東京23区のごみ問題を考える

脱焼却の循環型ごみ処理システムは可能か!!
~ごみ問題のスクラップブックとして~

23区 清掃工場の「運転管理業務委託」は経費削減になっているのか~(令和3年度分更新)

2023年03月31日 10時40分59秒 | 東京23区のごみ

清掃一組は、「経営改革プラン2009」の中で、重点施策として「清掃工場のアウトソーシングを推進しながらも、安全で安定的な工場運営を実現させるため、実践的で実効性があり、運営の質を上げる取組など、質の向上を重視したものに集中的に取組む」としていた。さらに「経営計画(平成27年2月)」では、外部委託の基本方針は人材育成等による技術力の維持・向上を図りながら、効率的な運営体制を構築することにより、平成17年度と比較して、約3割程度の 人員削減を目指します。計画期間中に15工場程度で委託を実施します。また、アウトソーシングにあたっては、PFIの検討や信頼性の高い委託先の開拓に取り組みますとも、、

清掃工場の運営委託といえども内容はさまざまであろうが、23区の清掃工場は、これまで「運転管理業務(ごみの搬入及び灰搬出含む)」の委託が主であったが、、平成26年9月竣工の大田清掃工場は、日勤業務なども委託する包括委託に準じた形での民間委託となった。そして、灰溶融施設の休止に伴い灰溶融併設の直営の清掃工場工場、そして直営の中央・渋谷・千歳清掃工場でも受付搬入等の委託が始まった~

清掃工場別処理単価でみると、、これまでは、大規模清掃工場の新江東が処理単価は一番低かったのだが、平成27年度は大田清掃工場が8,049円/トンで新江東の8,124円/トンよりも低くなっていた。運転管理のほぼ全面委託となった大田清掃工場は、人件費が抑えられたということだろうか? コストの増減はさまざまな要因があるのだろうが、運転管理の委託も、思い切って大田のように全面委託にすると目に見える効果ありとなるのだろうか、、と思っていたが、、、なんとその後の大田清掃工場は、年々処理単価は上昇している。大田清掃工場の運転管理業務委託費は令和元年度は前年度の1.5倍、令和2年度はさらに増額で約15億9千万円となっている~

とあれこれおもっていたら、、、
なんと、新大田清掃工場の運転管理等業務委託、平成 30 年から令和元年にかけてから、薬剤費や定期点検補修工事・その他整備工事等も受託者側で受け持つようになったそうで、そういった費用も含めた業務委託費になっているとのこと。ということで、新大田清掃工場は他工場と一概に比較するとおかしなことになるのだが、、、

人件費のみの比較では全く意味がなくなったのではあるが、、、
とりあえず、令和3年度の「清掃工場別の処理単価「令和3年度財政レポート(19ページ)」が公表されているので、、清掃工場別の人件費のグラフを更新した~

清掃工場のアウトソーシング、コスト面だけを考えているわけでもないだろうし、もしかしたら、直営職員の人材不足、技術 の継承が追っついていないのかもしれないし、、委託がいいのか悪いのかもいろんな考え方があるだろうが、、実のところよくわからない。しかし、だからといって、事業者を競争入札で選ぶのがいいとも思わない。公共事業、競争なしでの価格暴騰は困るけど、ものの適正価格が崩れると、下請け孫請けにもそのしわ寄せはいく、特に人件費が削られても困るだろう、、そのための東京エコサービスなのではあろうが~ 現場のことは全くわからないので、何ともいえない。みえてくる数字だけでの単純な比較で解析までデキズではあるが、、

 

◆23区清掃工場の人件費 推移
(直営職員の人件費は退職手当は含まれていない)

23区の場合は、委託といえども直営職員も配置するので、人件費をトータルすると逆に割高感がある、、、



◆23区灰溶融施設の人件費 推移

平成23年度以降は、福島原発事故の影響で、灰溶融施設の稼働は全面停止期間や、複数炉施設の1炉稼働など、、大きな変化が起きた。しかし、だからといっ て、委託費用を大幅削減するというまではいかずとも、若干の縮小は見て取れる。そして、平成26年度以降は、順次休止施設がでてくるので、人件費,物件費とも、コスト面では大 きな変化がみえてきた~




◆23区清掃工場 在職員数(灰溶融施設除く)

定年退職後の任用が再任用だと思うが、再雇用の意味がわからない。それにしても、退職不補充なのか、新たな職員の採用が少ないということなのか、だから、業務委託なのか、業務委託故にそうなのか?

