天国とか地獄とか、そのような紋切り型の言い方からはいつかは抜け出さねばならない。人は様々な思いを背負って歩んでいる。先を見通せない小道が幾条も錯綜している。やっとの思いで均衡を保ちつつ立ち竦んでいる。僕が「あの細い道を行けば、どこに通じてるの?」と尋ねると、君はすぐさま「未来」と言った。まるで予め分かっていた質問に答えるかのように。僕は君を残して、扉を開けて、その細い野道の向こうを知りたくて出掛けた。僕が心底好きなのは、こういう里歩きだという思いを噛みしめながら。曲がりくねったおいしい道を辿りつつ、「たとえどこかに通じていなくても、いい」と思った。
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事