しかし、
初めから読んでこないとこの部分の美しさを
頭の中に思い描くことはできないだろう。
できるわけがない。
それを承知で抜書きする。
何のために?
巨大な美を想像しえた自分自身を埋もれさせないために。
「・・・すると、無数の木霊がするという十王峠の頂を、
氷に眠る牡牛のタネを抱き、天に近い吹きの中で吹きに堪え、
カンジキを踏んで来る源助のじさまの姿が浮かんで来るのです。
しかも、
それはもはやあの暗い土間に飼われた牝牛にタネを運んで来る人ではない。
あの薄闇の中で臥した牛のように、
ひとり赤黒く燃え立っていた月山へと、
無謀にも大いなる春をもたらすタネを運んで来る人のように
思いなされて来るのです。」
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