の復讐を果たすことができなかった鈴木と、「押し屋」の「幼い息子たち」との場面は、黒かグレーの世界にポッと光が射し込んだような安心感があります。息をひそめて読んでいる中で、それは本当に幸せな瞬間でした。
しかし、光は射しているけれど、その底には寂しさとか悲しさが流れている。それを「バカジャナイノー!」と笑い飛ばす少年たちが愛おしく、この部分だけをとっても、素晴らしい作品だと思いました。
私ねー、宮部さんが時々、暗ーい気持ちになるようなのも書くでしょ?
救われない…みたいな。
あれにも弱いんだよね~…ドンヨリしちゃう。
でも読んじゃうんだけどさ。
最近の世の中も、実際にそんな感じでもあるから、
妙に納得いっちゃったりして…。
そのバカジャナイノーの少年に救われるなら、読んでみようかなぁ…。
とみさんの書評を読んでゾワゾワしてきました~
面白そうですね。
宮部さんも、とみさんに教えていただきました。
今回も、伊坂さんは読んだことがありませんが
呼んでみたいと思いました。
とみさんとお知り合いになれたことで
今まで知らなかった分野に入れたことを
とっても感謝しています。
ありがとう。
読書の秋なので、伊坂さんを呼んでみたいと思います。^^
現実に起きている事件のほうが酷かったりするものね
でもこの作品は、宮部さんのみたいに「精神的にじわじわくる」んじゃなくて、
リアルな感じで「視覚的にくる」って印象です。
文字を読んでいるのに、目の前に映像が出てきちゃうのよ~
その中での少年たちは、悲しいけど天使でした。
でもこの小説は伊坂作品の中でもかなりユニークなものだと思いますよ。
最初にこの作品から入ると、どうだろう…。次の作品に手が伸びるかしら?
ちょっと自信がないのですけど、私は読んで良かったと思えた作品でした。
読書の秋にもなりますから、楽しんじゃってください!