荻と薄(ススキ)とは、見かけがそっくりだが、字が似ていない。
万葉集を紐解けば、
笠金村の次の歌がある。
大伴家持ほどは知られていないが、
笠金村の歌は僕の好みだ。
「伊香山(いかごやま)野辺に咲きたる萩見れば君が家なる尾花し思ほゆ」
この伊香山は、琵琶湖の北、僕の故郷の近くで、今も地名(いか)に残っている。
一つの歌の中に、萩と尾花の両方が入っている点がええ。
ただ、一つ合点のいかないことがある。
萩を見て、似ていない尾花(すすきのこと)を思い出すか。
荻を見て、似た尾花を思い出すのなら、納得できる、ということだ。
まあね、萩も尾花も、同じ秋の草花という共通点はあるけどね。
「高円の野辺の秋萩いたづらに咲きか散るらむ見る人なしに」
これは志貴皇子に対する挽歌だが、
こうなると、もう唸るしかない。
1300年以上前の歌なのに古くささがなく、
悲しくも美しく、心に響く。
何と言えばいいか、
そこに時間だけが過ぎ去っていく、嗚呼、という感じ、
これがええ。
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