木間越しに海の色を見ることに飽きると、白や薄紅色の桜の花からの言祝ぎに耳を傾ける。島巡りをしていると、暑苦しいほどの陽気だった。何も見たり聞いたりしなかったかのように、人は自らの中に沈潜せねばならない時がある、自分の頭の上の蠅さえ追っ払っていればいい、と自分自身に言い聞かせながら。