![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/66/f17c4beb5479cfaaf73b2c6ecf940b57.jpg)
YouTubeで見付けた音楽の持つ力の一例をリンクでご紹介しておきます。
欧州の人々は生活感、宗教観からなのか感動の受け取り方が日本人と少し違って見えます。
まるで天使が舞い降りて歌っているように思えて感極まるのかも知れません。
何はともあれ音楽がこれ程の人々に感動を与えるということは素晴らしいことだと思います。
André Rieu & Amira - O Mio Babbino Caro
小説「Obralmの風」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/76/017f94b4efa4f65931da6cde5ce8618a.jpg)
翌週、岳は診察のため病院の待合に居た。
退屈しのぎに腕時計を見ると午前十一時、病院内は一番込み合う時間帯である。
世の中にはこれほど病魔にとりつかれた人々がいるのだろうかと、岳は自分のことを棚に上げて思った。
考え方を変えればストレスの多い現代に疲れた人々が集う駆け込み寺的存在なのかも知れない。
ここに来ない人達がいわゆる勝ち組でたくましくこの現代社会を動かしているのだろうか。
人々を見ながら様々な想像を巡らせていると廊下の端にある心療内科窓口で患者を呼ぶ声が聞こえた。
居並ぶ各科の窓口の中で一際目立つ大声で呼ぶ声は離れた岳の席までも聞こえてくる。
「石田明子さん」
岳の周りの人も数人は声の方向を向いている。
(石田明子・・・)
どこかで聞いた名前、でも思い出せない。
果たしてどんな人なのか顔姿を見れば思い出すかも知れない。
しかし、悲しいことに俗にいう初老に差し掛かった岳の視力では廊下の端までははっきり見えなかった。
ただ雰囲気的にはそんなに若い人ではなく岳と大差がない年恰好のように感じる。
知り合いの中にあのような容姿で石田という人は居ない。
でもその名前はどこかで聞いた名前である。
思案を巡らせている時突然岳の名前が呼ばれた。
「久保岳さん」
岳は思案を捨てて診察室へ入った。
岳はこの日のことをその場限りですっかり忘れていた。
退職を残り一週間に控えた岳は三宮のホームで突然背後から呼び止められた。
「あの~久保さん」
岳は驚いて振り返った。
「あっ、先程はどうも」
岳を呼び止めたのは四十半ばの年恰好をした清楚な男性だった。
彼のネクタイ模様でそれが誰であるかが判った。
先程職場で隣の課に仕事の打ち合わせに来ていた損保会社の事故調査員であった。
名刺交換はしたが名前までは思い出せなかった。
欧州の人々は生活感、宗教観からなのか感動の受け取り方が日本人と少し違って見えます。
まるで天使が舞い降りて歌っているように思えて感極まるのかも知れません。
何はともあれ音楽がこれ程の人々に感動を与えるということは素晴らしいことだと思います。
André Rieu & Amira - O Mio Babbino Caro
小説「Obralmの風」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/76/017f94b4efa4f65931da6cde5ce8618a.jpg)
翌週、岳は診察のため病院の待合に居た。
退屈しのぎに腕時計を見ると午前十一時、病院内は一番込み合う時間帯である。
世の中にはこれほど病魔にとりつかれた人々がいるのだろうかと、岳は自分のことを棚に上げて思った。
考え方を変えればストレスの多い現代に疲れた人々が集う駆け込み寺的存在なのかも知れない。
ここに来ない人達がいわゆる勝ち組でたくましくこの現代社会を動かしているのだろうか。
人々を見ながら様々な想像を巡らせていると廊下の端にある心療内科窓口で患者を呼ぶ声が聞こえた。
居並ぶ各科の窓口の中で一際目立つ大声で呼ぶ声は離れた岳の席までも聞こえてくる。
「石田明子さん」
岳の周りの人も数人は声の方向を向いている。
(石田明子・・・)
どこかで聞いた名前、でも思い出せない。
果たしてどんな人なのか顔姿を見れば思い出すかも知れない。
しかし、悲しいことに俗にいう初老に差し掛かった岳の視力では廊下の端までははっきり見えなかった。
ただ雰囲気的にはそんなに若い人ではなく岳と大差がない年恰好のように感じる。
知り合いの中にあのような容姿で石田という人は居ない。
でもその名前はどこかで聞いた名前である。
思案を巡らせている時突然岳の名前が呼ばれた。
「久保岳さん」
岳は思案を捨てて診察室へ入った。
岳はこの日のことをその場限りですっかり忘れていた。
退職を残り一週間に控えた岳は三宮のホームで突然背後から呼び止められた。
「あの~久保さん」
岳は驚いて振り返った。
「あっ、先程はどうも」
岳を呼び止めたのは四十半ばの年恰好をした清楚な男性だった。
彼のネクタイ模様でそれが誰であるかが判った。
先程職場で隣の課に仕事の打ち合わせに来ていた損保会社の事故調査員であった。
名刺交換はしたが名前までは思い出せなかった。