職場に同僚は一人だけいる。
同じ年齢、同じ性別、同じ高校出身。
大体似たような価値観なのだが大きく違う点がある。
私はオールドメディアを見られない環境下にあり、ネット上から情報を得ている。
彼女はネット上の情報も見る事が出来るが信頼していない。最も信頼しているのがテレビのニュース。そして新聞からも情報を得ている。
nの数は小さすぎるが、まるで社会実験のように比較可能なサンプルがここに存在している。
普段はそれほど意見が割れないが、今回大きく割れた件があった。アメリカ大統領選挙である。
彼女はカミラ推しだった。私はトランプ推し。
まあネット上の情報では「日本のテレビは偏向報道でカミラ優勢とばかり言っている。」と言われているしな、位に思っていた。ネット上でトランプ有利、海外メディアが勝利確定の報があった時間帯でもNHKでは延々「拮抗」と言い続けている、というTLも流れてきていた。
一方、彼女から見れば私の方が偏向していると見えるだろう。彼女はトランプに強い忌避感を抱いていた。なぜトランプなんか応援する人がいるのだろう、と呟いていた。テレビニュースを視聴していた頃の自分も同じ心境だったのでその意見も良く分かる。トランプは、日本に対しては輸入等に於いて強硬派である。
大統領選挙の推しは割れたが、それはそれで日本から見れば選挙戦は対岸の火事というか花火みたいなもので、同僚とぎくしゃくするという程のものでもなかった。
だが勝敗の決まった翌朝、もう終わった話だし、と思っていた私とは対極的に彼女は鬱々としていた。そして深刻な表情でこう呟いた。
「あーあ、ウクライナ負けちゃうのか……。」
へ?と思った。
どういう事?と尋ねると、トランプが勝てばウクライナへの援助を断つからだと。
「そんな話聞いた事ないよ。」
と言いつつ、検索してみると唯一ニュースがヒットした。
池上彰氏 トランプ氏「24時間で戦争終結」豪語→ウクライナ支援やめ降伏圧力の見方指摘「仲良いプーチン大統領に有利な形では」と
(上記記事の魚拓)
「そんな事言ってるの池上彰くらいだよ。」
と私が言うと、同僚は少しムッとした様子だった。
私も池上彰はNHKの「週刊こどもニュース」の時代から良く知っている。彼の分かり易い解説は本当に有難いと感じたし、信頼もしていた。
だが民間に移ってから良からぬ噂を耳にするようになった。それは大学教授などの専門家のツイートだった。
「彼の番組スタッフから問い合わせが来て、更に『池上彰の意向』として、問い合わせの返答を池上彰が考えた事にさせてもらいたいと事前に伝えてきたので断った。」
という内容だった。
しかもそれは一件だけは無かった。
それ以降、私は彼の論を積極的に見る事はなくなった。信じる信じない以前に「人としてどうよ?」という思いだった。情報の質と人間性の問題は直接的には無関係である。
今回、池上彰はハリス勝利と予想していた。ざっと検索した限り池上彰のみが、トランプ次期大統領の選挙期間中の発言「24時間でウクライナ戦争を終結させる」を「トランプはウクライナを見捨てる」とまで飛躍して解釈している。最悪なのは、池上彰がこの意見をテレビで発信し、それを視聴した一人である同僚がそれを信用し、反トランプの感情をヘイトレベルにまで強めた、という事実である。
同僚がカミラを応援していた理由の一つは「戦争でウクライナを負けさせたくない」という思いからだった。池上彰が唱えたその論に基づいて判断しており、それゆえにトランプに負けてほしいと強く願ったのである。それは翌日も引き摺る程の思いだった。
同じ年齢、同じ性別、同じ高校出身。
大体似たような価値観なのだが大きく違う点がある。
私はオールドメディアを見られない環境下にあり、ネット上から情報を得ている。
彼女はネット上の情報も見る事が出来るが信頼していない。最も信頼しているのがテレビのニュース。そして新聞からも情報を得ている。
nの数は小さすぎるが、まるで社会実験のように比較可能なサンプルがここに存在している。
普段はそれほど意見が割れないが、今回大きく割れた件があった。アメリカ大統領選挙である。
彼女はカミラ推しだった。私はトランプ推し。
まあネット上の情報では「日本のテレビは偏向報道でカミラ優勢とばかり言っている。」と言われているしな、位に思っていた。ネット上でトランプ有利、海外メディアが勝利確定の報があった時間帯でもNHKでは延々「拮抗」と言い続けている、というTLも流れてきていた。
一方、彼女から見れば私の方が偏向していると見えるだろう。彼女はトランプに強い忌避感を抱いていた。なぜトランプなんか応援する人がいるのだろう、と呟いていた。テレビニュースを視聴していた頃の自分も同じ心境だったのでその意見も良く分かる。トランプは、日本に対しては輸入等に於いて強硬派である。
大統領選挙の推しは割れたが、それはそれで日本から見れば選挙戦は対岸の火事というか花火みたいなもので、同僚とぎくしゃくするという程のものでもなかった。
だが勝敗の決まった翌朝、もう終わった話だし、と思っていた私とは対極的に彼女は鬱々としていた。そして深刻な表情でこう呟いた。
「あーあ、ウクライナ負けちゃうのか……。」
へ?と思った。
どういう事?と尋ねると、トランプが勝てばウクライナへの援助を断つからだと。
「そんな話聞いた事ないよ。」
と言いつつ、検索してみると唯一ニュースがヒットした。
池上彰氏 トランプ氏「24時間で戦争終結」豪語→ウクライナ支援やめ降伏圧力の見方指摘「仲良いプーチン大統領に有利な形では」と
(上記記事の魚拓)
「そんな事言ってるの池上彰くらいだよ。」
と私が言うと、同僚は少しムッとした様子だった。
私も池上彰はNHKの「週刊こどもニュース」の時代から良く知っている。彼の分かり易い解説は本当に有難いと感じたし、信頼もしていた。
だが民間に移ってから良からぬ噂を耳にするようになった。それは大学教授などの専門家のツイートだった。
「彼の番組スタッフから問い合わせが来て、更に『池上彰の意向』として、問い合わせの返答を池上彰が考えた事にさせてもらいたいと事前に伝えてきたので断った。」
という内容だった。
しかもそれは一件だけは無かった。
それ以降、私は彼の論を積極的に見る事はなくなった。信じる信じない以前に「人としてどうよ?」という思いだった。情報の質と人間性の問題は直接的には無関係である。
今回、池上彰はハリス勝利と予想していた。ざっと検索した限り池上彰のみが、トランプ次期大統領の選挙期間中の発言「24時間でウクライナ戦争を終結させる」を「トランプはウクライナを見捨てる」とまで飛躍して解釈している。最悪なのは、池上彰がこの意見をテレビで発信し、それを視聴した一人である同僚がそれを信用し、反トランプの感情をヘイトレベルにまで強めた、という事実である。
同僚がカミラを応援していた理由の一つは「戦争でウクライナを負けさせたくない」という思いからだった。池上彰が唱えたその論に基づいて判断しており、それゆえにトランプに負けてほしいと強く願ったのである。それは翌日も引き摺る程の思いだった。