整形外科病棟、4階のエレベーターホール脇に休憩スペースがあり、車椅子のち杖で歩けるようになって以来、そこに行くことが多くなった。大型のテレビもあってか、以前から誰からともなく集まるようになっていたようだ。
そこで入院仲間同士であれこれ話をしていたのだ。
1人は、踵(かかと)を粉砕骨折をして運ばれてきたとかいうオッチャンで、全治4ヶ月、僕より先に入院していたが、まだ退院は1ヶ月以上先と聞いていた。
もう1人が謎で、基本的に個室部屋から出てこない20歳くらいと見られる子だった。
片腕を吊ってはいるが、それも指先2、3本に包帯を巻いているだけで、どこに長期入院する必要があるのか皆、疑問に思っていた。
とにかく寡黙で、ほとんど口をきかないとあっては事情が掴めない。
そのうち、とんでもないお金持ちの家の子で、カネにものを言わせて居座り続けているのではないか?ということで落ち着いた。
病室から出られるようになって僕も2、3度その子を見かけたが、常に無表情で他者を拒絶するオーラを纏っており、遠巻きに眺めるだけだった。
休憩スペース(待合室?)にはそのうち同じ顔ばかりが集まっているのに気付いた。窮屈な病室よりも開放的だったのが理由だろう。
誰もいなければ、棚に置かれた寄付品だか忘れ物だかよく分からない不揃いの文庫本を手に取って読むこともあった。
ちょうどワールドカップのサッカーだか野球のあった時期だったと思う。数人で遅くまで居座って何度か看護師さんに部屋に戻るよう注意された覚えがある(笑)
そんなこんなで途中からの入院生活は悪くなかった!
あとがき
なんとかギリギリ、書きたかったことはほとんど全部入れることができた。
予定は未定とはよく言ったもの、まさか誕生日当日までかかるとは。
きのう連投しまくらなければとても終わらなかった!