今日は春節であり新月。
はっきりと年齢は覚えられないが今日が誕生日だと言うことだけは覚えている。
聞いた話では、元日に大祓の掃除をする習わしがあったのだとか。
ふと、年越しそばを食べ忘れた事を思い出す。
新月に切った竹は長持ちし、作物も月読で美味しくなるようだ。
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若姫の廻歌は今日の春節のようだ。
金折命が聞いた天照大神の廻歌を2度読み、はたと驚いた。
感慨無量になる歌だった。
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5、廻歌(まわりうた)
若姫の神 (昼子姫) は玉津の紃使阿智彦命 (おしかあちひこ) に恋焦がれて、和歌を詠み短冊 (うたみ) に書き(そめ)、思い兼ねて直接、阿智彦命に勧むなり。
阿智彦命 (思兼命) は、短冊を何気なく手に取りみれば、
紀志伊(きしゐ)こそ つまをみぎわに
ことの音の とこにわきみを
待つぞこひしき
( 紀志伊こそ 妻をみぎわに
琴の音の 床には君を
待つぞ恋しき)
阿智彦命の思うに媒酌人(ばいしゃくにん)の無くて、婚姻を結ぶということは、道に反き(そむき)適わぬことなり。
この歌を若姫の神に返さねばならぬ。
先ず高天原に帰りて諸神の評決を受けんと決心す。若姫の神には「言の葉の無きまゝ暫く待ち給え。我高天原の宮に帰りて後に、報言いたさん」と曰すなり。
阿智彦命は、こな短冊を持ちて高天原に帰り、天照大神の御前に出でて諸神に問う。
時に金折命の申すに「この歌は返すことのならぬ廻歌(まわりうた)なり。我昔天照大神の行幸の船に乗りて御伴をなす。
その時風激しく吹き大波の立ちて船の進行を阻む故、大波の打ち返さじと廻歌を詠むなり。
ながき夜の とほのねふりの
みな目覚め なみ乗りふねの
おとのよきかな
( 長き夜の 遠の眠りの
皆目覚め 波乗り船の
音の良きかな)
と、詠えば(うたえば)暴風止み船は快く阿波の港に着けり。
若姫の神の歌も、姫の恋情(こいみやび)を返さすことならぬ歌なり」と奏すなり。
【「44恋情を返さじと」には、幾通りかの意味があるが、この場合は、昼子姫の恋情を返させまいとする意。】
時に天照大神の勅宣(みことのり)を受けて、金折命は船と共に和歌の国に至り、昼子姫と阿智彦命の婚礼の儀を整えり。
昼子姫のと阿智彦命は、天晴れて夫婦となれり。昼子姫は結婚の後 安河の宮に居まして、下照姫と称し民に蝗虫祓いの歌を教え給うなり。
【 「喜びかえす紀志伊国」蝗虫が西の海に飛び去り、稲の若返る故、紀志伊国の諸民は大いに喜び、天日の前宮と、玉津宮を造り、これを奉る。中宮は天日の前宮を国懸宮と名を変え、暫くこの宮に入ります】