「十二支考」を読み続けている。
一行読むのに数十分かかること、ざら。
どう調べても読解できぬ箇所も多い。
それでも、面白い。
今夜は、その中の「竜とは何ぞ」から一行を引用してみたい。
「また『蒹葭堂雑録』に、わが邦で獲た二足の蛇の図を出せるも、全くの嘘蛇(うそじゃ)ないらしい。」
一連の話からこの部分だけを抄出してもここの面白味は分からないかもしれない。単なる駄洒落と言えば、そうとも言える。しかし読解に四苦八苦している最中に、辞書、事典等と首っ引きで読んでいる最中に、この「嘘蛇」の突然の出現だ。熊楠は、誠に天下一の面白い男じゃ。
ちなみに、蒹葭堂とは、人名で、百科事典などで調べる際には、木村蒹葭堂の項目を見ればよい。つくづく思う、自分で調べる努力は、決して無駄にはならない、と。