南方熊楠の「十二支考(上)」、読了。本文を読んでいる時間よりも、辞書等で難解な語句を調べている時間のほうが長かった。辞書にもない言葉も少なくなく、文字通り往生した。きょうから下巻に取り掛かるが、その前に、上巻を読んだ記念に、数行だけ書いておく。覬覦(きゆ)する。この意味は、辞書を引けば誰にも分かる。振り返れば、僕も幼い頃から汲々として覬覦してばかりだった。当時は、自分が覬覦していたとは露にも思っていなかった。古女房がこの文章を読めば、何度も同じ語句を使うなと指摘するだろう。しかし、何度も使っておかないとすぐに忘れてしまう。杞憂に終わることを願いながら、さて、次の旅に出掛けるとしよう。