清掃工場勤務の常勤職員は減少が続いていたが、令和2年度は前年度よりも19人増えている~




◆23区清掃工場別 直営人件費 推移

杉並のH17年度・H18年度と、練馬のH17年度の直営人件費が、なぜ新江東よりも高騰しているのか疑問だが、工場の規模と人材配置の人数は関係ないのか、(職員数は3工場同程度)




◆23区清掃工場別 運転管理業務委託費推移

工場の規模、委託形態、委託の開始時期が年度途中もあり、単純には比較できないが~
一定の期間が過ぎると横ばい傾向、、
新大田清掃工場は令和元年度は前年度の1.5倍に増額、令和2年度はさらに増額、初期の2倍以上となっている、、


 

◆23区灰溶融施設別 直営人件費 推移

灰溶融施設は全面委託であったが、直営職員も3名程度(中防灰溶融は6名)
令和2年度以降、灰溶融施設はすべて休止となったので直営職員ゼロとなっている、中防灰溶融のみ
溶融炉は26年度から休止で飛灰の処理を行っている~

 

◆23区灰溶融施設別 運転管理業務委託費推移

各施設とも、規模はまるっきり異なるが、かかる費用は大差なし?
というか、中防灰溶融は4炉あってもほとんど稼働しなかったが、、、平成26年度以降は溶融炉は休止、飛灰の処理施設に~

 

◆23区清掃工場別 受付搬入等業務委託推移

 

 

◆清掃工場別人件費の推移

【杉並清掃工場】
旧工場900t/日(300t/日x3炉)1炉予備炉 → 建替後 600t/日(300t/日x2炉)


 

【光が丘清掃工場】

 

【大田清掃工場(第一)】

平成20年度は大田第二からの大移動?


 

【大田清掃工場(第二) ⇒ (新)大田清掃工場】

大田第二工場は不燃ごみの焼却工場だった~
平成26年度からの新大田清掃工場は、これまでの運転管理等業務の範囲に加え、施設・設備管理や保全業務等の部門も新たに含めた形で委託。平成31年から定期補修工事等も新たに含めた包括的な委託内容に変更。令和3年、大田清掃工場の包括的委託に第一工場を含めた委託を開始

新大田清掃工場 2014年(平成26年)9月竣工
運転管理・受付搬入に管理・技術・整備係業務を含めた包括的委託。
  直営
人件費(千円)
運転管理等業務委託費(千円)
(東京エコサービス)
平成26年度 105,701 622,597
平成27年度 73,902 708,377
平成28年度 76,619 704,579
平成29年度 63,852 728,447
平成30年度 76,830 755,822
令和元年度 94,415 1,167,772
令和2年度 119,931 1,587,944
令和3年度 108,142 1,480,729
平成31年4月から定期補修工事等も新たに含めた包括的な委託内容に変更

 

【目黒清掃工場】

 

【練馬清掃工場】

旧工場600t/日→建替後500t/日に
建替前は委託工場が直営に、令和元年度から委託に
光が丘が建替になるので、光が丘の職員が練馬に?
江戸川清掃工場が建て替えで焼却終了となったので、令和元年度、江戸川の東京エコが練馬に移ってくるのか?(「基本計画・実施計画(令和3年2月)」では、練馬清掃工場の外部委託開始年度は令和2年度となっているが、、???)


 

 【有明清掃工場】
管路収集設備有り、

 

【千歳清掃工場】

平成27年11月から世田谷のガス化溶融炉が委託となり、千歳は直営に
世田谷の職員が、千歳に移動?

 

【江戸川清掃工場】

 

【墨田清掃工場】

 

【北清掃工場】

 

【新江東清掃工場】

 

【港清掃工場】
900t/日(300t/日x3炉)→1炉予備炉であるが、フル稼働の時期もあり

 

【豊島清掃工場】

 

【渋谷清掃工場】

 

【中央清掃工場】

【板橋清掃工場】

平成25年度からの委託業務は「清掃工場受付搬入など」?

