そして、 足元には、実は、 オオイヌノフグリの青い小花が咲いていた。 暖かい日差しに包まれて、 ゆっくりと一人で過ごす場所としては、 やはり故郷が一番よい。 心の奥底に刷り込まれた風景の中に 人は幾度も立ち返る。 呆けても、 監獄に閉じ込められても、 人は立ち返る。 否、 呆けたり、閉じ込められたりした時こそ、 人は立ち返る。 過ぎ去った時が含むものはすべてが甘やかだ。 それだけだ。