岐阜多治見テニス練習会 Ⅱ

端数処理に過敏なレジ係

似た話は前にも耳に入れたが、
頻繁に行く生協のレジ係の中に、
端数処理に過敏なおばはんがいやはる。

きょう大愚が唐辛子等を買いに行ったら、
568円請求された。
いつもの通り、
予め大愚が掌の上に用意した小銭を見ながら、
50円玉1枚と10円玉2枚、
そして1000円札1枚をレジ横の代金受け台に載せると、
その端数処理に過敏なレジ係は、
目敏く大愚の掌の上の1円玉3枚を見つけて、
「3円下さい」と言った。

大愚は心の中で、
「568円の代金に対して、
1070円払ったのに、
なぜ1073円という半端な金額を払わなくちゃいけねえんだ」と思った。

しかし、きょうが初めてではない。
このおばはんの計算能力が高いことは承知の助だった。
何か意味があるに違いない。
大愚は何食わぬ顔で、
言われた通り、1073円支払い帰宅した。

帰宅するや否や、
大愚は、
レジ係が何故に1073円を要求したかを考究することにした。

小型計算機を取り出す。
1070円-568円を計算する。
その答、502円。
1073円-568円を計算する。
その答、505円。

なあるほど。
おばはんは、
大愚のガマグチの中に小銭(1円玉)が極力少なくなるように
ご配慮遊ばしたのだった。

しかし、
こんな複雑高等な計算を
なぜ瞬時に行うことができるのか。
大愚は、計算機を見ながら、唸るばかりだった。

ガマグチから小銭を極力減らすことが
万人にとって重要なことならば、
すべての買い物代金の合計額から
10円未満は切り捨てにしたらよかろう。

大愚は生協の店長に提案する。
すべての買い物代金の合計額から
10円未満の端数は切り捨てよ、と。

これは、
ひょっとすると、
たまの5%割引よりも強い衝撃を消費者に与えるかもしんねえぞ。

もしそうなったら、
人々は、電卓片手に、
端数が9円になるように買い物をするようになる。

1回109円の買い物を20回すれば、
(20回レジを通過すれば)、
2180円が2000円になり、
約8.3%の値引きを受けることになる。

今は、
暇な年寄りが多い。
暇な年寄りでも、しかし、
1回の買い物につき20回もレジを通過するのは面倒臭いが、
運動と思って行えば、
一挙両得だ。

年寄りが運動して体力を消耗すれば、
甘い物が欲しくなる。
と、生協の饅頭の売り上げも上昇することになる。
ひいては、天下の金回りも良くなる。

時間が来たので、
この辺で端折るが、
端数処理の問題は、
端っこに捨ててはおけねえ問題じゃというこっちゃ。

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