パラソルとテーブル

地下鉄Ｊ駅。
地下から地上へ上がる。
マックスバリュという名のスーパーがある。
その斜め１０ｍに、
昔風の八百屋がある。
その店内の一角では、
目の前で１００％本物のジュースを絞って飲ませてくれる。
この夏、
初めてそこでジュースを飲んだ時、
そこの女性に、
僕は、
売上倍増するためのアドヴァイスをした。
店の出入り口に
パラソルと白いテーブルとを置いたら
絶対、客が増えると思うよ。
これだ。
きょう、たまたま昼休みにマックスバリュに出かけた。
何気なく八百屋を見ると、
あるではないか。
パラソルとテーブルとが。
瞬きをして見ても、確かにある。
夢ではない。
その女性が
駆け寄ってきて、
（僕の顔を覚えておいてくれていた）
「アドヴァイスをしていただいてから、
三日もたたないうちに買いに行きました。
元引きました」と言った。
僕はリンゴ＋ヨーグルトジュースを注文した。
３００円。
悪くない気分だった。
まったくの他人である行きずりの男の
思いつきの意見を取り入れてくれたのだ。
「白色のテーブルはなかったんですけど、
白木ならいいかなと思って」
確かにテーブルは白木だった。
夏にはなかったが、
炭で焼く石焼き芋も売っていた。
大型の壺のような、
妙な形の鋳物の器だった。
明日は、
石焼き芋とリンゴ＋ニンジンジュースを注文してみるか。