まず、先週の続きで新型コロナウイルスの事です。
日曜のテレビ番組で新型コロナウイルスは空気感染しないと言っていました。だとすれば感染経路は飛沫感染です。
飛沫感染とは
咳やくしゃみをすると、口から細かい水滴が飛び散ります。これを飛沫と言いますが、これにウイルスが含まれていた場合、これを吸い込むことで感染する経路のことです。
その際、一番注意するべきことは感染者との間に直線距離で1メーター以上空ける事で、これで感染リスクは大きく下がります。
この直線距離1メーター以内に近づくと感染リスクが高くなるという事は、インフルエンザで立証された事なのです。アメリカで行われた10万人規模の調査の結果のエビデンスだそうです。
1メーターってどのくらい
これを考えるためにはパーソナルスペースの概念が参考になります(以下、wikipediaから引用します)。
パーソナルスペース(英:personal-space)とは、他人に近付かれると不快に感じる空間のことで、パーソナルエリア、対人距離とも呼ばれる。
一般に女性よりも男性の方がこの空間は広いとされているが、社会文化や民族、個人の性格やその相手によっても差がある。
親密な相手ほどパーソナルスペースは狭く(ある程度近付いても不快さを感じない)、逆に敵視している相手に対しては広い。
相手によっては(ストーカー等)距離に関わらず視認できるだけで不快に感じるケースもある。
密接距離
ごく親しい人に許される空間。
近接相 (0 - 15 cm) 抱きしめられる距離。
遠方相 (15 - 45 cm) 頭や腰、脚が簡単に触れ合うことはないが、手で相手に触れるくらいの距離。
個体距離
相手の表情が読み取れる空間。
近接相 (45 - 75 cm) 相手を捕まえられる距離。
遠方相 (75 - 120 cm) 両方が手を伸ばせば指先が触れあうことができる距離。
社会距離
相手に手は届きづらいが、容易に会話ができる空間。
近接相 (1.2 - 2 m)
引用終わり
医者と患者の距離
今は、インフルエンザの流行期ですが、この時期になると、小児科や内科の医者は1日に何十人もインフルエンザの患者を診ることがあります。
医師が患者からインフルエンザをもらう事はあります。しかし、それほど多くないです。
特に小児科の医師は子供の鼻に綿棒を突っ込んで検査のために検体を取ります。その瞬間に、子供がギャーと泣いて鼻水が飛んだりする。
その危険な瞬間があるのですが、それでも、医師が感染源でインフルエンザの感染が周りの人に何人も感染が広がることは無いようです。
上記の分類では、近接相と遠方相の間で変動している、0.5から1メーターの間くらいですかね。
自分の考えですが、医師は職業柄、飛沫感染する危険な状況を感覚的に学習しているのではないかと思います。
すなわち、どのくらい近づけば危険か、どのくらい離れれば安全か、また口から飛ぶしぶきの距離を考えて、安全になるような体位をとっているのではないか、それは多くの患者さんとの診察を通して身体で学んだのではないかと思います。
危険な家族間感染
一方、危険なのが家族間の感染です。
以前の勤務先でインフルエンザに罹った医師の想定される感染源のアンケート調査を行ったところ、家族から感染したという答えが圧倒的に多かったです。
これが、直線距離1メーター以内に近づかない、という原則が大事であることを示唆していると思います。
もちろん、満員電車はリスクが高いと思いますが、自分が呼吸している空間に他人の口が来ないよう身体の向きを変えるとか細かい配慮が必要でしょうし、咳が出ている人に近づきすぎない事などを念頭におくだと思います。