 

【多摩川清掃工場】

平成25年度からの委託業務は「清掃工場受付搬入など」

 

【足立清掃工場】

平成25年度からの委託業務は「清掃工場受付搬入など」

 

【品川清掃工場】

平成25年度からの委託業務は「清掃工場受付搬入など」

 

【葛飾清掃工場】

平成25年度からの委託業務は「清掃工場受付搬入など」

 

【世田谷清掃工場】

平成25年度からの委託業務は「清掃工場受付搬入など」、平成27年11月から世田谷のガス化溶融炉が直営から委託となる、、


【23区清掃工場 全工場】

 

◆灰溶融施設別人件費の推移

【大田第二灰溶融施設】

 

【板橋灰溶融施設】

 

【多摩川灰溶融施設】

 

【足立灰溶融施設】

 

【品川灰溶融施設】

 

【葛飾灰溶融施設】

 

【中防灰溶融施設】

板橋、多摩川、足立、品川、葛飾、世田谷は、1炉稼働や休止計画の代替え業務はできたとしても、中防灰溶融は平成25年度末で休止となった。そして、中防灰溶融施設では渋谷清掃工場などの飛灰の処理をしているようだ~

 

【世田谷灰溶融施設】


【23区 全灰溶融施設】

 

◆東京23区の清掃工場 運転管理業務の委託状況
運転管理業務委託先は、東京エコサービス以外は、各清掃工場焼却炉のプラントメーカ関連に委託



 

 


 


清掃工場別の処理単価で比較すると何かみえてくるだろうか???

関連(本ブログ)
23区清掃一組「清掃工場別の処理単価(令和3年度 決算)」

ごみ1トンあたり処理経費 杉並清掃工場 9,551円 ~世田谷清掃工場 26,235円

 

 


東京二十三区清掃一部事務組合「事業概要 令和4年版」から抜粋

アウトソーシングの取組 

・平成18年(2006)4月 練馬清掃工場、有明清掃工場の運転管理業務の一部等を委託
・平成19年(2007)4月 大田清掃工場、杉並清掃工場の運転管理業務の一部等を委託
・平成20年(2008)4月 北清掃工場、墨田清掃工場、江戸川清掃工場の運転管理業務の一部等を委託
・平成20年(2008)4月 練馬清掃工場、有明清掃工場、大田清掃工場、杉並清掃工場の運転管理業務の全部を委託
・平成21年(2009)4月 北清掃工場、墨田清掃工場、江戸川清掃工場の運転管理業務の全部を委託
・平成22年(2010)3月 建替えにより、練馬清掃工場の運転管理等業務委託を中止
・平成22年(2010)4月 港清掃工場、千歳清掃工場の運転管理業務等を委託
・平成23年(2011)4月 豊島清掃工場の運転管理業務等を委託
・平成24年(2012)3月 建替えにより、杉並清掃工場の運転管理等業務委託を中止
・平成25年(2013)4月 品川清掃工場、多摩川清掃工場、世田谷清掃工場、板橋清掃工場、足立清掃工場、葛飾清掃工場の受付搬入等業務を委託
・平成26年(2014)4月 大田清掃工場の運転管理等業務は、第一工場については休止。10月稼働の新工場においては、アウトソーシングの取組として、これまでの運転管理等業務の範囲に加え、施設・設備管理や保全業務等の部門も新たに含めた形で委託
・平成27年(2015)4月 中央清掃工場、渋谷清掃工場の受付搬入等業務を委託
・平成27年(2015)11月 千歳清掃工場の運転管理等業務委託を受付搬入等業務委託に変更。また、世田谷清掃工場の受付搬入等業務委託を運転管理等業務委託に変更
平成31年(2019)4月 大田清掃工場の業務委託に定期補修工事等も新たに含めた包括的な委託内容に変更
・令和2年(2020)4月 練馬清掃工場の運転管理業務等を委託
・令和2年(2020)9月 建替えにより、江戸川清掃工場の運転管理等業務委託を中止
・令和2年(2020)10月 大田清掃工場第一工場の1炉再稼働に係る運転管理業務等を委託
・令和3年(2021)4月 大田清掃工場の包括的委託に第一工場を含めた委託を開始
・令和4年(2022)4月 杉並清掃工場の運転管理業務等を委託

 

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 容器包装リサイクル協会 令... | トップ | 23区清掃一組、焼却灰等の放... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

東京23区のごみ」カテゴリの最新記事